「まだ、勝負はこれからです」
これは原監督がシーズン終了の挨拶の中で発せられた発言で、クライマックスシリーズを勝ち抜け、日本一を目指す決意を表したものである。
個人的にはCSに対する思い入れは大きくない。
やはりペナントレースで優勝して日本一になる事を究極の目標にしているので、なかなかモチベーションは上がってこない。
しかし、冒頭の監督の言葉を聞くと「よし!切り替えて全力で応援するぞ!」という気持ちが沸いてきた。
この辺りの原辰徳の「発信力」は相変わらず流石である。
10月2日 24回戦 ※この勝利で今季2位が確定した
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨 人 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 |
DeNA | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
10月3日 25回戦
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨 人 | 0 | 1 | 3 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 7 |
DeNA | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 5 |
10月4日 25回戦
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヤクルト | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 |
巨 人 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | X | 10 |
既に消化試合の意味合いが強くなっていたので、試合内容の論評は割愛する。
ここからは選手の状態について触れていきたい。
【巨人投手雑感】
☆マイルズ・マイコラス
ボールの切れは抜群に良い。
現状ではスライダーが抜けて甘く入ったケースだけが怖い。
他のボールについては少々甘くなっても打ち取る事が出来ている。
特に直球系については、140~153キロまでのスピード差と、手元で微妙に動かしているので甘くなっても打者は捕らえきれていない。
一方で心配なのは100球前後で急激に落ちる事。
球威だけではなくボールも高めに集まってくるので、見た目で明らかにへばっているように感じてしまう。
元々、今の投げ方では肩のスタミナに不安が残るので、その点だけはCSに向けた不安材料と言える。
☆大竹寛
バッテリーを組んだ加藤の配球にも問題が有るのかもしれないが、相手打者にタイミングを全く崩せていないのが気になる。
やはり、もう少し直球系にキレとスピード感が無いと厳しい。
☆内海哲也
今季最終戦で結果を残したが、個人的な印象は大きく変わっていない。
やはり、この投球内容では打線の援護が無ければ厳しい。
昨日のような相手打者のモチベーションが落ちてる試合ならともかく、重要な試合で同じ投球が出来るとは少し考えづらい。
山田の外野フライも紙一重だったし、畠山が4番に居れば展開が変わっていたかもしれない。
僅差の展開が予想されるCSで、同じように大胆な投球が出来れば良いが。。。
☆山口鉄也
結果が出なかった時と比べると明らかに球筋が良くなっている。
特に左打者のアウトコースへの直球は綺麗なラインが出来ている。
又、全体的に高さの失敗が無くなってるので、大ケガの心配は格段に減っている。
それにしても今季も60試合登板を達成するとは。。。
これは本当に凄いし、故障明けでも達成する事が出来たのは、本人の常日頃からの鍛練の賜物だと思う。
「おめでとう!! ぐっさん!!」
☆スコット・マシソン
彼も山口と同様に確実に状態が上がってるし、昨日の山田への投球内容は素晴らしかった。
筆者が感じた良くなってるポイントは、以前と比べて球離れが遅くなってる事。
つまり、左足をキャッチャー側に踏み出した際に、癖になってる左肩の開きが我慢できているので、ボールを長く持てる状態になっている。
☆澤村拓一
決して絶好調とも思えないが、相変わらずタフである。
抑え転向当初は、自分の調子が少しでも良くないとボール先行になり、逃げのピッチングにみえてしまうケースが多々見られたが、現在の彼は自信に満ち溢れている印象が強く、前半戦とは違って非常に安定感を感じる。
