読売ジャイアンツ春季キャンプレポート 2021.2.22
本日のキャンプトピックス
★沖縄一軍
➀午後から五イニング限定の紅白戦が行われた。
特殊ルールとして、スタメンに指名打者二名を加えた「十人制」でオーダーが組まれた。
➁原監督が小林誠司に連日の熱血打撃指導
今季に賭けている小林が原監督の指導の下で打撃練習
原監督の小林に対する期待感がよく表れていた。
★宮崎二軍、三軍
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紅白戦 雑感
【紅組/攻撃内容/野手短評】
1番(右)松原聖弥
➀(P井納)カウント0-1から真ん中ストレートにやや差し込まれて遊ゴロ、一死
➁カウント2-2から外角ストレートを見三振、二死
<短評>
彼の課題である「打席でのしぶとさ」を全く感じない二打席だった。
特に二打席目はボール気味ではあったが、追い込まれた状況ならカットしないといけないボールだった。
2番(中)八百板卓丸
➀カウント0-2から内角低めのストレートに見三振、二死
➁カウント2-2から真ん中低めのチェンジアップを当てただけの投ゴロ、チェンジ
<短評>
やや体の疲れ(特に下半身)を感じさせる二打席だった。
彼本来のシャープなスイングが影を潜め、下半身の粘りが足りずに上体が勝ってしまうスイングになっていた。
3番(二)北村拓己
➀カウント1-2から外角低めのカットボールを上手く拾って中安、二死一塁
➃(P大竹)カウント0-1から真ん中低めのチェンジアップをバットの先で左飛、一死
<短評>
変化球に泳がさせることを恐れずに、早めに始動してストレート系に反応する準備が出来ていたし、低めの変化球にも巧く対応していた。
こういうバッティングが本番でも出来れば間違いなく数字は上がってくるだろう。
4番(捕⇒指)大城卓三
➀フルカウントから真ん中ストレートに差し込まれて二ゴロ、チェンジ
➃カウント1-0から真ん中チェンジアップをバットの先で遊ゴロ、二死
<短評>
スイングの内容は悪くないが結果が伴わなかった印象。
5番(左⇒捕)石川慎吾
➁(P田中)カウント2-2から外角ワンバンドのスライダーを空三振、一死
➃初球のカーブを捉えるが中飛、チェンジ
<短評>
第一打席の三振は相手のベストピッチだったので仕方がない。
第二打席は残念ながら「思わず手が出てしまった」という打席なので、彼のバッティングの課題を考えれば評価できない。
一方で守りの方では最終の一イニングで「捕手・石川」のサプライズ起用が実現。
外角から曲がってくるシュート回転のストレートを捕球ミスして進塁を許してしまう場面と、更に細かい部分を指摘するなら、左打者膝元の際どいコースのストレートを二球、キャッチング難でボール判定される場面があった。
まあ、それでも去年の「投手・増田大」のケースのように、一方的な展開で起用するなら問題ないレベルの捕手力はあると思う。
6番(三)若林晃弘
➁初球の真ん中ストレートを捉えて右安、一死一塁
➄(P中川)カウント1-2から真ん中低めのスライダーで空三振、一死
<短評>
第一打席は田中の速いストレートに遅れることなく、一発で仕留める見事なバッティングだった。
第二打席は中川の完璧な投球に対して爪痕さえも残せなかった。
7番(指)陽岱鋼
➁カウント1-0から外角ストレートを捉えて左安、一死一二塁
➄カウント0-2から外角スライダーを見三振、二死
<短評>
ようやく第一打席で実戦初ヒットが生まれてホッとしたのも束の間だった。
第二打席は中川に完璧に翻弄されて成す術が全くなかった。
8番(一)秋広優人
➁カウント1-1から真ん中高めカーブを引っかけてボテボテの二ゴロ、二死一三塁
➄カウント0-2から外角低めストレートを見三振、チェンジ
<短評>
第一打席はここまでスイングするケースが多かった緩いカーブにまたもや手を出してしまった。
第二打席は球界トップレベルのリリーフ左腕である中川の投球にバットがかすりもしなかった。
9番(遊)湯浅大
➁カウント1-2から真ん中スライダーを空三振、チェンジ
<短評>
真ん中スライダーに対してタイミングが合わずに三振。
10番(指⇒捕⇒左?)岸田行倫
➂(P鍵谷)初球の真ん中高めのストレートに差し込まれて遊飛、一死
<短評>
初球のストレートに手を出すなら、悪くてもファールにするようなスイングでないと実戦ではなかなか数字は残せない。
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【紅組登板投手/雑感】
☆戸根千明
ストレート系の平均球速は140キロ前半
変化球はスライダー、ツーシーム、チェンジアップ、カーブ
<雑感>
元々は「全球、力任せ」が持ち味の力投派だったが、今キャンプでは投球にメリハリをつけてここまでキッチリとコースに投げ分けている。
