高橋由伸体制の3年を総括する

高橋由伸体制の3年を総括する

多くの方からの御期待・御要望に応えられず、長らくブログでの活動が滞っていた事をまずはお詫びしたいと思います。

「大変申し訳有りませんでした」

一方で、ツイッター等を通して、様々な御意見・情報をお寄せ続けていただいたことに対して改めて感謝申し上げます。

これからオフシーズンとなるのでblogの更新頻度は格段に落ちていくと思いますが、充電期間中に色々思うことが多かったので、それをblogとTwitterの両方を使いながら少しずつ皆さんに発表していきたいと思いますので、どうか引き続き超激辛NPBコラムを宜しくお願い致します。



「高橋由伸体制の3年を総括する」

当初は2018年のシーズン総括に論点を絞って書いていくつもりだったが、その前に、どうしても書いておかねばならない事があったので、それを「高橋由伸体制3年間の総括」として書き記していこうと思う。ここを触れずして2018年の由伸ジャイアンツを総括することは出来ないし、ドラフトの展望や第3次原体制についても語れない。

★最後までドタバタ続きで新人監督をバックアップ出来ず

さて、我がジャイアンツは2018年度のシーズンも残念ながら3位に終わり、これで4年連続で優勝を逃す結果となった。この結果を受けて、高橋由伸監督が辞意を球団に申し入れ、それが受理された形で由伸体制の3年間が終焉となった。

改めて振り返ると、由伸体制の3年間は、まさにドタバタの連続だった。コアなGファンなら誰でも知ってる事なので詳細は避けるが、ざっと挙げていくと「唐突な高橋由の選手引退と監督就任までの経緯」「G選手による野球賭博問題」「シーズン中の堤GM退任、鹿取GM体制への移行」「G選手による窃盗事件」「様々な不祥事による球団トップの交代」など、直ぐに思い付いただけでもこれだけ挙げられるということは、由伸体制の3年間は本当に厳しい状況の中でチームは戦っていた事がよく分かる。



★ついに露呈した原体制の「陰の部分」を由伸体制が全て請け負う

思えば、前任の原辰徳監督は2000年以降、G監督として02~03年、06年~15年、19年間中12年に渡って巨人の中心軸としてチームに関わってきた。勿論、2度のリーグ3連覇や3度の日本一、FA補強だけに頼らずに生え抜きと補強を融合させたチーム作りは大いに称賛すべきで、これだけの結果を残してきたG監督はそう多くはいない。名監督といっても差し支えない実績である。

但し「陽」には隣り合わせで「陰」があるのが世の常で、野球だけに限らずどのスポーツも例外ではない。例えばチームが結果を残し続けている状況では、本人達にそのつもりがなくても「気の緩み」がどうしても生まれやすくなるし、又、連覇中の選手達(特に投手陣)には肉体的に無理を強いてるケースが多く、その反動で故障者が続出する危険性が高くなる。そして、まさに第2次原巨人の末期のチーム状況はこんな感じだった。



★常勝チームの世代交代ほど難しいミッションはない

数年前の巨人のように、長期間安定して上位に食い込んできたチームの終末期では、油がのりきった生え抜きのスター選手や、FAで獲得した高年棒選手が多く存在するわけで、その選手達はチーム成績が良ければ中心選手として出場し続けるので、当然ながら世代交代はなかなか進まずに若手のチャンスも少なくなる。これは勝負の世界では至極当然の出来事だが、ちょうどその時期に伸び盛りの年齢を迎えた若い選手の立場で考えると不運としか言いようがない。しかし、それでもその現状を受け入れていつかスター選手を追い越さねばレギュラーにはなれないのだが、現実問題としてかなり高いハードルであることは過去の歴史が証明している。

つまり、スター選手が加齢による肉体的な衰えで成績を急激に落とす時期や、故障によって出場できなくなるアクシデントが生じたまさにその時に、後継として期待されてる若い選手が結果を出し続けないとレギュラーの座はモノに出来ないし、チャンスを逃す結果となった場合は下手をしたら失格の烙印を押されて、新たなライバルとなるルーキーを次のドラフトで獲得されてしまう可能性もある。このように外野から眺めている我々ファンからすれば「世代交代」の必要性を訴えてスムースに運んで貰いたいと願ってはいるが、現実問題としてこのミッションを完遂する事は容易ではない。



