着実に成長する岡本和真

着実に成長する岡本和真

一昨年のドラフト会議で、読売ジャイアンツが岡本和真を1位指名した事が本当に嬉しかった。
次世代の主軸候補として期待していた大田や中井が伸び悩み、現在の主力である坂本・長野の停滞感は、阿部の引退後のG打線を考えると、筆者は不安感で覆い尽くされかけていただけに、彼の指名に歓喜した。

そして「彼は間違いなく超一流の素材」と確信している筆者にとっては、球団が正しい方向に導いてくれる事を信じて「彼が成長していく姿を目に焼き付けていくだけ」である。
そう。。松井秀喜がスーパースターの階段を確実に上っていった姿を見てきたように。。。
勿論、ゴジラ松井とはスケールの違いを感じるし、比べる事自体がナンセンスだと思う。
一方でゴジラには無い魅力(柔らかさ)を持っているので、違うタイプのスラッガーとして我々を魅了してくれると確信している。

さて、ここからは筆者が彼について語ってきた内容を振り返る。
そして、そこから見えてくる「ルーキーイヤーの成長過程」と「課題」をもう一度語っていきたい。

その前に高校時代の岡本のバッティングを映像を改めて確認する。

やはり金属バットを使用している影響で、手打ち気味でも当てるポイントとフォロースルーがしっかり取れれば、打球が遠くに飛んでいくのがよく分かる。
例えば、センターバックスクリーンに叩き込んだ打球も、タイミング的には多少差し込まれているが、フォーロースルーが大きいので打球は飛んでいる。
つまり、この時点では下半身を軸に、体の回転でスイングする形は出来ていない。
しかし一方で、他の打席を見て分かるように、多少タイミングを外されても、自分のスイングを崩さずに対応するバットコントロール(肘の柔らかさ)と、素晴らしいフォロースルーで打球を遠くに飛ばす形を既に持っている事が伺える。
つまり、柔(ハンドリング)と剛(大きなフォロースルー)を兼ね備えている訳である。

次に去年書いた岡本和真についての記事を振り返る

①2015年宮崎春季キャンプ2日目(2月3日の記事)
キャンプ2日目のフリーバッティングの内容
58スイング 
6本の柵越え(1本場外・1本バックスクリーン弾)

まず守備の映像を確認したのでそこから触れたい。
捕球に関しては腰高なので安定感はない。
ハンドリングは柔らかいのでセンスは感じる。
スローイングは既にスナップスローが出来ているので安定感がある。
前評判以上に守備にも可能性を感じた。

正直言えば、バッティングでは大田泰示よりセンスを感じる。
体の使い方が抜群に上手いので、自分の持ってるパワーを上手にバットに伝える術を身に付けている。
意識しないで右方向にも大きな打球を打てるスイングの幅があるし、守備で感じた肘の柔らかさもバッティングに活かされている。

現状はプロの練習についていくのに精一杯で、下半身に安定感が無くなっているが、本物の体力を身に付けたら予想以上に早く一軍でスタメンを張るかもしれない。
そして何より、彼が幸運なのは内田コーチがGに復帰してくれたこと。
そして彼を補佐する江藤コーチも内田門下生で、しかも同じタイプのスラッガーだったので、指導にブレが無くなる事も大きい。

最後に体についての印象。
まず顔がゴジラ松井並み?いや。。それ以上にデカイ?
首から腰廻りまでは典型的なスラッガー体型。
そして何より驚くのはお尻の大きさ。
勿論、贅肉も有るだろうから、これからプロの厳しい練習で削ぎ落とされて、本物の筋肉がついていくだろう。
事実、守備練習で顎が上がり気味だったので、体力はまだまだ足りない。

総評としては、非常に大きな可能性を感じる選手という印象を強く持った。
大田はアスリート系で、技術を運動能力でカバーするイメージだが、岡本は野球センスとパワーを兼ね備えるスラッガータイプ。
タイプが違う二人だが、今後小さくまとまらずに大きく育ってもらいたい。

②3月3日教育リーグGvsE戦(3月4日の記事)
教育リーグの観戦目的は、やはり岡本和真のプレーを直接見る事。
内容は4打数2安打(二塁打1)
綺麗に捉えたレフト前ヒット、右に巧く流したライト線2
塁打。


バッティングは非常に柔らかく、自然な形でトップを作れる抜群のセンスを持ってる事を再確認。
守備はDHでの出場だったので、実戦でのプレーは見てないが、練習を見る限り報道で酷評されるレベルではないと、個人的には評価している。
現在、守備で安定感がないのは、下半身がプロ仕様になっていない事が大きな要因。
スローイングは悪くないので、プロの体をしっかり作れば技術もついてくると見ている。

③4月に放送されたファーム数試合を見ての総括(4月26日の記事)
キャンプ時に見たときより下半身が一回り大きくなっている。
そして相変わらず打撃は素晴らしい。
筆者が彼に惚れるポイントは、しっかりトップを作る事が出来るので、バッティングに「間」がある事。
この流れが自然体で出来ているので、多少タイミングを外されてもバットのヘッドが残っている。
よってボールをしっかり捉える確率が高い。
順調に育っているので安心した。

守備で多少のミスがあったが、春先と比べると足が使えて確実に進歩している。
この辺りは下半身が鍛えられてる証拠だろう。
但しスローイングは、解説の緒方氏が指摘した通り、肘が下がってしまってるので不安定になっている。
春先はもう少し上から投げていたので、この点は今後の課題になる。

④8月4日2軍公式戦でのバッティング(8月5日の記事)
彼のバッティングを映像写真を見ながら長所を分析しているが、そこは長くなるので省略する。
以下の文章(今後の課題)だけ抜粋する。

~今後の課題と注文~
下半身は春先と比べて大きくなっているが、やはりスイングスピードがまだまだ遅い。
彼のバッティングの長所である「腰の回転を上手に使える事」だが、その腰に不安を抱えたままでは大成できない。
プロの選手として1年間プレー出来る「鋼の体」を、今の時期からしっかり作って欲しい。

個人的には3年後を目処に、彼がクリーンアップとしてGの中心選手になる事を夢見ているが、その為には遅くとも来年の夏場には「1軍の戦力」になる必要がある。
兎に角、今はしっかり体を作って欲しい!

