昨日の試合は結果的に快勝だったが、最終回の1失点は余計だった。
特に気になったのは戸根と澤村の「投げ急ぎ」だった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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中 日 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
巨 人 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | X | 4 |
最近の戸根はフルカウントになるケースが多い。
元々精密な制球で勝負するタイプではないが、春先のオープン戦では抜けるボールは今より少なかった。
「では何が問題なのか?」
筆者の答えは「投げ急ぎ」にあると見ている。
一般的に先発投手の場合は「投球テンポ」を重視する傾向がある。
これは味方野手の守備と攻撃にリズムが生まれることで、ゲームの流れを自チームに引き寄せるという考えである。
筆者もこれに異論はない。
経験上、間合いが長い投手の後ろで守っていると、言葉は悪いが「イライラ」する事があった。
況してや負けてる試合や、走者が居ない状況等では「一人で野球やるな!」という思いすら湧くこともある。
これはリリーフ投手も同じで、状況に応じて投手は「間合い」を考えないと味方野手に支持されない。
だが、9回に投げる投手は話が別である。
但し、ワンチャンスで返せない点差(5点以上)なら別だが、4点差なら最後に投げる投手は1球の重みを噛み締めながら投げなければならない。
最近の澤村の投球を見ていると、直球がシュート回転するケースが多く、フォークの落ちも悪い。
この原因の主要因は
①体の疲れ→②体の開きが早い→③抜け球が多くなる
と見ているが、上記の要因も少なからずあると見ている。
守護神と呼ばれる歴代の一流投手の共通点として、自分の「間合い」を持っている事が挙げられる。
佐々木、藤川、高津、岩瀬等は一球毎の間合いが長い。
これは「1球の重みが骨身に染みている」彼らだからこそ身に付いた事ではあるが、ルーキー戸根は仕方がないにしても、今季から抑えを任せられてる澤村にも良く考えてもらいたい。
戸根の場合は9回云々という事ではなく、明らかに投げ急いでいる。
加えて、投球間隔の問題ではなく、フォームでも投げ急いでしまい、これが原因で抜け球になるケースが多くなっている。
勿論、相手打者のタイミングを外す目的が有ることは理解してるが、ストライクが入らなければ全く意味はない。
リリーフ投手として大成功を目指すなら、高速クイックで誤魔化すような小手先で勝負するのではなく、ボールの力と制球力を磨いて勝負してほしい。
彼が今意識しなければならないのは、左打者の外角低めに、切れの良いボールを高確率で投げ込む術を身に付けること。
春先のピッチングはもっと体全体を使って投げ込んでいた。
まだまだ自分の投球スタイルを確立していない彼には、相手打者のタイミングを小手先で外す術で勝負するのはまだまだ早い。
【G選手雑感】
★杉内俊哉
素晴らしいピッチングだった。
解説の桑田氏が指摘していた通り、フォームのバランスが良いので直球の切れと制球が良い。
彼の代名詞と言えば、切れの良いクロスファイアーの直球とスライダー・チェンジアップだが、実は右打者の外角低めの直球(左打者の内角低め直球)の制球が素晴らしい。
左右問わず、打者の内外に直球とスライダーを出し入れするので、打者は的を絞りにくい。
近年、相手のエース級との投げ合いで分が悪かったが、今年は十分に渡り合える力を持っている。
これは今後に向けて大きなアドバンテージになるだろう。
そして、これで菅野・杉内・高木勇・ポレダで12勝になった。
これに田口の1勝を加えると先発投手で13勝になる。
チームの勝利数が15なので、その殆どを先発投手が稼いでいることになる。
かなりレベルが高い先発ローテを確立していると言っても良いだろう。
これに内海・小山・大竹・西村という実績組も控えている現状は頼もしい限りだ。
★山口鉄也
個人的には今季のベストピッチと評価した。
直球系が常時142キロ前後まで出てきたし、スピードガン以上の切れを感じた。
その証拠のバッターが甘い直球を捉えきれていない。
又、スライダー・チェンジアップも打者の手元で変化していたので、打者はタイミングが合っていなかった。
つまりフルスイングされる事が少なくなっている。
暖かくなってきた事が、確実に彼の体に好影響を与えていると見ている。
★村田修一
試合の流れでは非常に効果的なHRだったが、内容的にはまだまだ不満が残る。
弊ブログで何度も指摘した通り、相変わらずバッティングは「衝突」させてるだけなので、出合い頭のままである。
★中井大介
何とか結果を残した。
しかし、厳しく言えば、甘いボールを一発で仕留める雰囲気が打席で感じない。
筆者には迷いながら打席に入っているように見える。
追い込まれるまでは、引っ張れるボールに的を絞って一発で仕留める。
今の彼に足りないのは打席での「殺気」。
初球から中途半端なスイングをしてしまうと、相手からすれば全く怖くない。
★實松一成
攻守に渋い働きでチームの勝利に貢献している。
バッティングは、元々パンチ力はあったが、追い込まれて落ちるボールを空振りするケースが目立ち、脆さが先行していた。
しかし、今季は簡単に三振しない。
三振するケースでも、かなり粘る打席が多い。
★金城龍彦
ベテランらしい見事な読みで、貴重なヒットを重ねている。
この試合の2本の二塁打は、まさに狙い澄ました右打ちだった。
個人的には彼の1番起用に疑問を感じているが、現状では彼以上の適役はいないのかもしれない。
【試合総評】
冒頭の文で9回に登板した両投手に苦言を呈したが、内容的にはGの完勝だった。
個々の打撃についてはまだまだ満足出来るモノではないが、チームとして得点を奪う引き出しがあるので、相手の隙や弱点を効果的に突いている。
特に初回の得点はDの弱点を見事に突いたモノだった。
好機の場面で期待した橋本が凡退し、この回での得点は厳しいと思っていた矢先のダブルスチールだったので、試合の流れを有利に持ってきた大きな場面だった。
前回のD3連戦でも同じ形で得点したが、今回の捕手は経験が浅い桂という事が大きかった。
Dも注意はしていただろ
うが、この時の桂は平常心ではなかった。
だが、こんな得点方法はそう簡単に上手くはいかない。
言ってみれば「奇襲」である。
やはり、長いペナントレースを安定的に戦うには、個々の選手が状態を上げなければ厳しい。
この試合で坂本が足を痛めて、今日からの出場が微妙な状況となったが、橋本がチャンスを掴んだように、坂本の欠場をプラスに変えてしまうような選手の台頭にも期待したい。
中井・・頼むぞ!!
以上 敬称略