3月の読売ジャイアンツは全国各地に移動してオープン戦を行うが、その最初の相手として、札幌ドームで北海道日本ハムファイターズと2試合対戦する。
オープン戦 北海道日本ハムファイターズvs読売ジャイアンツ
【G野手雑感】
①立岡宗一郎
1、死球
2、外直球を空振り三振
3、外直球を合わせてレフトフライ
内と外に直球を出し入れされて対応出来なかった。
→重信慎之介
1、中フォークを捉えてライト前ヒット
2、内直球を差し込まれてサードゴロ
3、相手が制球を乱して四球
甘いボールはキッチリ捉えるし、ボールの見極めも悪くない。
久しぶりにヒットが出て、本人もホッとしてるかもしれない。
②片岡治大
1、中直球を捉えて二遊間ヒット
2、中直球を差し込まれてセカンドゴロ
3、粘って四球
4、外カーブをバットの先でレフトフライ
5、外直球を差し込まれてセカンドゴロ
二度出塁して2番の役割は果たした。
又、凡打の内容も悪くない。
→吉川大幾
1、外直球を合わせてショートライナー
この試合でもセカンドとショートで球際の強いプレーを見せていた。
今年は更に安定感が加わっているので、守備でのミスは殆ど見られない。
彼も地味ながら成長を感じる選手である。
③坂本勇人
1、中スライダーを叩いて三遊間ヒット 打点1
2、中直球を引っ掻けてショートゴロエラー
3、中低フォークを空振り三振
4、外直球を打ち上げてセンターフライ
5、中フォークを泳いでサードゴロ
バッティングの欠点の一つである「バットのヘッドが下がる癖」が出てしまっていた。
これはトップからスイングが始動する時に右肩が下がっている事が原因になる。
→和田恋
1、外スライダーを打ち上げてセンターフライ
④ギャレット
1、中直球を叩いて右中間本塁打 打点3
2、中スプリットを打ち上げてセンターフライ
3、内直球を詰まってセンター前ヒット
ここ最近はかなり強くスイング出来る形になっていたので、HRが出るのは時間の問題と思っていたが、HRが出にくい札幌ドームで打つとは思わなかった。
HRの場面は、やや差し込まれていたが、インパクトの瞬間に左手でしっかり押し込んでいるので打球は伸びた。
この「左手の押し込み」があるので、3打席目のヒットも野手の間に落ちた。
長打力が魅力の選手が打率を上げるには、相手の守備陣形を深めにさせなければならない。
そうすれば、この第3打席のように打球は外野の前に落ちる。
ある意味、このヒットは1打席目のHRが呼び水になっている。
→中井大介
1、内直球を詰まってライトフライ
2、内直球を詰まってショートフライ
ここ最近、同じようなボールで攻められて、同じような凡退をしているようでは芸がない。
何でも逆方向というバッティングをするのではなく、しっかり相手の配球を読んで、時には強引に引っ張るスイングも必要だと思う。
折角、キャンプと練習試合でアピールしていたのに勿体ない。
しかも、ファースト守備でも、記録上は投手のエラーだが、中井の送球ミスと言われても仕方がないプレーを犯してしまった。
⑤クルーズ
1、中直球を打ち上げてライトフライ
2、外直球を打ち上げてサードゴロ
右投手相手では、基本的にはこの試合のような攻められ方になり、こういう凡打が多くなるだろう。
→村田修一
1、内ショートを捉えてセンター前ヒット
2、内直球を空振り三振
3、中直球を捉えてセンターフライ
明らかにキャンプ終盤と比べるとバッティングの状態が良くなっている。
一番変わったのは、構えからトップを作るまでの過程。
微妙なので分かりにくいかもしれないが、①と②の村田の構えを比べると、②の方がゆったりしてるように見える。
このように見えるのは、正面映像なので確信は持てないが、恐らくスタンスを少しだけ狭くした事が直接的な要因だと思うが、これによって打席での無駄な力みが感じられなくなった。
今キャンプでの村田は、上半身の形(構えからトップまでの過程)を強く拘っていたように筆者には見えたが、その分だけ下半身への意識が低いように感じていた。
つまり本来であれば、下半身から先に動かして、その後に上半身を始動させる意識がバッティングには必要だが、極端に言えば、以前の彼は先に上半身で構えを作ってから下半身を動かしているように見えた。
今の形はそれが逆転し、スタンスを狭くすることで下半身が動きやすい状況を作り、先に下半身から始動させて、後から上半身が動いてトップまでの形を作っている。
もう少し分かりやすく言えば、人の日常的な動きを見ても、両足を大きく開いて立っている状態では、体全体の動きが固くなり、瞬間的な動きが遅くなるが、普通に(肩幅程度のスタンス)立っていれば、体全体がリラックスしている状態で、咄嗟の動きも出来る。