その違いがハッキリ投球に表れてるのは対左打者のケース。
これまでは対右打者よりも対左打者の方が制球が乱れてしまうケースが多かった。
特に左打者に投げにくそうなそぶりを見せ、ボールが抜けてしまうケース多くなるので、そのボールによって打者に恐怖感を与えるものの、一方で制球難という負の側面も抱えてしまっていた。
しかし、この試合では丸に対して抜けた逆球のストレートが一球あっただけで、左打者には外角低めにボールが集まり、それを引っかけさせていた。
対左打者で、この投球が出来れば十分に試合の大事な場面(接戦のリリーフ)を任せられる。
元々、右打者の懐に突っ込んでいくストレートとスライダーが得意で、質の良いチェンジアップやツーシームも持っているので、意外と対右打者にはベース盤を広く使えて十分勝負出来るので、ワンポイントリリーフに留まらず幅広い起用が可能になるだろう。
☆伊藤優輔
ストレート系の平均球速は140キロ台中盤
変化球はカットボール、チェンジアップ
<雑感>
今日は制球に苦しんでいた。
ボール先行で苦しい投球が続き、ストレート系をフルスイングされるケースが目立っていた。
ここまで見てると、田中豊ほどではないにしろ、彼も登板毎の良し悪しがハッキリ分かれるタイプで、この試合のようにカウント球で苦しんでしまうと厳しい。
☆高梨雄平
ストレート系の平均球速は推定で140キロ前後
変化球はスライダー、カットボール、ツーシーム
<雑感>
前回登板よりも制球が良かった。
ストレート系、スライダー系ともに逆球が殆どなく、ストライク先行で打者に対して攻めの投球が出来ていた。
現段階では同じタイプの戸根と比較すると、やはり安定感(球筋の安定性)で彼に軍配が上がる。
☆桜井俊貴
ストレート系の平均球速は推定で140キロ前半
変化球はスライダー、カットボール、カーブ
<雑感>
受けた捕手が本職ではない石川だったので気の毒な面はあった。
まあ、際どいコースをボール判定されていたので多少甘めに投げてたようにも感じたし、そのボールを打者に芯で捉えられずにキッチリ仕留めていたので上々の内容だった。
ストレート、スライダー系のキレ・精度ともにまずまずだった。
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【白組/攻撃内容/野手短評】
1番(右)梶谷隆幸
➀(P戸根)カウント0-2から外角ストレートを引っかけて二ゴロ、一死
➂カウント3-1からストレートが大きく外れて四球、一死一塁
<短評>
バッティングは実戦初登場で変則左腕の戸根のボールに腰を引かずに踏み込めていたので問題ない。
走塁の方では無警戒だった相手バッテリーの隙を突く見事な二盗。
2番(遊)坂本勇人
➀カウント2-2から真ん中低めのストレートに見三振、二死
➂⇒一塁走者の梶谷が二盗成功、一死二塁
⇒⇒フルカウントから外角カットボールを引っかけて三ゴロ、二死二塁
<短評>
結果は出なかったが、初めての実戦ながらもしっかり下半身主導でスイング出来ていたので問題なし。
3番(中)丸佳浩
➀フルカウントから外角低めのストレートを引っかけボテボテの一安、二死一塁
➂⇒バッテリーミスで二塁走者が三進、二死三塁
⇒⇒カウント1-0から外角高めのストレートにややバットの先で中飛、チェンジ
<短評>
第二打席の中飛は紙一重のバッティングだった。
ややバットの先で捉えてしまったがスイング軌道は悪くなかった。
4番(三)岡本和真
➀フルカウントから真ん中スライダーを空三振、チェンジ
➃(P高梨)カウント1-0から内角ストレートを捉えるが左飛、一死
<短評>
両変則左腕との対戦で結果は出なかったが、構えとバットスイングに問題点は感じない。
5番(指)亀井善行
➁(P戸根)初球の真ん中低めのストレートに押されて二ゴロ、一死
➃カウント1-2から外角ボール気味のストレートを空三振、二死
<短評>
彼くらいのベテランにこの時期から結果を求めることは無礼千万でしかない。
6番(左)ウィーラー
➁カウント2-2から外角ツーシームを引っかけて遊ゴロ、二死
➃カウント0-1から外角ツーシームを引っかけて三ゴロ、チェンジ
<短評>
両打席ともに同じようなバッティング内容だった。
7番(一)中島宏之
➁カウント3-1から真ん中ストレートを捉えて左中二、二死二塁
➄(P桜井:捕手は石川)カウント1-1から真ん中カットボールを打ち損じて一邪飛、一死
<短評>
第一打席はストライクを取りに行った平凡なストレートとは言え、一発でそれを仕留めたナイスバッティングだった。
8番(捕⇒指)炭谷銀仁朗
➁カウント1-1から真ん中ツーシームを捉えるが二直、チェンジ
➄フルカウントからカーブが大きく外れて四球、一死一塁
<短評>
第一打席は疲れの見せていた戸根の甘いボールを捉えるが野手の正面を突いてしまった。
9番(二)吉川尚輝
