カミネロ ☆カットボールの精度を上げればGの不沈艦になる

カミネロ ☆カットボールの精度を上げればGの不沈艦になる

G宮崎春季キャンプは今日の休日を終えると、明日から実戦練習中心の第3クールが始まる。

昨日の紅白戦をもう一度振り返ると、若手野手陣に関しては合格点を与えられる選手が多かったが、それに比べて若手投手陣には物足りなさを感じた。

特に左リリーフの台頭はチームにとっては不可欠なので、その役割を担って欲しい戸根の投球内容は残念だった。

 

さて、今回は以前に予告していた去年のG守護神カミネロについて考察する。

 

☆昨シーズンのカミネロを振り返る

開幕当初は150キロ中盤の直球でグイグイ押し、時折スライダーを織り混ぜるスタイルで打者と討ち取っていたが、カープとの初対戦でいきなり松山にHRを打たれてリズムを崩し、そこから暫く不安定な投球を続けていた。

やはり実戦を積み重ねていくと、対左打者に分が悪くなり、特に左打者との対戦が多くなるチームを相手には苦戦していた。

その原因は明白で、やや腕を下げて投球する彼のフォームは、左打者からはボールの出処が見やすく、力んでしまうとボールが抜けやすくなり、直球はショート回転する。

しかも、スライダーを投げる時は腕の振りが弱くなるので、打者は対応しやすくなる。

本来、160キロ近い直球を投げるカミネロには恐怖感が生まれてくるが、左打者には殆ど感じない。

逆に右打者には非常に厄介な投手であり、インステップ気味の投球フォームで、しかも抜け球が多いので、なかなか踏み込んで打つ事は出来ない。

腕の振りで分かるスライダーも、一流打者は別にしても、多くの右打者には抜ける直球への警戒感が無意識にあるので、少々甘くなっても体が泳いでしまう。

このように対左打者への対策を急がねばならない状況が早くも生まれてしまったが、彼は改善策としてフォークボールを投球に織り混ぜ、打者が頭に入れなくてはならない球種を一つ増やした訳である。

これがそれなりに成功してシーズン終盤までリリーフエースとしてマウンドに立ち続ける事が出来たと筆者は見ている。



☆去年のセーブ王ドリスとの比較でカミネロの課題を浮き彫りにする

まず、昨シーズンの成績をおさらいする

57登板 3勝5敗29セーブ7HP

63・1/3回 23四球 65三振

56安打 4本塁打 防御率2.42

では去年セーブ王のドリスの成績は

63登板 4勝4敗37セーブ9HP

63回 17四球 85三振

53安打 1本塁打 防御率2.71

二人を比べると、防御率以外はドリスの方が数字は良い。

特に与四球と奪三振の差が大きい事が、シーズントータルで見てドリスの方が安定感を感じた最大のポイントと考える。

そして、この差が生じる大きなポイントは「決め球を持つ者と持たざる者の差」と考察する。

これは詳しいデーターが無いのであくまでも筆者の印象だが、ドリスとカミネロを投球を比較すると制球力に関しては大きな差はない。

例えば、同じくストッパーの山崎や中崎と比べると、制球力は格段と落ちる。

それでも二人がストッパーとして君臨出来たのは、シーズン通してグイグイ力勝負出来る馬力とスタミナを持っていたからである。

そしてドリスの場合はこれに加えてフォーク(スプリット)という決め球が有るので、カウントを追い込んでからファールで粘られるケースも減ってくるし奪三振も増える。

しかし、カミネロの場合は、追い込んでもなかなか三振が奪えないので、結局粘り負けて四球を与えてしまう。

又、一点差で最終回を迎えるケースでは、味方守備のエラーによって出塁を許す事も致命的と言えるので、それを防ぐ意味でも三振を奪って打球を前に飛ばさせない事が、想定外の失点を許さない最も有効な方法と言える。

これらがドリスとカミネロに対する印象の違いに出ている。



☆カットボールの精度次第では更なる飛躍も十分可能である

だが、カミネロも前段で述べたように、シーズン途中からフォークを織り混ぜて一定の効果があった。

しかし、まだまだドリスのように三振をバンバン奪える形にはなっていないし、フォーク自体の精度も低い。

残念ながらカミネロのフォークは単体では決め球としては厳しい。

ドリスとの違いはピッチングフォームにある。

ドリスは上から投げ下ろすフォームで、フォークを投げるには最も効果的と言えるし、途中までの軌道が直球と変わらないので、打者は見極めが難しい。

一方でカミネロは腕を下げて投げるので、フォークが抜けたり、引っ掻けてしまう可能性が高い。

だが、彼は意外に器用でクレバーな投手であり、抜けやすいフォークを逆手にとって、チェンジアップの役割に考えてカウント球として使ったりしている。

まだまだ三振を狙うフォークに関しては精度が低いが、スライダーのようなフォームの緩みが無いので、ベース上に落ちれば豪速球を強く意識した打者は手を出してくる。

シーズン終盤はフォームが緩むスライダーを減らして、左打者にはカットボールとフォークを織り混ぜて対策をとっていたが、このカットボールこそが、フォークをより有効にする大きなポイントになる。

筆者がキャッチャーなら配球をおおまかには以下のように考える。

対左打者

①内角へのカットボールでファールを打たせる事を考える

②スライダーは封印

③外角の豪速球ツーシームを集めて外への意識付けをさせるてカウントを整える

④勝負球はフォーク(高めに浮いても外へ抜けていくので長打の可能性は低い)

対右打者

①カウント球は外の直球

②スライダーとフォークはあくまでも見せ球(勝負球としては長打の危険が高く怖い)

③どこかで懐にツーシームを投げる(少々甘くなっても良い)

④勝負球は外角のカットボール

上記の攻め方は去年のカミネロでは絵にかいた餅であるが、カットボールの精度を上げれば十分可能な配球パターンと言える。

そして彼のような腕を下げて投げるタイプは、フォークは向いていないが、カットボールには相性が良い投げ方である。

つまり、これから精度が向上する可能性は大きい。

そして、このカットボールでカウントを稼ぐ事が出来れば、あとは見せ球を使ってジックリ攻めるのも良いし、三球勝負も悪くない。

一方で相手打者の立場で考えると、まずは彼の直球に遅れない事を強く意識するので、若いカウントでは速いボールを狙わざるを得ない。

そこにカットボールが来ると、途中までは直球と同じ軌道なので、ストライクゾーンから大きく外れていなければスイングしようとする。

そうなるとかなりの確率でファールになってしまうし、カミネロの球威ではなかなか前に飛ばす事は難しい。

こうしてカウントが追い込まれると、精度の低いフォークでもチェンジアップの効果が生まれて三振も増えてくる。

こうなれば与四球も減り、奪三振も増えて、防御率も間違いなく下がるだろう。

個人的には、彼の持ってるポテンシャルをフルに発揮する事が出来れば「Gの不沈艦」となり、他球団が恐れるストッパーとして長く君臨すると見ている。

以上 敬称略