今回のG春季キャンプレポートは、今日行われた紅白戦の詳細と、筆者が注目した選手についてお伝えしたい。
尚、この試合はライトからレフト方向への強い風という状況下で行われた。
【紅組野手成績・雑感】
1番 セカンド 吉川尚輝
①内角高め直球に差し込まれてレフトフライ
②真ん中フォークを合わせただけのセカンドゴロ チェンジ
⑤⇒牽制球をファーストが捕球ミス(マルティネス)
内角直球に詰まってファーストゴロエラー(マルティネス)
⑦真ん中高めの直球に詰まってレフトフライ
⑧外角低めのスライダーを拾ってライト前ヒット
攻撃面では結果を残せなかったが、前回ミスした守備に関しては華麗に打球を捌いていた。
2番 レフト 松原聖弥
①真ん中低めの直球を捉えるがサードゴロ(サード中井の好プレー)
③外角ツーシームを合わせただけのショートゴロエラー (ショートは若林)
⑤外角直球をバットの先でピッチャーゴロ
⑦⇒一塁走者がディレードスチール成功(走者は田中貴也)
相手が制球を乱して四球
⑧⇒一塁走者が盗塁成功 (吉川尚)
外角のカットボールを引っ掻けてピッチャーゴロ
彼の場合は何といっても脚力が素晴らしいが、バッティングもしぶとい。
更にワンランク上を求めるなら、内角のボールに対しては引っ張る打球を打って欲しい。
3番 キャッチャー⇒DH 小林誠司
①外角低めのチェンジアップに泳いでショートゴロ チェンジ
③⇒ボークで一塁走者が進塁
⇒盗塁で三塁進塁(ランナーは松原)
⇒ボークで三塁走者が生還
外角直球を捉えてライト線ツーベース
⑤真ん中直球に差し込まれてショートゴロフィルダースチョイス 三塁走者生還
⑦内角スライダーを捉えてレフト線タイムリーツーベース 打点2
⑧内角直球に差し込まれてショートゴロ チェンジ
相変わらず攻守で存在感を発揮している。
このメンバーでは自分は格上だと言わんばかりのバッティングも見事だった。
4番 サード 岡本和真
②真ん中高めの直球を捉えたがレフトライナー
③外角のカットボールを引っ掻けてサードゴロ
⑤⇒一塁走者は盗塁成功、三塁走者は飛び出してアウト
真ん中低めの直球を弾き返してセンター前タイムリーヒット 打点1
⑦真ん中低めの直球を叩くがサードゴロ
⑨真ん中スライダーを打ち上げてセンターフライ
第三打席でようやくクリーンヒットを放ったが、それ以外の打席では相変わらず体が開いてミスショットしている。
5番 センター 石川慎吾
②外角低めの直球を打ち上げてキャッチャーフライ
③⇒二塁走者が牽制アウト (小林走塁ミス)
真ん中高め直球に差し込まれてライトフライ チェンジ
⑤真ん中高めの直球を打ち上げてライトフライ チェンジ
⑦外角スライダーをハーフスイング空振り三振 チェンジ
⑧真ん中スライダーを引っ掻けてショートゴロエラー (ファーストマルティネスの捕球ミス)
今日のバッティング内容では沖縄行きは厳しい。
6番 ファースト 大城卓三
②内角低めの直球を捉えてライト前ヒット
④内角直球を見送り三振
⑥内角カーブを合わせただけのサードゴロ
⑧外角低め直球を合わせてレフト線ツーベース
⑨真ん中低め直球を合わせただけのショートゴロダブルプレー チェンジ
非常に実戦向きなバッティングをするが、現状のファースト守備では厳しい。
7番 ライト 和田恋
②外角直球を捉えてレフト前ヒット
④真ん中高めの直球に差し込まれてショートゴロ
⑥外角直球を引っ掻けてサードゴロ
⑧内角直球に差し込まれてセンターフライ
体が大きくなってパワーも増しているが、ややアピール不足である。
