2021.2.4読売ジャイアンツ春季キャンプレポート
本日のキャンプトピックス
★一軍宮崎
・畠世周、桜井俊貴、高梨雄平、田中豊樹、古川侑利、高橋優貴、大江竜聖がブルペン入り
畠に関しては、か細かった腰回りがようやくプロらしくなってきた印象を受けた。
桜井俊貴は135球の投げ込み。
・木の花ドームでは投手陣がバント練習とバッティング練習を行う。
・明日の練習を前に今日は全体練習を早めに切り上げる。
★S班東京ドーム
・ビエイラが隔離期間を経て今日から合流
競馬用語を使って表現すると、体つきは放牧明けでまだまだ太目残りの馬体。
★二軍宮崎
・シートバッティングで太田龍、堀岡隼人、谷岡竜平、井上温大が登板
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2021新戦力 梶谷隆幸の私的評価
2020年のオフ、横浜DeNAベイスターズの梶谷隆幸がFA宣言し、読売ジャイアンツと4年8億円(推定)で契約した。
思い起こせば幣ブログでは2013年オフに彼を含めた丸佳浩、川端慎吾の三名を近未来のセリーグ首位打者候補として取り上げた(コチラが当時のコラム)
このうち、丸と梶谷の両名がFAで巨人した事実を踏まえて、改めて時の流れを感じる。
そして今回、その梶谷について様々な角度から分析していこうと思う。
★経歴(Wikipediaを参考)
・2006年ドラフト3位で横浜ベイスターズから指名を受けて入団。
・2009年4月9日の対ジャイアンツ戦でプロ初出場、同年4月30日の対阪神戦でプロ初ホームラン。
・2010年は一軍出場が5試合に留まったが、イースタンリーグで盗塁王となる。
・2011年オフに肉体改造を決断。
・2012年はオープン戦から好調を維持し開幕スタメンを初めて飾るものの、その後は極度の不振に陥ってしまう。
・2013年は7月に右足首の故障で戦線離脱も、復帰した8月から打撃が絶好調を維持し、規定打席にには届かなかったが「打率.346、7盗塁、16本塁打」という好結果の残し、飛躍の足掛かりのシーズンとなった。
・2014年、この年から本格的に外野手へと転向し、前年よりも打率は大きく落としたものの、1番打者として自身初となる規定打席に到達し、セリーグ盗塁王にも輝いた。
・2015年は主に前半戦を「3番ライト」で出場し、開幕から好調を維持して自身初のオールスターゲーム出場を果たす。
・2016年はキャンプ中の守備練習でフェンスに激突し、上半身を複数個所を痛める重傷を負い、自身の出場は5月まで持ち越されたものの、復帰後はチームを牽引する活躍を見せ、チームを初のクライマックスシリーズへと導く。
・2017年シーズンはキャンプ中に再発したギックリ腰の影響もあって、打率243,リーグトップの143三振を記録するという不本意のシーズンではあったが、持ち前の長打力(キャリアハイの21HR)と勝負強いバッティングで、チームを二年連続CS出場、そして自身初の日本シリーズ出場にも大きく貢献する。
・2018年はキャンプからオープン戦にかけて右肩と右背筋を痛め、復帰後には持病の腰痛が再発し、更に死球で右手尺骨を骨折、シーズン終盤には右肩のクリーニング手術を行ってそのままシーズンを終えた。
・2019年は前年の手術を乗り越えて開幕からスタメンに名を連ねるものの、なかなか結果を残せずに前年同様41試合のみの出場に留まる。
・2020年は前年オフに自身のバッティングスタイルを大きく見直し、それが功を奏して開幕から高い打率をキープし「打率.323,出塁率.387、OPS.913」という1番打者として素晴らしい成績を残し、シーズンオフにFA宣言して巨人と4年8億円の大型契約を結ぶ。
★常に怪我と隣り合わせだったここまでのプロ野球人生
前段の経歴を見たら分かるが、プロ入り以来ずっと怪我に苦しんでいる選手で、怪我がなければ日本を代表する外野手として侍ジャパンに定着する可能性も十分にあったと思う。
しかし、一方でこれだけ怪我に苦労し続けたからこそ、自分自身の野球観、プレースタイルを見つめ直す機会が生まれたともいえるので、それが去年のブレイクに繋がった可能性も否定できないと思う。
★「フィジカルの塊」から「野球脳が使える選手」へと進化する
彼を初めて見たのはイースタンリーグの対巨人戦で、ルーキーイヤーだったと思うが、プレーは粗削りながらも非常にスピード感があって体にバネを感じるプレーヤーだったと記憶している。
又、体はまだまだ細かったが、そんな中でもパンチ力というか、「体の芯の強さ」を感じる選手にも思えた。
