昨日は両軍エースの投げ合いで、見応えのある投手戦となった。
確かにミスが目立つゲームだったが、好プレーも随所に生まれていた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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広 島 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
巨 人 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 1 |
【G選手雑感】
★菅野智之
状態は去年の良かった時と比べると、制球力が良くなかった。
特にスライダーと直球系が抜けて高めに行くケースが目立つので、若干怖さは残る。
但し、直球の質はかなり近づいてきたし、相変わらずピンチの場面では見事なギアチェンジをする。
特にフォークのキレと精度は圧巻だった。
彼の投球を見ていて感じるのは、コースと高さの両方で間違わないこと。
特に屋外球場なら、その日のコンディションで最善の策を取る印象が強い。
昨日の試合で例えるなら、レフトへの打球が伸びない事を見越して、右打者にはかなり大胆に攻めていた。
逆に左打者には、強振されないように慎重に投球していた。
これでシーズン3勝目になる。
開幕前の状態から考えれば、結果的に上々の滑り出しと言える。
そして、徐々に調子が上がっているので、肘の不安が無ければ更に期待できる。
肘のケアを万全にして、今季こそフルシーズン活躍してもらいたい。
★小林誠司
彼にとっては、先日の阪神戦に続いて大きな財産となる試合だった。
特に後ほど触れる8回表の配球は見事だった。
「大胆さと繊細さ」
両方感じた素晴らしい配球で、Cにとっては大チャンスの場面ではあるが、次第に大きなプレッシャーで押し潰されていた。
そして、忘れてはならないのが、相手の盗塁を2度阻止した見事な送球。
Cベンチが、何とか足で揺さぶって菅野を攻略しようとしたが、小林は逆にそれを尽く封じて相手に流れを渡さなかった。
明らかに、開幕当初と比べるとプレーの質が違っている。
やはり、阿部の故障で緊急出場した先日のT戦で、苦しみながら勝てた事が大きかった。
あれで落ち着いて、更に決勝タイムリーを打った試合で自信を持った事が、昨日の試合に繋がっていた。
この1勝は、小林にとっても大きいが、チームにとっても近未来に向けて大きな1勝となった。
【C新戦力雑感】
☆ネイト・シアーホルツ
TV解説の山本氏が語っていたように、現状は左膝の折れが大きく、バットが下から出てくるので、スイングが波打ってる状態になっている。
この2連戦の内容だけ見ると、外寄りの甘いボールが得意なゾーンに見えた。
それと低めの直球も、コースが甘ければ得意ゾーンになりそう。
バットが下から出てくるタイプなので、彼は低めが一番好きなゾーンだと思う。
但し、内角高めの直球系に対する反応が悪いので、このコースでファールや空振りでカウントを稼がれると、最後に落とされるパターンで苦労することになる。
前回の記事で書いたように、典型的なラインドライブヒッターなので、HRをそれほど怖がるタイプではない。
よって、相手バッテリーが厳しい内角攻めをしてくる事も十分考えられるので、飛躍の鍵としては「内角を狙ったボールが甘くなったときに、高確率で捉える事ができるか?」
ここがポイントになる。
【試合のポイント】
※お互いの意志が伝わり合った菅野・小林バッテリー
試合の大きなポイントになった8回表の場面。
アンダーソンの落球で、ノーアウト3塁という大ピンチを背負ってしまったが、Gバッテリーは非常に落ち着いていた。
まず、調子の良い田中に対して、フォークを多投して追い込み、最後はボール球の高め直球を振らせて三振。
続く直球に強い天谷には、初球のフォークでカウントを稼ぐが、その後の3球連続フォークを見極められた時点で勝負を避けた。
そして大きな山となった小窪に対しては、初球から厳しく内角を突く強気の攻めで望んだ。
対するカープは、初球にスクイズを試みたが失敗に終わって、小窪の打力に期待せざるを得ない状況に追い込まれた。