8番 ショート 北村拓己
②内角直球にやや詰まるも三塁線を破るタイムリーツーベース 打点1
④真ん中直球に差し込まれてセカンドゴロ チェンジ
⑥外角直球を引っ掻けてセカンドゴロ チェンジ
⑧真ん中直球を捉えてセンター前ヒット
彼も実戦的なバッティングをする。
又、ショートとしての守備力は白組の若林よりも上である。
9番 DH⇒キャッチャー 田中貴也
②真ん中直球を捉えて一二塁間を破るタイムリーヒット 打点2
⑤真ん中低めの直球を捉えてセンター前ヒット
⑦真ん中高めの直球を詰まりながらもセンター前ヒット
⑧真ん中直球を捉えてレフト線タイムリーツーベース 2打点
攻守で文句のない結果だった。
バッティングに関しては、直球系へのアプローチが良い。
あとは変化球への対応を見たい。
個人的には彼のような元気溢れる選手はチームに欠かせない。
彼がベンチにいるだけで戦力になるし、今のGには最も必要なタイプの選手だと思う。
【紅組投手成績・雑感】
◇吉川光夫 2回4安打1四球4失点
・直球の平均スピードは130キロ台中盤
・投じた変化球はカットボール、スライダー、カーブ、チェンジアップ
・様々なボールを駆使していたが、全体的に切れが今一つだった。
去年の投球を見て筆者が気になったポイントは2つ
①変化球を投げる時、腕の振りが緩むこと(特にカーブとチェンジアップ)
②投球リズムが少しでも崩れると、その直後から一気に連打される(一本調子で投球する)
この点に注意して今日の投球を振り返る。
①については特に目につかなかったが、相変わらず変化球の精度は良くない。
②については岸田に粘られ四球を与えてからリズムを崩し、味方のまずいプレーも絡んで失点すると、続く打者に対して初球から甘いカーブを投じてレフトスタンドに運ばれた。
勿論、厳しい環境の中で登板する投手には酷ではあったが、良くなかった去年と同じ内容を見せられると、首脳陣の評価も大きく下がるだろう。
次回の登板では別の姿を是非見たい。
◇西村健太朗 1回1安打1奪三振 無失点
・直球の平均スピードは130キロ台後半
・変化球はショート、スライダー、フォーク
彼も直球主体で自分の状態を確かめるような投球だった。
それでもキッチリ無失点で抑えあたりは、流石に元セーブ王である。
◇桜井俊貴 2回1安打 無失点 1奪三振
・直球の平均スピードは130キロ台後半
・投じた変化球はカーブとスライダー
久しぶりに回転の良い直球が多く見られ、カーブ系の変化球も抜けるケースが少なく、コンビネーションも冴えていた。
但し、勝負球になると直球がショート回転する傾向が見られたので、一軍レベルの相手は打ち損じてくれない。
◇田原誠次 1回1安打 無失点
・直球の平均スピードは130キロ中盤
・投じた変化球はシュートのみ(これも直球かもしれない)
ほぼ直球系の出し入れだけでバッターを討ち取っていたが、彼が飛躍するにはチェンジアップ気味に左打者の外角に逃げていくボールが欲しい。
今のままでは本番になると右打者専用で終わってしまうので、そうなるとブルペンの投手編成も難しくなる。
◇池田駿 1回1安打 無失点
・直球の平均スピードは130キロ前半
・大きく曲がる変化球は恐らく投げてない。
個人的には今季の飛躍を期待している投手の一人である。
今日はほぼ直球オンリーの投球だったが、スピードガン以上の切れを感じた。
但し、やや制球にバラツキがあった。
◇篠原慎平 1回1四球 無失点 1奪三振
・直球の平均スピードは140キロ前後
・投じた変化球はフォークのみ?
