2020.9.27 読売ジャイアンツvs中日ドラゴンズ 21回戦 ゲームレポート詳細版
【イニング経過、雑感】※イニング経過は巨人公式HPより抜粋
☆1回表
先発は戸郷。
大島は右前打。無死一塁。京田は右前打。無死一、二塁。アルモンテは二飛。ビシエドは見逃し三振。高橋は投ゴロ。0対0。
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約一か月あまり勝ち星から遠ざかっている戸郷にとって、やはり立ち上がりは非常にナーバスにならざるを得ない。
先頭の大島に対しては追い込んでから決めに行ったフォークを拾われ、続く京田にはバッティングカウントからストレート系を狙い打たれたので、戸郷の心中を察すれば、初回から精神的にかなり追い込まれた状況を迎えてしまった。
しかし、このような逆境で真の力を発揮するのが彼の良いところであり、メンタルの強さだと思う。
アルモンテ・ビシエドの両外国人に対しては力勝負を挑んで討ち取り、高橋に対しては一転して緩急を使って討ち取りピンチを脱した。
★1回裏
先発は松葉。
吉川尚は中越え二塁打。無死二塁。松原は左中間適時三塁打。巨人先制。1対0。無死三塁。坂本は二ゴロ。2対0。岡本は空振り三振。丸は中前打。二死一塁。中島の打席で丸が二盗失敗。2対0。
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初回のピンチを戸郷が乗り越えたことで、絶賛売り出し中の若き1.2番コンビは、よりアグレッシブな姿勢で打席に立っていた。
まず吉川尚がバッティングカウントから甘いストレート系を強振していきなり二塁打を放ち、続く松原は初球の外寄りのストレート系を積極的に叩いてタイムリー三塁打を放ち、二人ともに外野の頭を越す打球を放って先取点を奪う。
そして、続く坂本も相手の深い主部陣形を見てセカンドゴロを打ちに行って2点目を奪う。
☆2回表
マウンドは戸郷。
阿部は右飛。木下拓は右越え二塁打。一死二塁。石垣は三ゴロ。松葉は三邪飛。2対0。
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戸郷はストレート系の走りは悪くなかったが、変化球(特にスライダー系)も含めて抜け球も決して少なくなかったので怖さを感じる投球だった。
この回も一死後に木下に二塁打を打たれるが、後続打者のミスショットにも助けられていた戸郷は何とか無失点で切り抜ける。
★2回裏
マウンドは松葉。
中島は中前打。無死一塁。ウレーニャは二飛。炭谷は二邪飛。戸郷は三ゴロ。2対0。
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先頭の中島がヒットを放つが、後続が続かず無得点に終わる。
この時点では球威はともかく、戸郷よりも松葉の方が安定感のある投球だった。
☆3回表
マウンドは戸郷。
大島は三ゴロ。京田は右前打。一死一塁。アルモンテは空振り三振。ビシエドは左飛。2対0。
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戸郷はまだまだ不安定な投球だった。
一死後に京田にヒットを打たれるが、またも両外国人のミスショットに助けられて無失点で切り抜ける。
★3回裏
マウンドは松葉。
吉川尚は二ゴロ。松原は三ゴロ。坂本は左翼線二塁打。二死二塁。岡本は遊ゴロ。2対0。
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二死から坂本が二塁打を放つが岡本が凡退して無得点。
☆4回表
マウンドは戸郷。
高橋は右邪飛。阿部は遊ゴロ。木下拓は三邪飛。三者凡退。2対0
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戸郷は相変わらずスライダー系は抜けて怖いボールになっていたが、ストレート系とフォークはかなり自分の意図するところに決まり始めていた。
★4回裏
マウンドは松葉。
丸は見逃し三振。中島は中前打。一死一塁。ウレーニャは右飛。炭谷の打席で松葉が暴投。二死二塁。炭谷は中飛。2対0。
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松葉は二死二塁のピンチを招くが、落ち着いて炭谷を討ち取り追加点を許さなかった。
☆5回表
マウンドは戸郷。
石垣は空振り三振。松葉は三邪飛。大島は右飛。三者凡退。2対0。
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戸郷のピッチングは、懸念されていたカウント球のスライダーも、この回辺りから徐々に制御されてきたので安定感が出てくる。
★5回裏
マウンドは松葉。
戸郷は三ゴロ。吉川尚は一ゴロ。松原は中前打。二死一塁。坂本は敬遠四球。二死一、二塁。
マウンドには2番手の又吉。
岡本は右前適時打。3対0。二死一、三塁。丸は中飛。3対0。
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二死から松原がヒットで出塁し、坂本に対してはカウント3-0になったところで中日ベンチは申告敬遠を選択し、ここで投手を又吉に替えて二死一二塁で岡本との対戦を選択する。
しかし、その岡本は追い込まれながらも最後は甘くなったストレートを見事に右中間に弾き返して貴重な3点目を奪う。
☆6回表
マウンドは戸郷。
京田は遊飛。アルモンテは左飛。ビシエドは四球。二死一塁。高橋は見逃し三振。3対0。