「何か」を掴んだのかもしれない。。
☆高木京介
直球はスピードガン以上の速さを感じるし、緩いカーブとチェンジアップは去年と比べて精度を増している。
特にチェンジアップは右打者には非常に有効な武器になっている。
一方でカットボール(スライダー)については、精度が極端に落ちる。
☆戸根千明
脇腹を負傷してしまい無念の降板となってしまった。
負傷の度合いについて現時点では分からないが、CSへ向けて貴重な戦力が一枚欠けてしまったかもしれない。。。
☆田原誠次
対右打者に対するリリーバーとして台頭している。
直球系のスピードは年々増しているし、スライダーのキレも良くなっている。
問題は追い込んだ後の勝負球の精度がまだまだ低いこと。
変化球が際どいコースに決まれば良いが、現状では大きく外れてしまっているケースが多い。
☆宮國椋丞
シーズン途中に改造したフォームがここに来て固まりつつある。
以前はカウント球から甘いボールが多く見られたが、現在はかなり減っている。
しかしながら勝負球はまだまだ甘い。
フォークの精度が上がってくれば、良くなってる直球がさらに活きてくるだろう。
【巨人野手雑感】
☆立岡宗一郎
バッティングは明らかに崩れてしまっている。
相手バッテリーの内角攻めで右肩の壁が無くなってしまい、甘いボールを一発で仕留める形を作れていない。
現状は下半身が使えていないので、上半身のバットコントロールだけで打ちにいってしまっている。
☆片岡治大
彼は引き続き状態は良い。
個人的な希望を彼に求めるのなら、追い込まれるまでは引っ張る意識を強く持って欲しい。
彼の良さは何と言っても強いリストなので、バットのヘッドが効いたスイングは引っ張った打球で最も活かされる。
彼の場合は、逆方向の打球に対する意識が強いと、どうしてもインパクトの瞬間にバットのヘッドが下がるので、力の無い打球が生まれやすくなる。
☆坂本勇人
調子が徐々に上向いている。
彼も片岡と同じで右中間方向に意識が高いと、バットのヘッドが下がる癖があ
るので、追い込まれるまでは少々強引になっても、外寄りのボールを引っ張りこむスイングをして欲しい。
☆阿部慎之助
相変わらず状態は上がってこない。
技術的なポイントについては過去に散々触れてきたので割愛するが、4番で脚力の無い彼が打点を稼ぐ事が出来なければCS突破はありえない。
☆長野久義
少しづつ良い兆候は見られるが、まだまだ状態は良くないと思う。
特に外角低めのスライダーの見極めが良くない。
元々、バッティングはヤマを張ってる事が多いので、狙い球とは違うボールに対して無様なスイングを見せてしまうので印象が悪いが、今年は極端になっている。
このバッティングでは2割8分も難しいし、現状の評価は他に人材が居れば6番・7番辺りが妥当だろう。
☆亀井善行
終盤戦で最も調子を上げた選手である。
ようやく彼本来のバッティングの形が出来ている。
緩い変化球に対してはしっかり手元まで呼び込み、速いボールには最短距離で捉え、ライナー性の打球を外野の間に運んでいる。
始動までのタイミング、「間」を感じるスイング、共に申し分ない。
☆村田修一
良くも悪くも今年の村田を象徴している状態と見てる。
タイミングがどうしても遅れてしまう(始動が遅れる)ので、直球に対しての意識が過剰に強くなり、抜けた甘い変化球に対してバットがなかなか出てこない。
☆小林誠司
バッティングの状態は悪くない。
彼の良さは強いリストと、内角へのボールに対する反応の良さにある。
☆井端弘和
1軍復帰後のバッティングは、かなり良くなっている。
復帰前のバッティングは左肩の開きが早く、逆方向にライナー性の打球を飛ばす形が作れていなかったが、現在はしっかり修正されている。
☆岡本和真
課題になってる直球への対応については、現状のスイングスピードでは難しい。
よって自然と体の開きが早くなって変化球の見極めも悪くなっている。
しかしながら、彼にとっては明確に課題が見えた事が非常に大きい。
まずは、オフにバットをひたすら振り込む事が最重要になる。
☆橋本到
残念ながら、あまり良くなっているとは思えなかった。
彼の課題は、ボールを迎えに行くようなスイングが多くなってしまうこと。
タイミングを合わせるのに苦労しているようにも見えるが、しっかり自分の形を早く固定したい。
そして、詰まる事を必要以上に嫌がらずに、直球をセンターから左中間に打球を飛ばす意識が重要になる。
そうすれば甘い変化球を引っ張る打球も増えてくる筈である。
以上 敬称略