先頭打者にいきなり四球では話にならない。
その後に相手の盗塁死でリズムを掴んで、結果的には無難に終わったが、首脳陣の信頼を得るには物足りない内容だった。
◇廖任磊 1回1安打1四球1死球 無失点
・直球の平均スピードは140キロ前半
・投じていた変化球はフォーク
まだまだ制球にバラツキがあり、一軍では厳しい。
但し、直球の角度や、フォークの落差には可能性を感じる。
【白組野手成績・雑感】
1番 セカンド 田中俊太
①ファールで粘って四球
②内角高めの直球にやや差し込まれてセンターフライ
⑤外角ツーシームを引っ掻けてセカンドゴロ
⑦外角直球を見逃し三振 チェンジ
今日は相手投手が一枚上だった。
第一打席の粘りは見事だったが、それ以外は上手く攻められていた。
2番 センター 重信慎之介
①外角低めスライダーに合わせてセカンドライナー 一塁走者が飛び出し併殺
②⇒ファーストランナー河野が盗塁失敗 チェンジ
③内角直球に差し込まれてセカンドゴロ
⑤真ん中高めの直球を捉えてセンター前ヒット
⑧相手が制球を乱して四球
バッティングの内容はまずまず。
今年は同じタイプの選手が多くいるので、埋没しないようにアピールしなければならない。
3番 サード 中井大介
①真ん中高めの直球に差し込まれてライトフライ チェンジ
③内角直球を捉えてセンター前ヒット
⑤⇒ワイルドピッチで一塁走者が三塁に進塁 (重信の好走塁)
空振り三振 チェンジ
⑧⇒盗塁失敗(田中貴也が好送球)
真ん中直球に差し込まれてライトフライ
彼にはもっと高いレベルでバッティングしてほしい。
今日の内容ではまだまだ物足りない。
4番 ファースト マルティネス
②内角のカットボールに差し込まれてセカンドフライ
③内角高めの直球にやや差し込まれてファーストゴロ
⑥外角ショートを引っ掻けてセカンドゴロ
⑧真ん中フォークボールを空振り三振 チェンジ
攻守で散々だった。
特にファーストの守備は問題外だった。
5番 ライト⇒レフト 立岡宗一郎
②外角低めのカーブに合わせてショートゴロ内野安打
③内角低めのフォークをハーフスイング三振 チェンジ
⑥外角直球を引っ掻けてセカンドゴロ
⑨真ん中直球を合わせて風に乗ってレフトオーバーのヒット(三塁を狙ってアウト)
彼も中井と同様に、このメンバーの中では力の違いを見せなくてはならない。
6番 ショート 若林晃弘
②外角直球を引っ掻けるがサードゴロエラー (サードは岡本)
④内角スライダーを打ち上げてレフトフライ
⑥内角高め直球を叩いてライト前ヒット
⑨デッドボール
ショートの守備に関しては一軍レベルでは厳しい。
7番 キャッチャー 岸田行倫
②外角直球を合わせて一塁線を破るタイムリースリーベース 打点2
④外角スライダーを引っ掻けてサードゴロ
⑥⇒盗塁失敗(田中好送球) チェンジ
⑦真ん中低めの直球を打ち上げてライトフライ
⑨相手が制球を乱して四球
第二捕手争いでは田中と横一線と見る。
8番 レフト⇒ライト 青山誠
②真ん中カーブを掬い上げてツーランホームラン 打点2
④外角高めの直球に差し込まれてセカンドゴロ チェンジ
⑦真ん中直球を叩くがサードゴロ青山
⑨内角フォークボールを合わせるがピッチャーライナーのダブルプレー 試合終了
持ち前のパワーでHRを放ったが、風に助けられたのも事実である。
レフトの守備もまだまだ心もとない。
一軍の切符を掴むには更に攻守でレベルアップが欲しい。
9番 DH 河野元貴
②内角直球を捉えてセンター前ヒット
⑤外角直球を引っ掻けてセカンドゴロ
⑦真ん中直球を捉えてライト前ヒット
バッティングは元々良いものを持ってるので、あとはインサイドワークで進歩を見たい。
【白組投手成績・雑感】
◇畠世周 2回4安打3失点
