2015年の読売ジャイアンツの新外国人選手は投打で明暗を分けた。
投手のマイコラスとポレダは合格点を与えても差し支えなく、特にマイコラスに関しては後半戦でエースと呼ばれるほどの活躍を見せていた。
ポレダも課題はまだまだあるが、今後の伸びしろを十分に感じさせる投球内容を披露し、2年目の今季は新たな変化球をマスターすれば、飛躍の可能性も十分考えられる。
一方で野手の新外国人については散々な結果に終わった。
シーズン前の段階では阿部のファーストコンバートでロペスを放出し、アンダーソンとセペダの2年目に期待したが、思惑通りには進まずにシーズン途中で、フランシスコとカステヤーノスを補強した。
しかし、前者は明らかなウエイトオーバーで来日当初から満足な動きが出来ずに、守備の破綻と故障で早々と見切られてしまい、続いて補強したカステヤーノスも首脳陣が期待していた結果を残すことが出来ずに、同じく数試合で見切られてしまった。
両者ともにシーズン途中での入団ではなく、しっかり日本のキャンプを行った上でのプレーを見たかったというのが正直な感想である。
特にフランシスコは体が絞れていれば大化けの可能性も十分あったと思う。
但し、プロとしての体調管理の甘さは致命的なので、日本で長く活躍するとは思えないが。。。
そしてフランシスコ獲得の反省を生かして??ナイスガイの長距離砲「ギャレット・ジョーンズ」を獲得した。
次に彼のメジャー時代のバッティング映像から私的見解を述べていきたい。
ギャレット・ジョーンズ
1981年6月21日生まれ 今年で35歳
身長193㎝ 体重104㎏ 左投げ左打ち
ポジションは主にファーストとライト(レフト)
MLB通算911試合 734安打 122本塁打 400打点
①2009~2013年のパイレーツ時代のホームラン映像
②2009~2013年のパイレーツ時代の映像(守備含む)
③2014~2015年のヤンキース時代の映像
④2015年 ヒーローインタビューを受けてる様子
⑤2015年 プライベートについて語っている様子
映像①~③は彼のプレー映像で、④~⑤はインタビューを受けてる様子。
後者の映像をあえてピックアップしたのは、彼の人間性を知る一つの材料として捉えて頂きたい。
★技術的な指摘評価
セイバーメトリクスの視点からの評価は他ブログにお任せし、弊ブログでは筆者の主観による技術的なアプローチで語っていきたい。
まず、個人的には好みのタイプである。
打者としてのタイプは間違いなく長距離砲で、振り幅とアッパー気味のスイングは生粋のホームラン打者。
スイング軌道が俗に言う外回りで、低めのボールを強引にしゃくりあげて強振するタイプである。
よってMLBで残した記録を見ると典型的なフリースインガーだが、一方でバッティングの全体像を見ると意外に懐の広さを感じるのも特徴。
特にパイレーツ時代の映像を見ると、下半身でしっかり溜めを作って頭の位置がぶれずに軸でスイングしている映像が目立つので、この時代に日本でプレーしていたらかなりの確率で成功していたと思う。
前述通り、スイングの軌道は外回りなので、内角直球には苦しむかもしれないが、球威・球速でMLBより1段劣るNPBなら克服は可能だと思う。
又、MLB時代は変化球に脆さを見せていたようだが、これは筆者の憶測で言えば、恐らく対処が難しかった内角寄りの直球に対して過剰に反応してしまった事よるものが大きいと推察する。
勿論、日本の投手の変化球の精度には苦戦は免れないだろうが、個人的にはバッティングスタイルはNPB向きの打者だと考えている。
もう少し突っ込んで分析すれば、バッティング映像を見る限り、得意なコースは低めの直球と外寄り高めの直球、そして変化しない中途半端な半速球(フォーク系・チェンジアップ系の失投)は彼のツボだろう。
逆に苦手なコースと球種は、内角高めの直球と内角低めに流れるスライダー系、そして低めにキッチリ決まればフォークも振ってしまう確率は高い。
又、左投手の外に流れる変化球の見極めも苦手だと思う。
彼は調子が落ちてくると体が前方に突っ込んでしまう癖があるので、自分が好きな低めのコースから落とされたり曲げられたりすると手を出してしまうだろう。
やはり、そうならない為には「いかに我慢出来るか?」
彼がクレバーな選手で日本の野球(配球)に早くから対応するようなら、技術的には前述通り適応する形は持っているので期待できる。
長くなったが、以上がパイレーツ時代(2009~2013)の映像を見た筆者の技術的な評価である。
さて問題は直近のヤンキース時代(2014~2015)の映像を見ると「かなり劣化している」事である。
これが年齢的な事なのか?右肘の故障が原因なのか?(去年9月に右肘の骨棘除去手術)
これは何とも言えないが、今年で35歳になるという事で、客観的に考えれば「衰え」と考えるのが普通だろう。
特に彼の悪い癖である体が前に突っ込む形が如実に表れてるケースが目立っている。
去年は上記以外の映像を見てもハッキリ出ていたし、ホームランを放っている映像でも頭が倒れて体が突っ込みながら崩れた形になっている。
つまり、軸足でしっかり溜めを作った状態でスイングしていた形が多かったパイレーツ時代と比べて、崩されている形が多くなっている。
原因として考えられるのは「スイングスピードの衰え」で始動を早くせざるをえない状況になっているか?
そもそも下半身の衰えで長く溜めを作れない状況になってしまっているのか?
又は、リードする右肘の故障の影響なのか?
どれが当てはまるのかは実際にキャンプを見てみないと何とも言えないが、非常に気になるポイントである。
キャンプ前の評価としてはパイレーツ時代のギャレットならHR30本は十分期待できるが、去年のギャレットのままなら日本では単純なフリースインガーで終わってしまう可能性が高い。
その場合は、早くから外国人枠の争いから早々に脱落し、マイコラス・ポレダ・マシソン・クルーズの状態次第では、開幕1軍も怪しくなるかもしれない。
次に守備については、打球の追い方と動きを見ると、NPBのファースト又はレフトの平均レベルだと思う。
勿論、前述通り下半身が衰えて動けない体になってしまっている可能性は否定しないが、アンダーソンの外野守備力と比べるのは彼には失礼なレベルにはあると思う。
この点もキャンプ・オープン戦の映像でしっかりチェックしていきたい。
最後にインタビュー映像を見た第一印象は、とても気さくなナイスガイという事。
MLBの元選手という「変なプライド」を持たずに、日本での成功を目指してひたむきにプレーしてくれる事を期待したいし、それを十分期待できる気がしている。
やはり、年齢的な部分は気になってしまうが、一方で環境が変わり精神的に前向きな姿勢で望めば復活出来ない年齢でもない。
同じく今年からGに入団したクルーズとはメジャー時代の同僚で顔見知りのようである。
阪神のゴメスがマートンの助言を受けて入団初年度から活躍したように、ギャレットもクルーズ(2年間千葉ロッテでプレー)から様々なアドバイスを受けて早く日本の野球に馴染むことを期待したい。
クルーズについては次回以降で触れていきたいが、彼らのどちらか一方に過度な期待をかけるのではなく、二人の相乗効果で低迷しているG打線の起爆剤となるように期待したい。
以上 敬称略