★野球はチームスポーツだが「個人事業主」である選手の給料は個人成績で決まってしまう

選手の給料はチーム成績も多少影響してくるが、基本的には個人成績で給料は決まる。よって、選手が自分の給料を上げるためには、まずは試合に出なくては話にならない。そして、そこで結果を残して数字を積み上げていかないと高給取りにはなれない。穿った見方をすれば、出場するチャンスが少ない選手は大なり小なり不満が蓄積されて、チームに悪影響を与えてしまう可能性もあるわけである。そういう最悪の事態にならない為に、監督が出場機会が減ったベテランや若手を上手にマネージメントする必要があるし、それが上手く出来ていないと、決して表向きには現れないが、裏ではチームが崩壊の危機にさらされる危険性が出てくる。



★世代交代は「言うが易し行うは難し」であるが、既にノウハウを確立しつつあるチームも存在する

若い選手の出場機会を増やすために、サッカー界ではレンタル移籍の制度が有り、それがビッグクラブと弱小クラブをWin-Winの関係にして制度を活発に活用している(そもそもプロチームが世界中に多く存在し門戸が広い)

この制度の恩恵で若い選手のチャンスは野球以上に多いだろうが、相変わらず保守的でチーム間のトレードも少なく、サッカーよりも移籍の自由度が低い現在のNPBでは「運」で決まってしまう部分が大きいので「実力がある=試合出場のチャンスが多くなる」という単純な仕組みにはならない。野球界の世代交代はサッカー以上に「言うは易し行うは難し」である。しかし、それでも野球界でも最も育成力が高いと評判のカープが、ドラフトの逆指名制度とFA制度の影響をはねのけ、27年という長い不遇の時間を乗り越えて黄金時代を迎えている。そして、その根幹にあるのは、そのノウハウを確立しつつある「スカウティング」と「育成力」である事は明白だ。



★逆指名制度の廃止とFA市場の苦戦でジリチンになってしまった平成末期の巨人

これを巨人の話に置き換えると、原2次政権時に他球団から獲得して揺るがない軸となった小笠原・ラミレスが健在の時に、ドラフト逆指名組の阿部・内海、育成出身のシンボルとなった山口鉄等、後のWBC代表クラスの選手を成熟させることに成功し、見事に2度目の3連覇の礎を築いた事は大成功で、ここまではチーム作りとして成功と言っても良かった(というか他球団から主軸を強奪出来たおかげとも言える)

一方で大きな課題として少しずつ注目されてきたのが「次世代選手の育成」で、特に20代前半の野手が、2006年以降(ドラフトの逆指名制度は2007年で終了)は坂本勇人の台頭のみに留まり「その先」を見据えていくと不安が残ってしまった。それでもオガラミの補強と同じ手法が取れれば「問題の先送り」は可能だったが、時代とともにMLB挑戦の敷居が低くなり、又、ソフトバンクを代表とする新興勢力の豊富な資金力でも後塵を拝し、それまで選り好み出来たFA市場や、他球団の外国人選手獲得が困難になり、自前で主力選手を育成せざるをえなくなったが、巨人にとって大いに恩恵があった逆指名制度の終了で有望選手の獲得がより一層困難になった。



つまり、長く続いた原体制でついに表面化してしまった「陰の部分」を全て由伸体制が請け負ったということになる。表面上はゼロからのスタートではあるが、前段で指摘した「チーム全体の慢心」も含めて、その内実はマイナスのスタートと言っても過言ではなかった

★次世代野手の育成に失敗していた第2次原体制

だが、ただ手をこまねいていた訳ではなく、当然ながら原監督や歴代編成部門責任者(編成責任者がコロコロ変わって方針が一定しなかった)も、前段で指摘した次世代野手の育成を大きな目標として、原体制でのドラフト2006年以降から2014年までに13名の高卒野手をドラフトで獲得してきた。その内訳は。。。

※注意 2006、2007は分離ドラフト

2006 ①坂本勇人 ③田中大二郎 ④伊集院峰弘

2007 ①藤村大介 ③中井大介

2008 ①大田泰示 ④橋本到

2009 ②鬼屋敷正人

2010 なし

2011 ⑤高橋洸

2012 ③辻東倫

2013 ②和田恋 ④奥村展征

2014 ①岡本和真

合計13名獲得したが、この中でレギュラーを掴んだのは坂本と岡本の2人だけで、半分以上は既に引退や他球団に移籍し、中井や橋本は大きく伸び悩み、辻、和田も1軍では結果を残していない。

それなら大卒・社会人選手はどうなのか?

