長い間ご無沙汰して申し訳有りませんでした。
理由については前回お話させて頂いた通り、私的な事なので多くは語れませんが、何とか再起する気持ちが整いました。
本当に皆様からの温かい言葉に助けられた思いで、感謝の言葉が見当たりません。
今後も頻繁な更新は難しいかもしれませんが、時間と気力が許す限りblogを通じて、皆さんとジャイアンツについて共有していきたいと思います。
これからもお付き合い頂ければ幸いです。
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我が愛するジャイアンツは見事にリーグ三連覇を達成した。
今シーズンは優勝インタビューで監督が語られたように苦しいシーズンだった。
それでもシーズン終盤の上位との直接対決で叩くことに成功し、結果的には2位に5ゲーム以上離してペナントを終えようとしている。
振り返ると今シーズンのジャイアンツは、一度もチーム状態がピークを迎えなかったと思う。
打線はクリーンアップである阿部・村田の不調がシーズン終盤まで続き、最後まで去年までのような相手を圧倒する戦いが出来ない。
投手陣も故障者や不調の選手が後を絶たずに、例年と比べて苦しい台所事情だった。
それでも何とか凌いで勝ちを拾っていった印象が強い。
一言でいえば「勝負強い」で終わるかもしれない。
しかし「シーズン序盤を苦戦した原因」を深く掘り下げて考えると、交流戦やシーズン終盤にチームが上昇した要因が見えてくる。
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まず苦戦した要因を考えると攻撃面では・・・。
★ポイントゲッター(阿部・村田)の不調による得点力不足
この点はGファンなら誰もが考えるところだと思う。
前半戦までの長野の不調も重なり、この三人の不調はチームの士気にも大きな影響を及ぼした。
特に村田、阿部の場合は走力が無いので、打点を稼いでもらわないと「お荷物」になる危険性が高い選手。
勿論、守備面では大きな貢献をチームにもたらしているが、攻撃に限れば打線が重くなってしまう主要因となる。
たとえ坂本・アンダーソンが結果を残しても、打線として機能しているとは言い難い状態が続く。
そしてセペダを緊急補強する苦肉の策を取った(セペダの獲得はキューバ政府とのパイプ作りという側面もある)が、そのセペダも期待通りの活躍は出来ず、逆に「守れない・走れない」彼の存在で、ベンチ入りメンバーが歪な構成になってしまった。
(参照:5月25日「バランスが悪い出場登録メンバーから生まれる原監督の消極的な選手起用」)
5月25日の当ブログ記事内で指摘しているように、この時点で「切り札」鈴木尚広が活躍したケースが殆どなかった。
その後シーズン中盤以降に鈴木が活躍して僅差のゲームを拾った事が、リーグ制覇の要因の一つである事は誰もが認めるところ。
つまり、主軸の不調を新たな助っ人でカバーしようとしたが、その助っ人が不調に終わるだけではなく、控えの野手の起用が限定される事態に陥り、ゲームプランが硬直化してジャイアンツの野球が重くなってしまった。
そういえば、筆者はこの時期はスタメンと控え選手のゲームに対する熱量に微妙な差を感じていた事を思い出す。
これらの原因を解消したのは、なんといっても亀井・寺内の戦列復帰が大きかった。
ユーティリティ性の高い守備力を持つ二人の復帰は、鈴木の役割を『代走からそのまま守備固め』という本来の使い方に特化することになった。
つまりタイミングや交代選手を限定することなく切り札を出すことが出来た。
外野の守備固めについては、本来なら松本哲をゲーム終盤で起用する事が例年多くなると思うが、亀井のバッティングが好調だったのでスタメンから彼を起用し、守備力の高い外野構成(長野・橋本)が完成した。
また、橋本・松本哲の怪我離脱時に由伸をレフトで起用することで、大きく守備力が落ちることもなかった。
さすがに長野まで離脱したときは苦労したが。。。
外野の話ではもう一つ触れておかねばならないポイントがあった。
シーズン当初はセンター橋本・ライト長野の布陣でスタメンを組んでいたが、シーズン中盤頃からセンター長野・ライト橋本という布陣に変えた。
これは橋本の打球判断が長野と大差なかったので、より肩の強い橋本をライトへ着かせる事がベターと考えたと想像する。
筆者はこのblog内で長野の打球判断に対して辛口評価していた(本来ならレフトがベストとまで言っていた)
しかし驚いたのが去年と比べると打球に対するアプローチがかなり向上していたので、センターの守備が非常に安定していた。
恐らく両翼の外野手が例年と比べて能力が高いので、負担が減りプレーに余裕が出来たことが大きな要因だと考える。
特に記憶に残っているのは、膝の故障の原因になったヤクルト戦・一打サヨナラの場面でのビックプレー。
