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【G】澤村の長所を引き出した小林誠司の捕手力と野球センス【超激辛公式戦雑感GvsD12回戦】

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先週のカープ戦から土曜日までの試合は、勝っても負けても決して褒められた試合内容とは言えず、個人的には大いに不満の残る内容が続いていた。
特に「内野守備の拙さ」と「リリーフ陣のデキ」を考えると、4試合を3勝1敗で乗り切ったのは奇跡に近い。
筆者の野球感は「投手力を中心に置くディフェンス力こそがペナント制覇の近道」と考えているので、そういう意味では昨日の試合で、今季初マウンドとなった澤村には「暗雲漂い始めたチーム状況」を打破するピッチングを期待したいと願った。


【勝敗を分けたポイント】
「8回裏ワンアウトランナー2塁の場面で打者小林が死球」
Dサイドから考えると、イニングの先頭打者長野にツーベースを打たれたが、次打者の寺内が犠打失敗で何とか無失点に切り抜ける絵が描けた筈だった。
3塁に送れば勝負をかけて代打を送るという選択肢は多少有ったかもしれないが、走者が2塁ではヒット以上の結果でなければ得点できない。
こういう状況なら「捕手二人制」でゲームに望んでいるGベンチが、延長が十分考えられる状況で、小林を変えて代打を送るという選択肢は取らないと読んだと思う。
その上、この試合の小林は濱田に対して全く合っていなかった。
Dベンチとしては、小林を討ち取り、9番澤村の代打まで濱田でいくつもりだったと思う。
G側からすれば(濱田が)ほぼ初対戦の特殊な投げ方の左腕なので、左の強打者の阿部、高橋由でも初対戦では厳しいと考えた筈。
それだからこそ右の代打中井という選択肢だった。
この選択はDベンチは多少意外だったのかもしれず、交代を迷うような場面も見られたが続投させた。
見事に代打中井を討ち取ったが、坂本に対しては交代させざるを得なかった。
谷繁監督としては、4打席目の坂本の前で決着を付けたかった筈だ。
出来れば直近の試合で打ち込まれているリリーフ陣を、イニングの頭から出したかったと思うが、その目論見が小林への死球で崩れてしまった。
そして、対坂本から田島にスイッチしたが、制球に難がある現在の彼には、強いボールで「打者の打ち損じ」を待つ以外に抑える術は無かった。
そして坂本四球、由伸決勝タイムリーとなった。


【選手別雑感】
★澤村
序盤は制球に苦しんでいたが、回を追う毎に打者の懐と外角の低めにボールを集める事が出来ていた。
特に右打者の懐へのツーシームは、しっかり腕が振れていたので、それに乗じて低めのフォークやスライダーが更に効果的になっていた。
とはいえ、彼の場合は何と言っても直球のデキが大きな問題。
序盤から高めに抜けるようなボールが少なかったので、低めの直球で打者をねじ伏せることに成功していた。
彼の場合は、力んでくるとボールの出処が見やすくなるので、力まないとスピードが出ない場合は今後も厳しい。
また余計な力が入る投球が続けば、長いイニングで投球することは出来ない。
そういう調子が悪い時に「杉内や菅野のようにゲームの形を作っていけるか?」ここが今後に向けての大きな課題になる。
彼らのようにボールの出処が見辛い投手ではないので、ツーシームとスライダーを駆使して横の揺さぶりをかけていきたい。
そうすれば、余り落ちないフォークも有効なチェンジアップになるだろう。
★マシソン
イニング跨ぎは正直やめて欲しい・・・。
苦しいのは分かるが、マシソンは決してタフな選手ではない。
山口、マシソンが機能するには、やはりもう一枚強力なリリーフを作る必要がある。
★坂本
先週は素晴らしい内容だった。
バッティングの最大の長所である「内角打ち」が、良かった頃に戻っている。
外の変化球に対しても、まだ「追っかける」雰囲気はない。
暫く好調を維持してほしい。
★井端
彼が中日時代から時折見せてる「配球を読んだ強振」で貴重な先制ホームランを放った。
守備でも決して往年の守備範囲はないが、自分のテリトリーでは確実に仕事をこなす安定感は流石だ。
★亀井
派手な活躍はしていないが、相変わらず好守で貴重な役割を演じている。
彼が繋ぎ役、又は出塁することによって、6番長野がポイントゲッターになって打線が機能している。
★村田
彼も状態が上がってる打者の一人。
昨日の濱田には全く合っていなかったが、今はかなり打席での雰囲気を感じる。
★アンダーソン
若干、スイング軌道が体から離れてしまってるのが気がかりである。
Dバッテリーが懐に直球系を見せ球に使うので、必要以上に意識している。
その上で、カーブ系で緩急をつけられているので強引なスイングに見えてしまう。
彼の場合は「センター返し」の意識が大事になる。
★長野
完全復活だろう。
打席での迷いが減り、狙い球を絞って打席に立っている。
今は見逃し方も良いし、外の変化球を追っかけない。
6番を彼が務めることでG打線が機能している側面も強い。
★ロペス
途中で変えられたり、先発から外れたりすることが原因なのか?
打席での集中力を感じないし、強引過ぎるバッティングも印象が良くない。
★小林
「総評」で詳しく触れています
★高橋由
素晴らしい一振りだった。
最近は代打に慣れてきたのか、一発で仕留める集中力を感じる。
彼にも是非4打席立たせてあげたいが、「代打の神様誕生」も夢見る自分がいる。
又、彼や井端という実績十分のベテラン選手が、ベンチに置かれて不満そうな態度を見せないことも、当たり前では有るが賞賛しておきたい。
今のG野球に一体感を感じるのは「彼らの配慮」と「出場した試合での集中力」とは無関係ではない。