2006 ④円谷英俊 ⑥寺内崇幸

2007 ④加治前竜一

2008 ①長野久義 ⑥仲澤広基

2009 ④市川友也

2010 なし

2011 なし

2012 ②大累進 ⑤坂口真規

2013 なし

2014 なし

合計9名を獲得しているが、レギュラー格はドラ1の長野と小林の二人のみ、彼らの指名順位では逆にそうならないと困るレベルでもあるし、他には寺内がサブ的役割でチームに貢献したと言えるが、残りの選手については他球団でそれなりに成功している市川以外は、全滅といっても過言ではない。

つまり、第2次原政権の元で、ドラフトで野手を22名獲得したが、現在でもレギュラー格で活躍してるのは4人だけで、他は壊滅といっても差し支えない状況である。せめてこの中で準レギュラークラスが3人程度頑張ってくれていれば、野手層に厚みを持たせる事が出来ていたがそれも叶わなかった。



★投手陣でも若い芽が伸び悩んでしまった第2次原体制

では、今度は投手陣に目を向け、2006年以降のドラフトで入団した選手を振り返る。

まず高卒で入団した投手は10人

2006 なし

2007 ④竹嶋祐貴

2008 ②宮本武文 ③斎藤圭祐 ⑤笠原将生

2009 なし

2010 ②宮國椋丞 ③田中太一

2011 ①松本竜也 ②今村信貴

2012 なし

2013 ③田口麗斗 ⑤平良拳太郎

2014 なし

そして大卒・社会人の投手は19人と最も多い

2006 ①金刃憲人 ②上野貴久 ⑤深沢和帆 ⑦深町亮介

2007 ①村田透 ③古川祐樹

2008 なし

2009 ③土本恭平 ⑤小野淳平

2010 ①澤村拓一 ④小山雄輝

2011 ③一岡竜司 ④高木京介 ⑥江柄子裕樹 ⑦田原誠次

2012 ①菅野智之 ④公文克彦

2013 なし

2014 ②戸根千明 ③高木勇人 ④田中大輝

この中で大卒・社会人組では、菅野は今や球界を代表する大エースまで上り詰め、澤村も途中で怪我があったが今でもリリーフ投手として活躍している。田原も7位という順位を考えれば合格ラインの中に入る。そして高卒組では田口が今年こそ苦しんだが、年々確実に成長し実績も積み上げている。以上この3人までが順位と実績が見合ってると言えると思う。

一方で大卒・社会人組の上位指名である金刃、高木勇は初年度は大活躍といえるが、それ以降はジリチンで指名順位を考慮に入れると物足りなさは否めない。同じく高卒組では宮國と今村が同じ2位指名だが、両者ともに伸び悩んでいる。又、他の投手に至っては殆どの投手が一軍でローテ入りするどころか、リリーフ投手としても機能していたとは言いがたい結果だった。



★スカウト、育成、双方で大きな問題があると言わざるを得なかった第2次原体制

まず第一に、彼らのポテンシャルが単純にジャイアンツのレギュラーとしては力不足(スカウトの責任)であった事は否定できないし、チャンスを掴みそうな段階で怪我による離脱という不運と単純にチャンスを掴みきれなかった本人の甘さ(選手の責任)も当然問われるべきだと思う。しかし、2006年以降の第2次原体制で獲得したドラフト選手の全メンバーを上記のように改めて振り返ると、チーム編成に計画性を感じないし、お世辞でも選手育成が上手くいったとはいえない。やはり、実際に選手をスカウトした当時の編成部スタッフと、獲得した選手の育成に携わった原監督以下の現場首脳陣双方の責任を問わざるをえない。



★由伸には痛恨だった2015年のドラフト組の伸び悩み

第2次原体制の次世代を担う選手育成が殆ど機能しなかった事を前段で示したが、残念ながら由伸体制になった初年度の2015年ドラフトは、彼にとっては新監督として迎えた最初のドラフトだったが、2018年終了時点でお世辞にも「成功したドラフト」とは言えないし、特にドラ1の桜井俊貴の伸び悩みは痛恨の極みだった。

このドラフト直前に世間を大いに騒がせた野球賭博事件が発覚し、一部の見方では「有力ドラフト候補が事前に拒否していた」という信じがたい噂まで飛び交う状況だったので「自粛ドラフト」などと揶揄されていた。個人的にはそんな前評判を桜井には打破して欲しかったが、プロ初先発直後に肘を痛めた事でミソがついて、その後はドラ1の面影を全く無くしてしまった。本来なら彼がローテーションの一員として菅野をもり立てていく役割を期待していただろうが、現状ではそんな期待感から大きく後退している。