決して全ての選手に当てはまる話ではないが、少なくとも上半身が力みやすい彼には、今のようにスタンスを狭くして、ゆったり構えた方が良いと思う。
岡本が結果を出し始めたが、彼も調子を確実に上げてきている。
⑥長野久義
1、外スライダーを引っ掻けてサードゴロ
2、内フォークを捉えてライト前ヒット
3、外スライダーをやや泳いで大きなレフトフライ
4、中直球を差し込まれてショートゴロ
2月の実戦ではボールの見切りが早く、簡単に空振りするケースが多かったが、ここ最近はボールを最後まで呼び込んでいる。
2打席目のライト前ヒットと3打席目の大飛球は、まさにそれが如実に表れていた。
→大田泰示
1、中直球を捉えてセンター前ヒット
彼も村田と同様に、キャンプ中のバッティングと比べて良くなっているが、これについては明日以降で触れたい(今回は全体の記事が長文になった為)
⑦亀井善行
1、中直球を叩いてライト前ヒット
2、外フォークを打ち上げてセンターフライ
3、外直球を捉えてセカンドゴロエラー
4、外直球をバットの先でショートゴロ
バットが体の内側から出ているので、直球系に対して振り負けないスイングになっている。
凡打の内容も悪くない。
→堂上剛裕
1、中低フォークを空振り三振
この試合から一軍合流で、今季オープン戦初登場となったが、やや力んでしまっていた。
⑧岡本和真
1、中直球を差し込まれてショートゴロ
2、内フォークを詰まってレフト前ヒット
3、中フォークを捉えてレフト線二塁打 打点1
4、中直球を捉えてセンター前ヒット
5、中直球を捉えてレフトフェンス直撃二塁打
オープン戦では攻守で精彩を欠いていたので心配していたが、初ヒットが生まれてかなり気分も乗って来たようだ。
彼本来の積極性も戻ってきたし、スイングに迷いも感じなかった。
相手のボールが甘かったとはいえ、140キロ後半の直球を二度にわたって完璧に弾き返したのは見事だった。
一方、サードの守備ではエラーにはなっていないが不安を露呈していた。
開幕スタメンを勝ち取るには、これが大きなポイントになる。
⑨小林誠司
1、外直球を見送り三振
2、中直球を送りバント
3、中直球を捉えてサードゴロエラー
まず、去年は散々ミスしていた送りバントを完璧に決めた事は評価したい。
又、バッティングでも記録はエラーとなったが、しっかり捉えた打球だったので、彼による2打点と言っても差し支えあるまい。
→相川亮二
1、中スピリットをスライダーを引っ掻けて三遊間ヒット
2、中直球を捉えて右中間三塁打 打点2
彼もこの試合から一軍合流したが、早速バッティングで結果を残した。
1打席目はしぶとく、2打席目はチャンスの場面で会心のバッティングだった。
彼もバットの軌道が内回りなので、打球も力強く、ミスショットも少ない。
【G投手雑感】
☆田口麗斗 4回2/3 5安打2四球1失点 奪三振4
直球系(カット気味含む)と2種類のスライダーを軸にカーブ・チェンジアップを投げていた。
直球系のスピードは129~140キロ。
キャンプの疲れがあるのかもしれないが、マウンド上での雰囲気からコンディションがあまり良いとは思えない投球だった。
ボールの切れも良くなかったが、何よりも全体的に制球が乱れていたので、ボール先行のカウントになって投球を苦しくしていた。
客観的に見れば、今回の内容では本番は1失点で終わるとは思えないが、それでも最後まで粘っていたので良しとしたい。
特に失点された直後の5回の投球は球数も増えていたが、ボールの質と精度が上がっていたので、そこは評価出来るポイントだった。
→矢貫俊之 1回1/3 0安打0失点 奪三振1
直球系(ツーシーム含む)とフォークを軸にカーブを投げていた。
直球系のスピードは141~144キロ
直球をコーナーに集めてカーブで緩急をつけ、最後はフォークで落とすスタイルが出来ている。
そして、今回もキッチリ結果を残した。
首脳陣の評価も急上昇していると思うし、何よりもピッチングに安定感を感じる。
→中川晧太 3回3安打1四球1失点
直球系を軸にシュート・スライダー・カーブを投げていた
直球系のスピードは135~139キロ。
この試合では制球に苦しむ場面が多く、F打線が打ち損じてくれた印象が強い。
しかし、直球については彼独特のベース上での切れを感じるし、変化球ではショートが良く、新人左腕でこれだけのシュートを投げられる投手は珍しい。