⑤9月5日プロ初本塁打を放った時の映像

当時、筆者はこのHRを見て以下のように語っていた(9月7日の記事)
初ヒットがホームランとは恐れ入った。
彼は直球に的を絞っていたと思うが、スライダーを捉えてスタンドまで運んだ。
初球から狙い球以外のボールに反応し、しかもフルスイング出来ている。
並みの高卒ルーキーでは難しい事を簡単にやってのけた。

技術的には、彼はタイミングの取り方が上手いので、スイングの振り始めで微妙な「間」を作る事が出来ている。
よって直球待ちで甘いスライダーに対応出来た訳である。
しかも、内田コーチから伝授されたL字打法で、よりスムースにタイミングが合わせやすくなっている。

⑥9月23日技術的な課題が露呈する(9月24日の記事)
技術的に気になるポイントが一つある。
1軍デビュー当初はトップを作った後に、そのままバットを内側から振り下ろしていたが、昨日のスイングはトップの後に右膝が早く折れて、インパクトの瞬間に右肩が下がってしまっている
これではインパクトの瞬間でバットのヘッドが「死んでる状態」なので、鋭い打球は飛ばない。
考えられる原因は、胸元にボールを集められて、よりバットを内側からコンパクトに振ろうとする意識が強すぎる事。

⑦9月26日貴重な同点タイムリーを放つ(9月27日の記事)

バッティングについては相変わらず見ていてワクワクする。
昨日の同点タイムリーも、体が完成してスイングスピードが上がれば、ライトスタンドに放り込む可能性も十分秘めている。
それだけ右肘の使い方は天才的に上手い。
ただ現状は、直球に対してインパクトの瞬間でヘッドが負けてしまうので、打球の角度は期待できない。
現状は「力強さ」よりも「巧さ」が先行しているが、数年後は間違いなく巨人のクリーンアップを任せられる逸材であると確信している

⑧シーズンオフに台湾で行われたウインターリーグでの猛打の様子

このウインターリーグに参加する直前の秋季練習を現地で見たが、彼はバッティング練習をする際には必ず両足首に鎖を繋げて、スタンスが必要以上に広がらないように修正していた。
これは春先のジャイアンツ球場での練習を見に行った時にも既に行われていた事で、内田コーチが指摘した大きな課題だった。

⑥で右足が早く折れてしまう事を指摘したが、彼の場合は下半身が疲れてくると足のスタンス(左足のステップ)が無意識に広がってしまう癖を持っているので、そうなると右足が折れるのが早くなり、体重移動がスムーズにいかなくなってしまう。
こうなると打球は飛んでいかないし、タイミングが少しでもズレてしまうとバッティングにならなくなってしまう。

しかし、⑧のウインターリーグの映像を見て解るように体重移動が良くなっているので、多少泳いでしまっていたり、バットの先端気味で捉えてしまっていても、体の力がバットに伝わっているので、打球が野手の頭を越えている。
よって、この部分では確実に1ランクステップアップしている。

一方で、これも大きな課題の一つである「スイングスピード」に関してはまだまだ物足りない
ウインターリーグで対戦した相手投手の直球が殆どが130キロ台で、厳しいコースに決まっても対処出来ないボールではないので、その部分は割り引いて見る必要性がある。

肉体的には、まず下半身や腰回りは入団当時と比べて格段に大きくなったが、腹筋・背筋、そして胸回りから広背筋にかけての筋肉が、まだまだ発展途上にあるように思える。
ここを鍛えていかないとスイングスピードは上がってこない。
つまり、彼には筋トレは勿論だが、もっともっとバットを振り込む必要がある。

器(体の大きさ・幅)は元々持っているので、鍛えていく下地としては申し分ない。
是非、高校時代に全く行ってこなかった筋トレにも励んで、そして尚且つ、バッティングの基本になる素振りも平行して励んで貰いたい
そうすれば、天性の「柔らかさ」を失わずに、スイングスピードを上げる事が可能だと確信している。

★今シーズンの期待度は?
彼が村田を押し退けてサードでスタメンを張るには、やはりサードとして無難な守備を見せていかないと難しい。

まず、スローイングに関しては、上記の過去記事で触れたように大きな問題にはならないレベルにあると思う。
去年は、やや肘が下がり気味になるのが気になっていたが、しっかり下半身を使えるようになればこの部分も問題ない。
ここで問題になるのは、下半身を使わずに上半身だけでスローイングした場合に安定感が落ちる事である。

一方で、ゴロの処理については課題が多い。
去年は腰の位置が高く、強い打球に対してグラブを上から被せるような捕球体勢になる事が多く、又、緩いゴロに対してもグラブを前に突き出してしまう動作があった。
いずれも下半身が使えていない事が原因だが、これも徐々にではあるが改善傾向にはある。
しかも、今季から名手井端コーチの指導で一層の進歩が期待できるので、その部分も大いに楽しみである。

彼が春のキャンプとオープン戦で「サードを守れる姿」を首脳陣に印象づけさせる事が出来れば、既に評価が高いバッティングをより一層アピールする機会が生まれてくる。
そうすれば、開幕戦で村田を押し退けてサード岡本がコールされても決して驚かないだろう。

以上 敬称略