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戸郷は二死からビシエドを歩かせるが危なげなくこの回も無失点で終える。
★6回裏
マウンドには3番手の谷元。
中島は左前打。無死一塁。ウレーニャは右前打。無死一、三塁。中島の代走に立岡。炭谷の打席でウレーニャの代走・若林が二盗。無死二、三塁。炭谷は中犠飛。4対0。一死三塁。戸郷は空振り三振。吉川尚は左飛。4対0
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中島とウレーニャの連続ヒットで無死一三塁のチャンスを作り、炭谷がキッチリと犠牲フライを放ってダメ押し点となる4点目を奪う。
☆7回表
マウンドは戸郷。
阿部は三ゴロ。木下拓は三邪飛。石垣は一邪飛。三者凡退。4対0。
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この回も戸郷は全く危なげなく三者凡退で抑える。
★7回裏
マウンドには4番手の木下雄。
松原は右中間三塁打。無死三塁。坂本は遊ゴロ。岡本は空振り三振。丸は投適時内野安打。5対0。二死一塁。丸の代走に香月。
マウンドには5番手の藤嶋。
立岡は二ゴロ。5対0。
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先頭の松原がカウント3-0から積極的にフルスイングして三塁打を放ち、無死三塁でクリーンアップを迎える。
しかし、坂本と岡本が木下のストレートに押されて凡打に終わり、チャンスを逃すかと思われたところで丸がピッチャー強襲のタイム―を放つ。
Twitterでも触れたが、このクリーンナップの三人は「スイング軌道、バッティングアプローチが異なるハイレベルな選手」なので、三人連続で討ち取ることは至難の業と言っても良い。
そういう意味では丸との勝負を避けて立岡との勝負を選択しても良かったとは思う。
☆8回表
マウンドには2番手の中川。
武田は空振り三振。大島は三ゴロ。京田は投ゴロ。三者凡退。5対0。
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ここのところやや調子を落としていた中川だったが、この試合の投球内容はまずまずの出来だったと思う。
特にスライダーのキレが良かった。
★8回裏
マウンドは藤嶋。
若林は右飛。炭谷は遊飛。中川の代打・ウィーラーは左飛。5対0。
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二死からウィーラーがレフトに大飛球を放つが、ややバットの先だったのでフェンス際で失速。
☆9回表
マウンドには3番手のデラロサ。
アルモンテは右前打。無死一塁。アルモンテの代走に渡辺。ビシエドは左中間適時二塁打。5対1。無死二塁。ビシエドの代走に溝脇。高橋は左飛。阿部は中飛。二死三塁。木下拓は二ゴロ。試合終了。5対1。
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今季のデラロサはなかなか調子が上がってこない。
ストレートのスピードも絶好調時と比べるとまだまだではあるが、問題はやはりスライダー系の精度だと思う。
このボールがなかなか決まらないので、ストレート系に的を絞られてしまっている。
まあ、本人もそれを分かっているからこそ、今年はフォーシームを減らしてツーシーム系を多めに使って何とかゴロを打たせるピッチングに変えているが、最近は相手チームにその狙いがバレバレになって対応されている。
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【ゲームスコア】
中日 000 000 001 1
巨人 200 011 10X 5
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勝利投手 巨人 戸郷 (8勝4敗0S)
敗戦投手 中日 松葉 (3勝5敗0S)
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【巨人選手評価】◎最高評価選手 〇高評価選手
◎戸郷翔征
ここ最近勝てなくなっている要因として、確かに監督の言う通り、相手チームに研究されてるだろうし、本人が感じているようにボールゾーンに落ちるフォークをなかなか振ってくれなくなっているのかもしれない。
しかし、それよりも個人的に考える最大の原因は、カウント球のスライダー系(カット、スライダー)が抜けて甘くなるケースが多い事を、相手にバレバレになってしまった事だと思う。
まあ、監督の言う相手チームの研究とはこのことを指しているのかもしれないが、相手打者はあの横振りの投球フォームに騙されて横に滑ってくるようなスライダーを勝手にイメージしていたかもしれないが、その実は殆ど抜け気味の軌道で、時にはシンカー気味に落ちてくるケースもある。
つまり当初の目付から今はかなり修正されて、自分(打者)の予測とボールの軌道が一致する事が多くなってきたので、それをミスショット(あるいは見逃さない)しなくなったという事だと思う。
この試合は、ゲーム中盤でそのスライダーの抜けがかなり修正されたが、これから新人王奪取、そして日本シリーズに向けて大きな課題になると思う。
〇松原聖弥
左の松葉に対しても決して臆することなく長短打を浴びせて勝利に貢献。
好守ともにアグレッシブなプレースタイルは、同タイプの吉川尚とともに巨人に新たな新風を巻き起こしている。