これでスライダー系がもっと良くなれば、将来的に十分戦力になるのは間違いない。
ルーキーながら首脳陣の評価が高い投手だったが、今回の登板で筆者もそれを十分に理解した。
【F新戦力雑感】
★横尾敏建
1、中直球を捉えてセンター前ヒット
2、外チェンジアップを拾ってライト前ヒット 打点1
3、内直球を差し込まれてピッチャーゴロ
4、中カーブを捉えて大きなレフトフライ
彼のバッティングは「テイクバックが小さく、フォロースルーが大きい」のが特徴で、日本人では貴重なハードパンチャータイプと言える。
又、単純にバットを振り回すだけではなく、懐の深さを感じる「柔らかさ」も持ち合わせている。
現状ではやや内角直球に苦しむかもしれないが、素材的にはかなり魅力的である。
これで守備も問題なければスタメンで積極的に起用したい選手である。
☆バース 3回5安打2四死球4失点 奪三振2
外国人としては珍しく、オーソドックスな投球モーションで、綺麗なフォーシームを多投する。
このボールを軸にカーブとスライダー、そしてフォークをウイニングショットとして使う。
直球のスピードは145~155キロ。
全体的に制球は纏まっているが、やや変化球がボールになるケースが多い。
この試合の投球を見て気になったのが、ランナーを出すと投げ急いでボールの質がガクンと落ちること、
特に直球はスピードが4~5キロ落ちるし、変化球もなかなか決まらない。
一方でランナーがいないケースでは、150キロ以上の直球を連発し、最高では155キロまで出ていた事を見ても分かるように、質の高いボールを投げていた。
☆マーティン 1回2安打0四球0失点
長身から投げ下ろす直球(ツーシーム含む)を軸に、スライダーとスプリットを織り交ぜていた。
直球のスピードは145~151キロ。
ヒットを2本打たれたが、殆どのボールが低めに集まり、セットアッパーとしては比較的安心して送り出せるタイプと言える(長打を打たれる危険性が低い)
一方で、外国人としては普通レベルだが、やはりクイックモーションが出来ていないので、日本では足でかき回される可能性が高い。
恐らく、これは急には修正出来ないので、日本で成功するには「ある程度走られても仕方がないと割り切って投球出来るか?」がポイントになる。
☆井口和朋 1回0安打0四球 奪三振1
彼独特のモーションから投げ下ろす直球を軸に、縦変化のスライダーを少し投げていた。
直球のスピードは139~146キロで、角度を感じるので打者はタイミング的に詰まりやすい。
変化球は縦のスライダーしか投げてなかったので評価しづらいが、このボールに関してはまずまず使える球種だと見る。
あとは、セットポジションでの投球がどうなのか?
ここが問題なければ、本番でも十分にリリーフとして使えると思う。
【試合結果】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨 人 | 4 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 2 | 10 |
日本ハム | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 |
巨人 田口、矢貫、中川
日本ハム バース、斎藤、井口、マーティン、谷元、増井
試合は序盤からG打線がヒットを重ねて(15安打)巨人が勝利した。
【試合総評】
久しぶりにG打線が爆発(15安打・10点)する姿を見た。
そして、オープン戦ではあるが、Gの4番がスリーランを放った場面を久しぶりに見た。
思えば去年は三月のオープン戦から貧打の兆しが見えて、そのままシーズンでも打線が上昇しないまま終わってしまったが、この試合では、序盤は主力がヒットを重ねて大量得点、中盤から終盤は、控えのベテラン・中堅と期待の若手が長短織り交ぜて得点を重ねていった。
勿論、オープン戦で何点取ろうが、ヒットを何本打とうが関係ないが、それでも打線が爆発してくれたという事実は、去年から重苦しさが漂っていたG打線にとっては、その空気を払拭させる意味でも、プラス材料と考えても良いだろう。
しかも、阿部不在の中で結果が出た事は喜ばしい。
一方、日本ハムについては、イージーミスと球際で弱さを見せたりと、守備面で課題が出てしまったが、そんな中でもルーキーの二人(横尾と井口)のプレーは目についた。
横尾は守備で課題を残しているので、公式戦でどこまで使ってくれるか微妙な立場だが、バッティングは魅力的である。
井口もセットポジションでの完成度次第では十分に戦力として計算できる。
以上 敬称略