Gバッテリーはスクイズを警戒しつつ、相手が小細工出来ないコースにボールを集めて、最後はフォークで仕留めた。
これで2アウト。
それでも次の打者は、菅野に対してタイミングが合う安部。
Gバッテリーとしては、ここまでの打者とは違って、討ち取る術が明確に定まっていない打者である。
とりあえず、外からスライダーでカウントを稼ぐ選択をしたが、やや甘いコースに入ってジャストミートされた。
Gバッテリーは、瞬間的に「しまった」と思った矢先に、坂本のダイビングキャッチが生まれた。
最後は幸運に恵まれる形で終わったが、そのプレーを呼び込んだ最大の要因は、何といっても菅野・小林バッテリーが、最後まで攻める姿勢を貫いた事、そして常に冷静さを保っていたこと。
バッテリーに攻める気持ちがあれば、守りにリズム感が出てくるので味方守備陣も守りやすい。
逆に、逃げている投球では、このような好プレーは生まれにくい。
集中出来る状況下であるからこそ、好プレーは生まれるということ。
この場面を改めてじっくり振り返ると、菅野と小林のお互いの意志が、深く通じ合っている様子が伺われた。
菅野の投げたいボールと、小林が要求するボールが殆ど一致していたし、合わないケースでも小林は直ぐに新たなサインを出していた。
つまり、菅野の考えを十分察しているということ。
集中できる環境下でエースが投げれば、おのずとベストピッチになる。
菅野・小林の黄金バッテリーの誕生!
そして新キャプテン・坂本がバッテリーをフォローして、新守護神・澤村が3人で締める!
新たなジャイアンツが動き始めた宇都宮の夜だった。
【試合総評】
C打線はスイングが緩い。
特にチャンスの場面では、ボールを追っかけてしまう打席が多く、相手の術中にまんまとハマるケースが目立つ。
得点が思うように取れず、重い展開が続いているので、走塁や守備でつまらないミスをしてしまう。
ベンチの作戦面でも、相手からすれば「見え見え」で、昨日のGバッテリーは察知していた。
2度の盗塁失敗とスクイズが成功しなかったのは、決して運が無い訳ではない。
苦肉の策だった「新外国人獲得」も今回は結果が出なかった。
初戦の対杉内・山口・澤村でGは、
彼の攻略法の下地が出来ていた。
今は我慢するしかないと思う。
投手陣は幸い安定しているので、試合が壊れている訳ではない。
打線も、前回のG戦当時と比べれば、丸や田中あたりの状態は上がっている。
ポイントゲッター不在は確かに苦しいが、コツコツ1点を積み上げていくしか今はない。
基本に帰って、投手は絶対先取点を与えないという強い意識、そして打線は打つことだけではなく、四球を選んだり、細かいチームプレーを確実に行う事がより重要になってくる。
そうすれば、今のGのように徐々にチームにリズムが出てきて、接戦を拾う試合が増えていくだろう。
打者は追い込まれるまでは積極的に強く叩く意識で、追い込まれた後は出来るだけ粘る。
そんな意識を持っていけば、必ず浮上してくるだろう。
対して、Gは予想以上に早く貯金を作る事が出来た。
これは先発・リリーフの形が固まってきた事が大きい。
やはり、野球の基本は投手を中心にした守りという事。
決してG打線も状態が良いわけではないが、投手陣の踏ん張りで、G打線は1点を確実に取る野球に集中できている。
これから怪我人も徐々に戻ってくる。
そこに新たなシナジー効果が出てくれば、交流戦前に首位を走る事も考えられる状況になった(そう簡単に上手く行くとは思えないが・・)
先発陣についても、新顔のポレダ・高木勇・田口は必ず壁に当たると思う。
そんな時に、内海・大竹・小山・西村がカバーしてくれれば理想的な投手陣になる。
菅野・杉内の状態が上がってきたので、大型連敗の可能性はかなり低くなったので、彼らを軸にローテを組んでいけば問題ない。
そしてリリーフ陣については、とにかく酷使しないこと。
特に左右どちらの打者に対しても勝負できる戸根・高木京の登板数をもっと増やして、山口・マシソン・澤村を勝負の夏場で使える状態にしておく事が重要になる。
5割を越えてる今の状況なら、それが十分可能である。
以上 敬称略