一軍に初登場後のプチブレイク当時は、ある意味「勢い」で活躍できた面は否めなかったが、今の活躍ぶりは明らかに技術的にも一回りレベルアップしている。
その事については後段で詳しく触れているのでそちらをご覧いただきたい。
〇中島宏之
見事なセンター返しで猛打賞を記録。
技術的には開幕当初と比べるとテイクバックを大きくとって、バッティングに「間」を作れるようになった事が更なる好調に繋がっていると思う。
元々、バットの軌道をインサイドアウトにすることを徹底してるので、今のようにトップの形がバチっと決まれば、いくらでもヒットを量産出来る下地は備えている打者ではある。
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【総括】
※「一つ目の壁を乗り越えた25歳の1.2番コンビ」
第二次原辰徳体制以降、様々な左の好打者タイプの野手が台頭(プチブレイク)しつつ直ぐに壁にぶち当たって、そこから伸び悩みが続き、そのままプロ生活を終えてしまう姿を幾度も見てきた。
勿論、怪我などの要因も重なっていたと思うが、ざっと思い浮かべるだけでも、松本哲也、藤村大介、橋本到あたりがこれに該当するし、現役選手でも重信慎之介、田中俊太あたりが苦しんでいる。
そして今、再ブレイク中の吉川尚輝と松原聖弥がこれら先輩たちと同じ轍を踏まないことをファンは切に願っていると思う。
しかし、個人的にはこの二人は先輩達とは「違う歩みで進んでいる」と確信している。
というか、少なくとも第一の壁は突破したと思っている。
その第一の壁とは「左投手への対応」であり、これは先ほど名前を挙げたレギュラー獲りにチャレンジした先輩達が苦しんでいた最大のポイントだった。
具体的に言うと、左打者は基本的に左投手に対してはアウトコースに目付をするが、これはそれまで自分が対戦してきた経験則の中で、左投手が左打者の内角をあまり攻められなかった(アマ時代からそこに投げる練習をあまりしてこなかった投手が多い)ことがその理由で、そうなると打者はアウトコースのボールの出し入れを見極めることに力点を置き、ボールを長く見ようと右肩で壁を作ることを意識するようになる。
だが、そこを過剰に意識してしまうと、前述通りアマ時代やプロの二軍レベルではそれだけで対応出来るかもしれないが、一軍の一流左腕投手相手では当然ながらインコースを責めてくるし、そもそもストレート系のスピード感も違うので、どうしてもタイミング的に差し込まれてしまう。
そして、今度はそこを意識し始めて右肩の壁を早く壊して(体を早く開いて)インコースのボールに対応しようとすると、アウトコースに流れる変化球に全くついていけなくなる(見極められなくなる)という悪循環に陥ってしまう。
こうしてバッティングがあっという間に壊してしまうと、今度は打てる筈だった右投手相手にも結果を残せなくなり、いつのまにかエレベーター選手に成り下がり、そこのポジションに定着してしまう。
しかし、吉川尚輝と松原聖弥は明らかのこれまでの選手とは違って、そこを乗り越えてきた。
しかも、二軍に降格する前に乗り越えたので、その意味は非常に大きい。
まず、吉川尚は開幕戦こそ劇的な逆転HRを放って絶好のスタートを切ったが、春先のキャンプ当時から右肩でロックしてしまう形(右肩で壁を作ること過度に意識して体の開きを抑制する形)から抜け出せず、バットのヘッドがスムースに出なくなり、ストレート系に差し込まれるだけではなく、酷い時は変化球にも差し込まれてしまっていた。
打球方向も殆どレフト方向に集中していたし、差し込まれる打球が多かったのでポップフライのアウトが多くなっていた。
原監督は開幕当初は対左投手では彼をスタメン起用しなかったが、ある意味これも彼がバッティングを崩してしまった要因の一つかもしれない。
彼の中ではやはり、レギュラーを獲るには左投手の攻略を意識して練習しただろうし、逆にそれが災いして、右肩で壁を作ってボールを長く見ることを意思し過ぎたのかもしれない。。。
一方で松原聖弥も、プロ初スタメン当初は無我夢中でバットを振り続けて、それが良い結果に結びついていたが、スタメンで起用されるケースが増えてきたこと(対左投手でもスタメン起用される)で相手の攻めもより繊細になり、徐々にボール球の変化球を振らされるケースが多くなっていた。
こうなると、やはりそこを彼も過剰に意識してしまうので、吉川尚と同様に、ボールを少しでも長く見ようと右肩をロックする事でバットの出が悪くなってしまい、本来なら得意な筈のストレート系にも対応出来なくなった。
それが二週間前までの彼のバッティングの姿だった。
だが、両者ともに今のバッティングはバットの出が非常にスムースで、右肩で壁を作る作業も自然体で無理がなく、打球方向もセンターを中心にどこでもライナー性の打球を飛ばせているし、左投手に対しても同様に自然体でバッティングが出来ている。
つまり、あくまでも個人的な見立てだが、二人は最初の大きな壁を乗り越えて、レギュラー獲得へ新たな壁に挑戦している段階に入ったと見ている。
それが吉川尚の場合は体力的なモノだともいえるし、両者ともに言える事はより高いレベルを求められた時に(高い出塁率など)どうやって自分のバッティングを技術修正して対応していくかだと思う。
そこを乗り越えた時、二人で最多安打や首位打者を争うことも十分にありえるだろう。
そうなれば我がジャイアンツは間違いなく黄金期に突入するが。。。
以上 敬称略
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