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【試合のポイント】首位奪還! 負けムードを一変させた立岡宗一郎のセンター前ヒット【セ公式戦 GvsD 16回戦 8月1日】

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7回表のルナのHRは、Gファンにとってこの試合の負けを覚悟させる一発だった。
いくら相手が7連敗中のチームとはいえ、G高木勇の失点の仕方が余りにも不味かったからである。

6回裏に2本のHRで同点に追い付き「これから!」という流れの中で、2アウトを取った後に再び相手に勝ち越しを許すという展開は、筆者の経験上では「敗戦濃厚」という事になる。

しかし、思いもよらなかったドラマが9回裏1アウトから始まった。。。。

 123456789
中 日0001012004
巨 人000002< /span>003x5


【試合のポイント】
9回裏のGの攻撃は、その中の様々な出来事が、その後のサヨナラストーリーの布石となっていた。
では、この場面を振り返る。 

①代打堂上のセンターフライで1アウト

②代打高橋由は四球で出塁
D福谷は、直球の制御が全く出来ていない状態に陥っていた。
この時期の9回裏のアウトカウントを稼ぐ過程は、春先とは比べ物にならない負担を要する。
相手が優勝争いしているチームで、しかも相手のホーム球場で戦う場合は、一つの四死球で出塁を許すと球場の雰囲気をガラッと変えてしまう。

③代打立岡がセンター前にクリーンヒットを放つ
個人的には、このヒットが最大のポイントと考えている。
前の高橋由に対して、絶対やってはいけない四球という形で出塁させてしまった福谷は、次の立岡に対しては必ずストライクを取りに行こうとする。
ここで立岡が凡退すれば、その瞬間にGが同点に追い付く可能性は限りなく低い確率となる。
Gが同点に追い付くには、同点のランナーとなる立岡が絶対に出塁せねばならなかった。

更に、直球を綺麗に弾き返した内容も大きかった。
これで福谷は、次の打者に対して「初球から真ん中低めに直球を投げ込む勇気」が無くなってしまった。

④橋本が四球で出塁し、1アウト満塁のチャンスを作る
立岡がチャンスを広げた上に、自慢の直球を綺麗に弾き返された事で、福谷は初球からコーナーに狙わざるを得なくなっていた。
勿論、腕を振って、自慢の直球を低めに目一杯投げ込める筈もない。
こうなってしまうと、速球投手はストライクが入らなくなり、3ボールという大ピンチに陥る。
そして何とか1ストライクを稼いだ後、次に投じた低めの直球は福谷には「ラッキー」な判定となり、フルカウントまで辿り着くことが出来た。

尚、余談だが、この判定はかなり橋本には厳しい判定だった。
次の低めのボール球に対して、橋本は手を出してしまったが、前のボールをストライク判定されてるので、彼の心情を代弁すれば「手を出さざるを得ないボール」だった。
テレビ解説の堀内氏は、橋本を批判していたが、個人的には「致し方ない」という思いだった。

本題に戻ると、結局、橋本は四球で出塁し、更にチャンスを広げる形を作った。
この出塁で、逆転サヨナラの可能性が大きく広がった。

⑤片岡がしぶとくレフト前に弾き返し、1点を返す。
投手心理というものは不思議なもので、満塁の状況まで追い込まれると「開き直る」精神状態になるケースが多い。
福谷も同様で、片岡に対して切れの良い直球を3球投げ込んで、片岡を逆に追い込んだ。
しかも、ここまで変化球を見せていないので、片岡の立場で考えると、低めにストライクゾーンからボール球になる変化球を投げられると、間違いなく振りに行ってしまうケースだった。

しかし、福谷が投じたボールは甘いスライダーだった。
コースが甘かったからこそ、何とか片岡はバットに当てることが出来た訳である。
しかも、片岡は最後までしっかり振り抜いたので、詰まってもショートの頭を越える打球となった。

これで1点返し、ここまで来るとGファンは、同点ではなくサヨナラを期待した筈である。
球場のボルテージは最高潮に達していた。

⑥坂本がレフトオーバーのサヨナラ2塁打を放ち、Gの劇的勝利で幕を閉じる。
ここまで来ると、球場全体は坂本にサヨナラ打を期待していた。
逆に言えば、ここで福谷が踏ん張れば「逃げ切り」も十分あり得た訳である。

直前に、片岡が甘いスライダーを叩いている姿を間近で見ていた坂本は、追い込まれるまでは100%「直球狙い」だった。
まだ満塁という状況が続いているので、Dバッテリーは、初球からボールになる可能性の高いスライダーを投じる事は難しかったと思う。
初球の直球で「何とかファールを打たせてカウントを稼ぎたい」と考えていたと思う。

しかし、このピンチを切り抜けるには、初球からスライダーを投じる他なかった。
それくらい、今の坂本は状態を上げてるし、しかも狙い球を直球一本で絞っているので、コースが少しでも甘くなれば痛打される可能性が高い。

結果、坂本が強振した打球は、前進していたレフトの頭を越えていった。

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この勝利は、Gにとってターニングポイントになる1勝かもしれない。
シーズンが終わった後に「あの1勝が大きかった」とGファンが語り合うかもしれない。
それくらい、絶望的な状況からの「まさかの勝利」だった。

以上 敬称略