★3年間の由伸体制で獲得した大卒・社会人投手が、殆ど「即戦力」として機能せず

2015~2017年の3年間のドラフトで獲得した大卒・社会人出の投手のメンバーは以下の5人

2015 ①桜井俊貴 ⑦中川皓太

2016 ②畠世周 ③谷岡竜平 ④池田駿

2017 ①鍬原拓也 

この中では、怪我が多くて出遅れるケースが目立っているものの、1軍の主力としてバリバリ働いてる畠を除けば、他の投手はエレベーター投手になっている。つまり、お世辞にも即戦力として機能していないことになるし、第2次原体制で主力としてリリーフ陣の中核を担ってきた山口鉄と西村が、肩や肘の致命的な故障でパンクした穴埋めを全く出来なかった事が、由伸体制で特にリリーフ投手陣が崩壊してしまった最大の要因と言える。



★時代の変化についていけなかった平成末期の読売ジャイアンツ

前段で指摘したように閉鎖的な日本のプロ野球界では、選手の移籍が他のプロスポーツと比べても活発ではなく、若い選手に与えられるチャンスは多くない。その象徴的な球団が巨人・阪神・中日で、プロ野球創世記から続いている伝統球団だが、昭和から平成初期まではいずれも大商業圏に本拠地がある巨人・阪神・中日という図式でライバル関係を上手く構築して共存共栄していたが、それも時代とともに急速に変化していき、交通網の発達、娯楽の多様化、インターネットの登場で、自然と淘汰されつつあるし、やはり「伝統球団のプライド」が邪魔をして、思い切った改革案を示して実行に移すことが出来ずにいる。特に読売ジャイアンツの場合は長年貯めに貯め込んだ「巨額の内部留保を持つ小金持ち」だから、ある意味タチが悪い。



ソフトバンクやDeNA、楽天などのIT系球団の斬新な発想力や財力、一方で日本ハム・広島・西武のように、時代の変化を潔く受け入れて非常に合理的な球団経営へと転じた発想と理念は魅力的なチーム作りに繋がっている。逆に古い体質から脱却できない巨人は、これらの新しい時代の波に飲み込まれようとしている。そして、この急激な時代の変化に置いていかれようとしていた時期に運命のいたずらなのか由伸政権が誕生したわけである。

そして、そんな時代遅れの発想しか出来ない球団上層部の元では、GM制度も中途半端で終了し、由伸体制の3年間で2度も編成の最高責任者を更迭する異様な事態を招いてしまう。それがビジョンの見えなかった前段の過去のドラフトに繋がっているし、戦力の底上げ、中堅クラスの選手の空洞化となって、それがチームの成績に直結してしまっている。



★ついに覚醒した若きスラッガー岡本和真と、少しづつ確実に芽を現してきた由伸チルドレン

そんな最悪のチーム状況の中でも、岡本和真が今シーズン覚醒してくれた事は我々Gファンにとっては本当に嬉しかった。簡単に今季の岡本を振り返ると、キャンプ中からオープン戦序盤では特に目立つ活躍を見せていなかったが、オープン戦の後半からHRを量産するようになり、それが認められて阿部を差し置いて開幕スタメンを飾った。そこからは順調に結果を残し、交流戦序盤で4番を任せられてからは最後まで貫いた。途中で32打席ノーヒットや、指にデッドボールを受けてバッティングを崩しかけるが、結局それらの試練を乗り越えて143試合フル出場し、打率309、HR33、打点100という素晴らしい結果を残し、プロ野球史上最年少記録となる3割30本100打点を達成した。

技術的なことについては追々別の機会で語りたいと思うが、彼が最も素晴らしいのは、その頑丈な肉体だと思う。去年まで殆ど1軍に居なかった選手が、結局最後まで大きな故障もなく出場し続けた事は、何事よりも評価すべきポイントだと思う。

そして、その岡本とともに、ニュージャイアンツの象徴として、前半戦で躍動していたのが吉川尚輝で、残念ながらシーズン後半は故障で離脱してしまったが、来年に向けて大きな一歩を踏み出したと言っても過言ではない、攻走守で見事な活躍だった。

そしてプロ入り3年目のシーズンとなった重信慎之介も、シーズン後半戦でようやくプロで活躍する可能性を感じさせてくれた。

また、2017年のドラフトで獲得した大城卓三と田中俊太も、来年以降に大きな成長を期待させる片鱗を見せてくれたのは何よりだった。タイプは違うが両者ともに実戦的なバッティングが出来るので、チームにとって貴重な左打者として活躍が見込めるだろう。

投手陣では2年目の畠世周が最も伸びしろが大きく、大きく羽ばたいて欲しい人材。残念ながらCSファイナルステージで苦汁をなめたが、これも彼にとっては良い経験になるに違いない。他には高卒左腕の田口と今村、来年は貴重なワンポイントリリーフとして覚醒を期待している中川皓太など、今年苦しんだ由伸チルドレンが、来年以降に大きく羽ばたいてくれる事を期待したい。

以上 敬称略

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