「去年までの彼なら厳しかった」と勝手に思っている。
彼ら三人が外野を構成するときは守備範囲・肩の強さともにレギュラー外野手としては現在のNPBでは上位に入る。
つまり「出塁や進塁を簡単には許さない」という守備力は大きな強みとなり、投手陣には心理的にも大きなプラスとなったであろう。
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次に内野の方へ話を移すと、こちらは寺内の復帰によって井端の活躍の場が広がった。
シーズン中盤まで寺内が怪我で離脱していたので、井端は片岡の代役としてスタメンを守るか、終盤の守備固めとして起用するしかなかった。
それでも片岡の調子が良ければこの役割でも良かったとは思うが、彼が8番を打つような状態ではそこに代打を考えなければならない。
つまり井端を残しておかないと、ゲーム終盤の勝負手として「代打由伸」「代走鈴木」を村田やロペス等のところに使えなくなってしまう。
そうなると「守備力」と共に井端の大きな魅力である「勝負強さ」が発揮できる場面が少なくなる。
また彼のような選手はベンチに置いておかずに、ゲームに出したほうがコンディションも上がる。
事実、寺内が復帰した後に井端の出番が格段に増えて、勝敗を左右する活躍を何度か見せたのは記憶に新しい。
寺内にとっては片岡・井端の加入は気の毒ではあるが「居なくてわかる寺内の存在」はG首脳陣にもあらためて感じさせる事になっただろう。
筆者はシーズン開幕前に寺内について記事にした。
去年は走攻守で大きな進歩を遂げた一年で、今シーズンにかける期待は大きかった。
確かにキャンプでの怪我は痛かったが、たとえ無事でも現状の使われ方とは大差ないだろう。
しかし「彼のような選手を決して冷遇してはいけない」と球団・首脳陣は肝に命じるべきだと思う。
前回の三連覇では古城や木村拓が、現在の寺内の役割の一端を担っていたが、彼らが居なくても三連覇をしていたと断言できるだろうか?
少なくとも筆者の答えは「NO」である。
幸い報道から漏れ聞こえる球団の評価は、筆者と同じ意見のようなので安心している。
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優勝後のインタビュー等で原監督は「団結力」「守備力」が優勝の大きな要因であり、今年のチームの特徴であると語っていた。
団結力は中心選手が活躍するだけでは生まれない。
大事なのは控え選手にもシッカリと「持ち場(働き場所)」を与えて、選手個々がゲームの中で「自分の役割」を果たしていく事。
その積み重ねが団結力という目に見えない力が生まれて勝利につながっていく。
だが一方で持ち場がなければ目に見える活躍が出来ないことも確かであり、プロとしてはプライドが許さない。
シーズン序盤は前段の理由で、彼らの持ち場が少なかった事がベンチ全体の空気を重くし、団結力という無限の力が生まれる土壌ではなかった。
それが亀井、寺内の戦列復帰で一気に選手起用のバリエーションが増え、それまで元気がなかった選手が蘇った。
今シーズン不調だったがムードメーカーの役割をしっかり果たしていた矢野謙次。
少ないスタメンでも起用されたらしっかり投手をリードした加藤健。
試合に出れば確実なプレーでチームに貢献する寺内崇幸。
前半戦出場機会が少なくても決して腐らずに後輩を引っ張っていた高橋由伸、井端弘和。
自身の不調が一因ではあるが、阿部・アンダーソンの一塁起用で出場機会が減っても最後までフォアザチームに徹したロペス。
目に見える記録や記憶に残るような活躍をしていない時でも「自分の役割」をよく理解いていた面々だった。
阿部・村田・坂本・長野の枢軸が打撃ランクの上位に居なくても勝負所で貴重な殊勲打を放つ。
どの選手でも大差なく終盤の貴重な一点を取りに行く野球が出来る。
失点を最小限で防いでゲーム終盤を接戦で迎える。
シーズン終盤で特に感じられたこれらは「団結力」と「守備力」によるところが大である。
そして何よりもこのチームを作った原辰徳は間違いなく名将であり、例年通りの得点力が期待できないと覚悟すると、シーズン途中少ない得点を守り抜く野球にシフトチェンジした柔軟性はお見事である。
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★次回は投手力から優勝の要因を考えたい
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敬称略
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超激辛NPBコラムが考える「ジャイアンツ優勝の要因とは?」 第一回「主軸打者の不調と橋本の台頭 & 鈴木・井端に活躍の場を与えた亀井・寺内の復帰」
