今日からゴジラ松井が2年ぶりにG春季キャンプの臨時コーチとしチームに合流した。
前回のゴジラ臨時コーチは、不調だった坂本の再生が大きなミッション(筆者の勝手な想像)だったが、この2年で彼は「選手として次のステージに達した」ので、今回は腰を据えて若手野手を見て欲しい。
又、教えを請う若手野手陣は、日本歴代屈指のスラッガーと会話する機会は滅多にないので積極的に質問して欲しい。
こういう時に「遠慮」している選手が、一流選手がしのぎを削る一軍の舞台で活躍出来る筈がないので、貪欲な姿勢でゴジラにぶつかって欲しい。
☆去シーズン全滅状態だったGリリーフ左腕たち
去年、三本柱以外の試合でゲームを尽く落としたいった理由として、これまでに2つの要因を挙げていた。
①先発4番手以降の力不足
②劣勢からの反発力が足りなかった打線
そして今回、もう一つ指摘しなければならないのが「リリーフ陣の崩壊」である。
リリーフ投手の中で、個人的に合格点を与えられるのは、勝ちパターンのマシソンとカミネロのみで、実績のあるベテラン組は総じて不振で、期待された若手組は伸び悩んでしまった。
そんな中で筆者が特に問題視するのが、左のリリーフ陣が全滅状態にあった事。
昨シーズン、長い間Gリリーフ陣の屋台骨を支えてくれた山口鉄が絶不調に苦しんで、彼の登板数が一気に減ってしまったが、結果的にそれをカバーする他の選手の台頭が全くなかった。
特に、それを見込んでFAで獲得した森福が全く結果を残せず、代わりに躍進を期待した戸根も一軍では制球に苦しんで定着出来なかった。
そして、彼らの代役として白羽の矢を立てたのが、ルーキーの池田だった。
しかし、彼も登板を重ねる毎にボールの切れが無くなり、痛打されるケースが目立ってしまった。
☆山口鉄はモデルチェンジに苦しんでいる
原監督時代の二度の三連覇は、山口鉄也の存在なくては語れない。
彼は我々Gファンにとっては「LEGEND」であって、あの苦しかった2003~2006年の低迷期を脱した最大の功労者といっても決して過言ではない。
そして、その功労者である彼には必ず再起してほしいし、その可能性はまだまだ十分に残されてると思っている。
ここ数年の彼は、肘の故障と長年の蓄積疲労で、以前のような切れのある直球と変化球が投げられなくなった。
それが如実に現れたケースとして真っ先に挙がるのが、ここ数年のカープ戦での登板である。
近年、カープ戦では試合終盤にひっくり返されて試合を落とす事が多いが、彼もリードを守りきれてるイメージが少ない。
特に去年からカープの右打者に対して懐の厳しいコースに投げても、簡単に痛打されてるケースが見られたのは衝撃的だった。
そして左打者対しても、左右散らしても踏み込まれているので、抑える事が出来ていなかった。
以前なら詰まっていたり、投げ損なって甘くなっても打ち損じてくれたボールが、ヒットで終わらず簡単に外野の頭を越えていっている。
このように衝撃的な打たれ方をする背景には、ボールの切れが落ちた事が最も大きな要素だが、それだけではあんな打たれ方はしない。
元々、技巧派ではない彼の生命線は直球だったので、スライダーとチェンジアップが少々甘くなっても抑える事は出来た。
しかし、今はその直球に怖さがないので、通常では考えられない「遅いボールを待ちながら直球に対応する待ち方」を作られている印象が強い。
このような厳しい状況を打開するには、相手の狙いを逆手に取ること。
つまり、相手が変化球待ちなら、若いカウントからストライクゾーンからボールゾーンに逃げていくスライダーやチェンジアップを投げること。
そして直球やシュートも仮にカウントが悪くなっても、ストライクゾーンからボール1個分外して投げる必要がある。
これは四球が増えるというリスクも伴うし、非常に高いレベルの技術だが、現状の彼にはこういう部分が最も必要な要素だと考える。
ここ数年の彼は、悪く言えば中途半端なボールの切れと、中途半端な制球力で打者と対峙して、自分の中でモヤモヤした気持ちのままマウンドに上がっていたように思えてならない。
つまり、はっきりモデルチェンジしないまま、ここまできた印象が強い。
しかし前述のように、ここからは制球力と野球頭脳に磨きをかけねば復活はありえない。
思えばドラゴンズのLEGENDである岩瀬も、長年の蓄積疲労と慢性化した肘の痛みに苦しんできたが、それを乗り越えて今も現役で頑張っている。
そんな彼も、最大の武器である直球とスライダーの切れが落ちて、試合で打ち込まれるケースが続いた事も少なくなかった。
しかし、彼も30歳半ばに入ってくると、打者の内と外へのボール1個分の出し入れを磨いて、打者が打ち損じる術を確立していた。
なかなか出来る「芸当」ではないが、山口鉄が再浮上するには、このような投球術を磨いていかねば再起は難しい。
だが、筆者は彼のような野球に対して常にひたむきな姿勢で取り組んでいる選手ならば、それは可能だと信じている。
どんなに高給取りになろうが、どんなに名声を得ようが、彼の姿勢はプロ入り以来全く変わらない。
彼の原点は、高校卒業後どのスカウトからも声がかからず、単身アメリカに渡っていき野球を続けていった「あきらめない姿勢」と、育成選手から成り上がってチャンスを掴んだ「努力」にある。
そんな選手は故障箇所さえ癒えれば必ず再起してくるし、野球の神様も決して見逃さないだろう。
そう。。野球の神様は。。。彼の復活劇は。。。通算300ホールド??。。
「きっと粋な演出を考えているに違いない」
以上 敬称略