当初からバッティングは将来性豊かな選手だと感じていたが、一方で当時の守備(主にセカンド)はお世辞にもプロレベルには遠く及ばず、走塁面でも凡ミスも目立つ選手で、俗に言う「やらかし君」のイメージが筆者の中では定着しつつあった。
それが2014年に本格的に外野手に転向すると、一つ一つのプレーに自信が感じられるようになり(地に足がついたプレーが増え)巨人ファンの立場では、これから暫くは「厄介な選手」として認識するまでの存在になっていた。
その後は常に度重なる怪我と復活を繰り返しつつ、特に巨人戦では意外性のあるバッティングというか「こんな場面でまさかの一発」を時折喰らっていたので、出場していると常に怖い選手だった。
例えばある試合、先発投手に対しては自分のスイングをまったくさせてもらえず無様に3打席連続で三振を喰らっていても、4打席目で出てきたリリーフから逆転の一発を放つというような「通常では考えられない結果」を涼しげにやってのける選手だった。
しかしながら、好不調が激しく、スランプになるとそれが長い期間続くような選手でもあったので、監督の立場では計算しづらい選手であったことも確かだったと思う。
つまり、一度火が付くと手がつけられないほど打ちまくり、スランプに入ると自分の良かった時のスイングを完全に失ってしまうという両極端な選手という言い方が分かりやすいかもしれない。
だが、2018年と2019年に大きな怪我と長期のスランプが重なり出場機会が激減した事で、本人もようやく「このままではいけない」と、腹を括って自分の野球観とバッティングスタイルを再考したということだろう。
バッティングで大きく変わったポイントとして、ボールを長く見るようになった事。
以前は打つポイントを前目に置いて、見送り三振よりも色んなボールに手を出して空振りするケースが多かったが、今はしっかり配球を読みつつボールを手元まで呼び込んで対応するように心がけている。
元々スイングスピードには自信があったと思うので、少々差し込まれても押し込んでヒットゾーン、もしくはスタンドまで運べる感覚を本人もようやく掴んだんだと思う。
その結果、去年はセンターからレフト方向への打球が激増し、HRもライト方向だけに集中することがなくなった。
まあ、一部の識者、野球ファンから、去年の活躍は「タマタマ」という声があがるが、筆者はそうは思わない。
FAで巨人に入団して以降、彼の言動に注目するようになって、彼の言葉には野球人にありがちな「野球バカ」ではなく、発する言葉の一つ一つにインテリジェンスを感じたので、この「変貌ぶり」は一過性のものではない事を確信しているし、逆に去年一年で「コツを掴んだ可能性」の方がむしろ高いと踏んでいる。
勿論、怪我をしない事が前提だが、この部分も経験とともに、重傷になる前に自分でストップをかけるタイミングも分かりつつあると思うので、以前よりもそのリスクは軽減していると見ている。
但し、試合中の不慮の事故(死球・接触プレーによる怪我など)は別だが。。。
★走塁と守備
若い頃はズバ抜けていたスピードと俊敏性に関しては、度重なる故障と加齢によって下降傾向であることは間違いないが、まだまだアスリート体形を維持しているので大きな落ち込みは感じない。
外野守備に関しては球際の強さに関してはレベルが高い。
センターとしては年々きつくなっているが、ライトとしてはまだまだNPBでもレベルの高い守備力がある。
一方で唯一気がかりなのが、前段の右肩のクリーニング手術以降、スローイングの強さは以前のレベルではなくなっている。
その点についてはこのキャンプを見た上でもう一度確認したい。
★2021年展望
彼自身が目標として掲げる打率3割以上、プラス1割の出塁率、これが仮に実現すると巨人打線は間違いなく得点力が倍増する。
原監督はインタビューの中で1番梶谷、2番坂本、3番丸、4番岡本という構想を持っているが、この並びは相手チームからすれば本当に厄介この上ないだろう。
このオーダーで130試合以上組むことが出来ればリーグ優勝は盤石だろう(更に突っ込めば、個人的には吉川尚輝が成長を遂げて2番に、5番に丸佳浩という打順が完成すれば王者ホークスに対抗できると思っている)
但し、ぶっちゃけこのラインナップでオーダーを何試合組めるのか?
腰と背中に古傷を抱えている梶谷はどこかで故障離脱することは避けられないだろう。
それでも去年のように最悪の事態になる前に自分でストップすることが出来れば、その影響は最小限に抑える事が出来る。
コーチ陣やトレーナーによる状態の見極めや配慮、その匙加減が非常に大事になる。
以上 敬称略
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