【試合のポイント】菅野・藤浪のエース対決! 最後に明暗を分けたのは「投手としての総合力の差」だった!【セ公式戦 GvsT 20回戦 8月20日】

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久しぶりに心が揺さぶられる投手戦だった。。。
両軍先発投手(G菅野・T藤浪)の投げ合いは「伝統の一戦」の歴史に残る素晴らしい内容だった。。。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1
巨 人 0 1 0 0 0 0 0 0 1x 2

確かに両チームの攻撃については「反省すべきポイント」が有るし、監督采配でも疑問が残る部分が有ったのは事実である。
しかし、そんな事を超越する両投手の「魂のこもったピッチング」だった。 

【G投手雑感】

★菅野智之
前回に引き続いて「コンディションの良さ」を感じる内容だった。
シーズン前半と比べると、直球の平均スピードが3~4キロ上がっているし、 特にスライダーのキレは抜群だった。
個人的には「久しぶりに彼本来のスライダー」を投げていたと思う。
但し、そのスライダーが抜けて真ん中に集まるケースも少なくなかったが、打者の手元で鋭く変化していたので、打者は面白いように打ち損じていた。
結局、そのスライダーをしっかり捉えていたのは福留だけだった。

この試合のピッチングで特徴的だったのは、カーブとフォークボールを殆ど使わなかった事で、特にフォークボールを勝負球として使ったのは、6回のピンチの場面でゴメスから三振を奪った場面のみ。
他のケースについては、次のボールへの布石として使っているように感じた。

肘の故障明けである今シーズンは、ここまで彼本来のボールの威力やキレが見られず「技で誤魔化している印象」が強かったが、ようやくエンジン全開でも耐えられるコンディションになったのかもしれない。
元々走者を出す事を必要以上に気にせず、ピンチを迎えた時に「ギアチェンジ」出来る事が彼の特徴だったが、昨日はそのギアチェンジが、一気に3段上がったかのような圧巻のピッチングだった。

【G野手雑感】

☆立岡宗一郎
彼には毎試合驚かされている。
苦手なコースを克服していたり、苦手な球種を克服していたり、流し打ちが多いと思っていたら引っ張る打球も飛ばしている。。。
更に課題の一つだった走者としての打球判断もかなり進歩している(但し、相変わらず外野手としての打球判断は良くないが。。。)

古い話で恐縮だが、篠塚が台頭した時と同じくらいの衝撃を受けている。。

☆坂本勇人
嫌な空気が漂う中で、見事に勝負を決めてくれた。
バッティングの状態については相変わらず良くない。
しかし、サヨナラの場面で彼にとって幸いだったのは「呉のスライダー」は「藤浪のスライダー」より全ての面で劣っている事。
藤浪のスライダーに慣れている彼にとっては、呉のスライダーは怖くない球種だった。
呉が初球からスライダーを投じたことで勝負は決まった。

☆阿部慎之助
藤浪に対して、最初の2打席は真っ向から挑んでいたが、完全な力負けだった。
そして3打席目からは、明らかにスイングを変えていた。
プライドを捨てて、足を上げずにタイミングを取り、コンパクトなスイングで長打を打つ意識を捨てていた。
その結果、第3・4打席共にヒットを放った。

☆村田修一
藤浪のスライダーに対して、全くタイミングが合っていなかった。
あれだけ意識していながら甘いボールを打ち損じ、完全なボール球を振っていては話にならない。
これでバッティングを崩さなければ良いが。。。

☆小林誠司
個人的には、彼の成長を日々感じる事が何よりも嬉しい。
菅野とのコンビについては、もはや黄金バッテリーといっても差し支えあるまい。
彼とは会話を交わさずとも、バッテリー間で「阿吽の呼吸」が出来ている。

バッティングについても1軍の投手に慣れてきたので、狙い球をしっかり絞って打席に立っている。
ここでもクレバーな一面を感じる事が出来る。

【試合のポイント その①】

両投手の魂のこもった投げ合いで、最後に明暗を分けたのは「投手としての総合力の差」だった。

Gファンとしては認めたくはないが、投げたボールの「凄み」だけを見れば、藤浪の方が上である。
しかし、少ない球数で打者を討ち取る「投球術」と、捕手の要求通りに投げられる「制球」は菅野の方に軍配が上がる。
結局、序盤で無駄な四球を相手に与えてしまっていた藤浪の方が、菅野より余計に球数を要してしまい、9回は明らかにバテていた。

だが、それよりも大きな差を感じたのは「9人目の野手としてのフィールディング」の方だった。
初回のバント処理の際では、1塁にワンバウンド送球していたし、最終回のバント処理に至っては捕球ミスでチャンスを広げてしまった。
勿論、最終回のミスの直接的な原因は、疲れで足が動かなかった可能性は否定できないが、他の場面のバント処理やゴロの処理を見ていると、無難にこなしているように見えるかもしれないが、実は相当危なっかしい。

今後、他球団はここを弱点と見て突いてくる可能性がある。

【試合のポイント その2】

良くも悪くも常に前向きの姿勢で、自分の信念で采配していた原監督と、やや消極的で選手任せに感じる采配が目立った和田監督。
筆者はこんな印象を持った。

この試合での原采配を象徴している場面は4つあった。

①7回表・2アウト2塁で、敬遠せずに8番鶴岡と勝負させた場面
②8回表・2アウト3塁で、福留をあっさり敬遠して、4番ゴメスと勝負させた場面
③8回裏・1アウト満塁で、亀井を下げて代打高橋由を起用した場面
④9回裏・ノーアウト1・2塁で、1番立岡に送りバントではなく強行させた場面

結局①②④が成功し③だけが失敗したが、特に④については、もしも失敗していたらマスコミやファンから激しく糾弾されていたかもしれない。
ある意味ギャンブルに近いので、賛否はともかく責任の所在だけは明確に分かる采配と言える。

逆に、消極的で選手任せの和田采配を象徴している場面は2つあった。

①2回裏・2アウト1塁で、8番小林に対して外野手を深く守らせずに中間守備を敷いていた。
 →左中間突破の2塁打で1塁走者の生還を許した。

この場面は次が菅野なので、小林の打席で1塁走者の生還を許さなければ、高い確率で無失点で切り抜けられた筈だった。
T首脳陣
が守備陣形に細心の注意を払っていれば、防げた失点だったかもしれない。
やや小林を舐めてかかっていた印象はぬぐえない。

②首脳陣の迷いが露呈していた藤浪の交代時期

1点差勝負の状況で9回裏を迎えて、続投という決断をしたのなら最後まで任せるべきだったし、逆に不安の方が先行していたのなら、イニングの頭からスパッと変えるべきだった。

個人的には、Tが本当にこの試合を大事に思っているのなら、危険な兆候が如実に現れていた8回裏を最後にするべきだった。
明らかに球威は落ちていたし、最後の力を振り絞って由伸と村田を三振に討ち取っていた。
(但し、個人的には最後まで投げきって、菅野との勝負を決着させてあげたかった)

どれも結果論かもしれないが、両監督の姿勢が、試合の流れに微妙な影響を与えていた印象が強かった。

以上 敬称略