・直球の平均スピードは130キロ後半
・投じた変化球はカットボール、スライダー、チェンジアップ、フォーク
直球主体の投球で、配球的にも結果を度外視している内容だった。
横風が厳しく体感温度も低い中での投球だったので、直球の走りが良くないのはある意味当然と言える。
割合が少なかった変化球も高めに集まっていた。
◇ヤングマン 1回1安打1失点
・直球の平均スピードは140キロ前半だが、どのボールも左右に動いている。
・投じた変化球はカーブとカットボール
・全体的にツーシーム系の直球を低めに集めて、ゴロを打たせる意識でマウンドに上がっていたと思う。
・彼のウイニングショットであるカーブを投じたのは1球だけなので、もう少し見てから判断したい。
・セットポジションについては、牽制のターンはまずまず速い。
・クイックモーションは現状では平均点以下
味方のエラーで許した出塁を、連続ボークと盗塁をからめられて、簡単に失点してしまったが、彼にとっては良い経験になったと思う。
投球後の表情を見ても、決してイライラしているような雰囲気は無かったし、逆に日本の細かい野球の一片を体験出来た事をプラスに考えているだろう。
◇山口俊 1回 無安打 無失点
・4直球系の平均球速は140キロ前後、ツーシームとフォーシームを投げ分けていた。
・大きく曲がる変化球は投げていなかった。
ほぼ直球系だけで打者を討ち取り、格の違いを見せつけた投球だった。
まだまだ制球に甘さは残っているが、ボールの質が良いので打者は完全に力負けしていた。
彼については近日中に特集記事としてお伝えしたい。
◇野上亮麿 1回2安打2失点 1奪三振
・直球の平均スピードは130キロ台後半、ツーシームも織り混ぜていた。
・変化球はスライダーとチェンジアップ
直球系が時おり高めに抜けてしまうのが気になるが、全体的に低めに集めてゴロを打たせていた。
又、味方のまずいプレーや不運な打球などが重なって失点したが、ピンチの場面でも「なるほど」と感じる投球内容で「落ち着いたマウンド捌き」と「クレバーさが光る」好投手だった。
ただ、この試合では変化球が少なかったので、もう少しこれらの精度を見てから詳しく論評したい。
◇戸根千明 1回 無安打 無失点
・直球の平均スピードは130キロ中盤
・投じた変化球はカーブのみ
今日はほぼ狙ったコースに直球・カーブともに決まっていた。
対右打者には外角の直球とカーブを出し入れして、打者を幻惑させて討ち取り、対左打者への外角直球も素晴らしい角度で投じられていた。
前回のピッチングには、やや失望していたが、今日のような内容をコンスタントに続けていく事が望まれている。
◇成瀬功亮 1回3安打1四球3失点 1奪三振
・直球系の平均スピードは130キロ台後半で、ツーシームを多投していた
・投じた変化球はスライダーとチェンジアップ
前回の登板よりも制球を乱し、カウントが悪くなって甘くなったボールを叩かれていた。
◇高木京介 1回4安打2失点
・直球の平均スピードは130キロ中盤
・投じた変化球はカーブ、スライダー、チェンジアップ、カットボール
良かった頃のボールの切れには程遠い。
相手が経験の低い打者なので、テクニックを使って何とか2失点で済んだが、一軍の打者相手では更に失点を重ねていただろう。
◇アダメス 1回 無安打 無失点
・直球の平均スピードは140キロ後半
・変化球はスライダーを投げていた。
直球でねじ伏せていたが、レベルアップするには三振を奪うボールが欲しい。
【総評】
非常に強い風の中で試合が行われ、守ってる選手には気の毒な状況だった。
しかし、それを考慮にいれても言い訳できないミスが多く、特に何人かの選手に関しては、一軍レベルの守備力には足りない事が露呈した。
以上 敬称略