先週の対C・D戦で気になった選手
★大竹
内容は悪くなかったが、6回・90球前後から球威や制球がガクっと落ちる現象が続いている。
去年のように、7回をしっかり任せられる投手が居れば問題ないが、今年はそうはいかない。
これから彼が得意な夏場になるが、もう少し球数を投げられるようにするか、配球面で球数を減らす工夫がほしい。
★杉内
序盤から直球を引っ掛ける感じで、低めに外れてしまうケースが多く苦しんでいたが、それでもゲームをしっかり作るのは流石だと思う。
悪いなりにも結果を残しつつ有るので、彼については当面不安はないだろう。
★山口
マソソン同様、若干疲れを感じる。
春先の怪我から復帰して、暫くは調子を上げることに全力を注いでいたので、今は疲れが出る時期だと思う。
個人的には「想定の範囲内」なので、厳しい夏場に向けて全く心配していない。
但し、これから夏場に向けて「イニング跨ぎ」は勘弁してもらいたい。
★香月
こちらも若干高めにボールが浮くケースが目立ち始めてきた。
キレも本来のものではなく、やはり疲れによるものだろうが、ここは踏ん張って欲しい。
★久保
フォークが全く落ちていない。
彼の場合、非常に器用な投手だが、一方ではフォークを生命線にしている面も色濃い。
しっかりファームで再調整して、勝負の夏場に戻ってきて欲しい。
★片岡
疲れが有るのか・・好守に精彩を欠いている。
特に守備では足が動いていないので、現状は不安感が残る。
そういう意味では、昨日の試合で井端を起用したのは大正解。
★阿部
バッティングの状態は上がっているが、上昇カーブを描いているというほどでもない。
まだ直球に差し込まれるケースが目立つ。
守備についてはスローイングの弱さ、安定感の無さが気になる。
そしてキャッチングについても、土曜日の試合でマシソンのボールに対して痛いイージーミスを犯していた。
肉体的に疲れがあるのか・・・。


【総評】
この試合のヒーローが澤村や由伸であることに異論はないが、個人的には小林の「野球センス」を高く評価したい。
まず打者としては「勝敗を分けたポイント」で取り上げた死球の場面で、彼はワンバンドのカーブを逃げずに当たった。
これは打席に入る前から、こういうケースを想定していなかったら難しい。
勿論「自分には低めの変化球が多くなる」という配球も含めて想定し、追い込まれてから低めの変化球を見切っていた。
タイミングは合っていなかったが、決してバッティングは崩されていなかった。
走者としても、8回由伸タイムリーの場面で、セカンド走者として抜群のスタートから悠々ホームインしたのも印象的だった。
決して足は速くないが、ここでもセンスを感じるプレーだった。
捕手としては何と言っても澤村への好リードが光る。
序盤は制球に苦しみ、ボール先行のケースが多かったが、そんな状況でもしっかり打者の懐へ強いボールを要求し、その後のピッチングの幅を広げる事に成功していた。
阿部には失礼かもしれないが、去年の彼に対する配球では、右打者の内角へ強いボールを殆ど要求していなかった。
直球は殆ど外寄りで、要求したとしてもスピードが若干落ちるツーシームだった。
また、右打者の内側から曲がってくるスライダーも多投していたが、元々スライダーの制球に自信が有るわけでもないので、「見せ球」でしかなかったし、その効果も半減していた(もしくは変化しない危険な半速球)
昨日の澤村のピッチングでは、上記の「選手別雑感」で触れたが、一番良かったのは右打者の懐へのツーシーム(又は直球)を投げるときに腕をしっかり振っていた事だと思う。
小林はシッカリそれを利用して、前半から強いボールを打者の懐に集めて、ボールに対する踏み込みを甘くさせていた。
その結果、外を狙ったスライダーや、低めに落としたかったフォークが甘くなるケースも結構あったが、打者は打ち損じていた。
去年同様、80球を超えたあたりから直球の威力は若干落ち、同点打を相手投手に浴びたが、その後ズルズルいかなかったのは、澤村の頑張りは勿論だが、直ぐに変化球中心に切り替えた小林の好リードも大きい。
小林に対する世間の評価では、強肩がクローズアップされることが大きいが、実はキャッチングが素晴らしい。
特に直球系のキャシングに関しては、個人的には阿部より評価が高い。
昨日の澤村のケースでも、数球は彼のキャッチングで際どいボールが、ストライク判定になったと言っても過言ではない。
特に初回の先頭打者・大島に対する、ワンスリーからの内角低めへの直球は、キャッチャーが構えた位置からは逆だったので、下手なキャッチングだと審判は手を上げていない。
今季初マウンドで、いきなり先頭打者を四球で出したら、その後の展開は非常に厳しくなったかもしれない。
小林のキャッチングが無ければ、昨日の好投は無かったといっても、決して過言ではない。
昨日の小林の活躍は「地味」ではあったが、元々捕手が担うべき要素である「縁の下の力持ち」を見事に実現していたと思う。
常に周囲から「主役の活躍を望まれる」阿部とは違う、「捕手力」や「野球センス」を感じさせる小林のプレーだった。
ドラゴンズに関しては、先発濱田は素晴らしい内容だった。
勿論これから厳しい現実を沢山経験するだろうが、投げっぷりの良さは大いに買いたい。
これから更に体が出来上がれば、スピードも4〜5キロ伸びるかもしれない。
変化球に関しては現状でもレベルが高いボールを投げている。
3連戦の総評としては、やはりドラゴンズの1〜2番を機能させなかったのが勝因だと思う。
大島を14打数3安打、谷を11打数2安打。
6番和田を含めた中軸は十分怖さがあったので、ここの出塁を最少に抑えたのが大きかった。


敬称略

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