➂(P伊藤)カウント0-3から真ん中高めのストレートを強振、やや風にも乗って左本(打点1)
➄カウント1-1から内角スライダーに詰まって三邪飛、二死一塁
<短評>
第一打席は風に上手く乗ったとはいえ、しっかりフルスイングしていたからこそあれだけ打球が飛んでいく。
去年よりもフォロースルーが大きくなっているのは、体が一段とパワーアップしている証拠だろう。
10番(指⇒捕)小林誠司
➂初球の内角ストレートに差し込まれて捕邪飛、一死
➄⇒捕手石川のキャッチングミスで一塁走者が二進、二死二塁
⇒⇒カウント1-1から真ん中スライダーを打ち上げて遊飛、ゲームセット
<短評>
残念ながら原監督との特訓の成果は結果でも内容でも表れなかった。
ストレート系には差し込まれ、変化球で抜かれると自分からボールと喧嘩をしてしまっている。
色々バッティングの課題は抱えているが、個人的には「タイミングの取り方、合わせ方」に決定的な欠点があると見ている。
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【白組登板投手/雑感】
☆井納翔一
ストレート系の平均球速は140キロ前半
変化球はカットボールを中心にスライダーを少々
<雑感>
先頭打者の対してはややストレート系が抜け気味だったが、直ぐに修正出来ていた。
変化球もカットボール、スライダーともに意図したコース・高さに決まっていた。
彼のポテンシャルからすればまだまだ本来の球威・切れではないが、しっかりストレート系で打者を押し込むことは出来ていたので、実戦初登板にしては上々の内容を見せていた。
☆田中豊樹
ストレート系の平均球速は140キロ後半、最速で150キロ
変化球はスライダー、カーブ
<雑感>
勢いのあるストレートと、小さく縦に曲がるスライダーが持ち味の投手だが、彼の課題は何と言っても制球力。
特にカウント球でも使いたい縦のスライダーでストライクを奪えないと、当然ながらストレート系が狙われてしまう。
今は150キロのストレートは珍しくない時代なので、一軍レベルになると狙われたら打たれてしまう。
そこで今年は去年殆ど使っていなかったカーブ系を投げるようになっているが、この登板でも秋広を討ち取ったボールがこれだった。
このボールは勝負球としては厳しいが、カウント球としては有効なので、更に磨きをかけてストライク率を上げて欲しい。
そうすれば投球の幅が拡がり、150キロのストレートを簡単に弾き返されることが少なくなるだろうし、二軍戦のように縦スラで空振りを奪う場面がもっと増えてくる。
☆鍵谷陽平
ストレート系の平均球速は推定で140キロ台中盤
変化球はスライダー、チェンジアップ
<雑感>
ストレートはやや抜け気味でシュート回転するケースが多かったが、変化球は上々だった。
特にチェンジアップは抜けが良かった。
ここまで順調な仕上がりという印象。
☆大竹寛
ストレート系の平均球速は推定で140キロ前後
変化球はシュート、チェンジアップ、カーブ
<雑感>
今季実戦初登板ということで、それほど力感なく丁寧な投球。
変化球もキレよりも低めのゾーンを意識して投げていた。
☆中川皓太
ストレート系の平均球速は推定で140キロ中盤
変化球は縦変化と横変化のスライダー二種類
<雑感>
圧巻の一言。
角度のあるストレートは低めにビシビシ決まり、自由自在に操るスライダーは今や球界トップレベルの「キレと精度」と言っても決して過言ではない。
若林、陽、秋広をまさに手玉に取って三者三振。
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【スコア】
紅組 000 00 0
白組 001 00 1
<白組P>井納⇒田中⇒鍵谷⇒大竹⇒中川
<紅組P>戸根⇒伊藤⇒高梨⇒桜井
予定通り五回でゲーム終了
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【総評】
紅組は若手主体、白組はS班主体で行われた紅白戦。
試合開始直前の「一泡吹かせろ!」という原監督から紅組野手陣に向けた「檄」でスタートした。
但し、試合の方は監督の檄も空しく、紅組はまたも無得点で終わり、対する白組も吉川の一発のみの得点で終わった。
そして若手野手のバッティングでギリギリ合格点を与えられるのは北村だけで、他の内容は寂しいと言わざるをえなかった。
一方で投手陣の方で目を引いたのは中川のピッチング。
この試合で登板した他投手と比べても二段階も三段階もレベルが違っていた。
又、移籍後初登板の井納も一イニングでヒット一本の内容だったが、総じて強いボールが低めに集まっていたので、若手が多い先発陣の中では比較的安心して先発を任せられる投手だという事を再認識した。
以上 敬称略
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