いよいよ2016年プロ野球ペナントレースが開幕した。
今シーズンも皆さんと共に「チームの勝敗やプレーに一喜一憂」しながら「基本的には冷静に試合を振り返り、そして、時には熱く語っていきたい」
読売ジャイアンツvs東京ヤクルトスワローズ 1回戦
【試合結果】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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ヤクルト | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
巨 人 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | X | 3 |
菅野→マシソン→澤村
小川→秋吉→ペレス
勝ち・菅野 セーブ・澤村
負け・小川
【G野手雑感】
★長野久義
劣勢の中で生まれた先制HRは、まさに貴重な一打だったが、一番打者としてはチャンスメイクが出来ていなかったので不満は残る。
★立岡宗一郎
ワンヒットですかさず盗塁を決めたが、今日の仕事はこれだけだった。
他の打席については内容・結果ともに不満が残る。
★坂本勇人
守備では安定したプレーを見せ、気持ちの入った打席もあったが、三番打者としては内容も結果も物足りない。
★ギャレット
バッティングでは二度出塁(四球・死球)し、内容も悪くなかったが、ファーストの守備で二度イージーミス(記録はヒット)を犯した。
★クルーズ
オープン戦終盤と比べてバッティングの状態は確実に上がってるし、あと僅かでHRという二塁打も放った。
懸念されたセカンドの守備も安定感があった。
★亀井善行
外野守備では相変わらず素晴らしい打球判断で失点を防いだが、バッティングでは再三のチャンスで凡退してしまった。
個人的に不満なのは「カウントが追い込まれる前の段階で、追い込まれた時のスイングをしていた」こと。
これは以前から見られる彼の悪い癖だが、追い込まれるまでは内角寄りの厳しいボールを無理にフェアゾーンに入れるスイングは必要ない。
もっとバッティングをシンプルに考えて欲しい。
★村田修一
バッティングはオープン戦の内容から変化はなく、相変わらず直球に差し込まれてしまっていた。
★小林誠司
キャッチャーとしては菅野を好リードし、バッティングでは試合を決めるタイムリー二塁打を放った。
重苦しかった試合展開を考えると、ランナー1・2塁の場面で単打による1点ではなく、前進守備の外野の間を抜いて二点タイムリーになった事が何よりも大きかった。
【G投手雑感】
☆菅野智之
直球系では、フォーシームに関しては素晴らしい球質で精度も高かった。
一方でワンシームは大きく外れるケースが目立ち、序盤はこのボールが決まらずにカウントを悪くしてしまった。
変化球に関しては、スライダー系(カットボール含む)が素晴らしかったが、フォークボールは2回に雄平に長打を浴びてから選択肢から消していた。
ゲームの前半5回までは、上記の球種のみで何とか凌いでいたが、勝負球に苦しんでいたので相手に粘られていた。
4・5回辺りからややボールが高めに浮いて、危険な兆候が出ていたが、勝負処で失投せずに何とか無失点で切り抜けた。
そして、前段で述べた通り、6回からカーブを有効的に使って、打者を少ない球数で討ち取り、むしろ6・7回はそれまで以上に安定感があった。
この試合であまり使わなかったフォークボールについては、菅野自身は「諸刃の剣」と考えているようだ。
去年まではカウントで追い込むとフォークボールを多投していたが、逆にこれが原因で試合終盤に握力がなくなり、ボールが抜けてしまうケースが多くなったらしい。
但し、この試合の序盤のようにスライダー系と直球系だけでは、打者は簡単に空振りしてくれないし、狙い球が絞りやすくなるので、甘くなればヒットを打たれてしまう。
そこで今季はキャンプからワンシームを磨いて、若いカウントで多投し、打者にゴロを打たせようとしたが、今回は明らかにボールゾーンへ外れてしまっていた。
この試合に関してはカーブを序盤に隠す事が出来たので、球数が100球を超えても何とか凌いだが、次回以降もフォークを減らすスタイルを続けるなら、ワンシームの精度が鍵を握ってくるだろう。
☆マシソン
山田に長打を浴びて失点してしまったが、四球がキッカケで失点した訳ではないので、個人的には問題視していない。
3点差の場面で登板するセットアッパーが、最も避けねばならないのが「四球で出塁を許すこと」である。
☆澤村拓一
キャンプからスロースタートで調整を続けていたが、キッチリ開幕戦で状態を上げてくれた。
勿論、まだ本調子とは言えないが、オール直球で打者をねじ伏せた点は評価できる。
由伸ジャイアンツの船出に相応しい「素晴らしい火消しだった」
【試合のポイント】
①2回表1アウトでランナー2・3塁、バッター中村
「カウント3ボールの場面で難しい外角低めのスライダーに手を出し、セカンドゴロで三塁ランナーがホームでタッチアウト」
Gバッテリーが「満塁やむなし」の配球で攻めていたが、中村がボール気味の球に手を出してしまった。
彼の後の打者(大引・小川)の状態と力量を考慮に入れて、彼なりに勝負を仕掛けていったが結果は裏目に出た。
この場面では難しい球に手を出した中村への批判はあるかもしれないが、個人的には勝負を急がなかったGバッテリーを称賛したい。
②4回表2アウト走者無し、バッター坂口
「粘りに粘って12球目でヒットを放った」
このケースを含めてS打線の各打者は打席で粘りを見せて、菅野にはボディブローのように効いていた。
尚、結果的に勝利には結び付かなかったが、Gバッテリーには十分にプレッシャーを与えていた、
③6回裏、菅野のピッチング
「この回から、それまで殆ど使っていなかったカーブを絡めて、緩急を使って打者を少ない球数で抑える」
5回までは直球系(フォーシーム・ワンシーム)とスライダー系(カットボール含む)を使って、横の揺さぶりで打者と対峙していたが、この回からワンシームを減らしてカーブを多く使う配球に変えて打者を討ち取っていた。
恐らく、試合前の段階で、小林と話し合って投球パターンを決めていたと思うが、それまで100球近く投げさせられていただけに、このパターンを使って2イニングをスイスイ切り抜けた事は大きかった。
④7回裏、その前の攻撃で代打を送られた小川から秋吉に交代
「結果的に、この交代で試合の流れを大きく変わり、Gにとって大きな追加点が生まれた」
交代を決断した采配の是非については結果論なので、今回はたまたま巨人にとって好結果に繋がったという事。
去年、ヤクルトはこの形で僅差の試合を拾ってきたので仕方がない。
追加点の口火を切ったクルーズの二塁打も、直前までの空振りを見れば「ラッキーパンチ」と言えるバッティングだった。
その後、これで動揺して制球を乱した秋吉から小林が貴重なタイムリーを放った。
【試合総評】
ゲーム序盤はヤクルトが押しまくっていたが、菅野の踏ん張りで得点できず、ゲーム中盤は長野のHRで先制したものの、そこからチャンスでは逆に小川が踏ん張り追加点を奪えないという「重たい試合展開」になっていたが、前述通り、小川の交代で一気に試合が動いた。
ヤクルト打線については、前年同様に強打でイヤらしい。
但し、この試合を見る限り、怪我で出遅れていた四番の畠山が、甘いボールをミスショットして菅野を助けてしまった。
やはり、状態は「まだまだ」という印象だった。
第二戦もGバッテリーは彼を眠らせたままにしておきたい。
勝った巨人については、ギャレットの守備(ファースト)がかなり拙い。
ゲスト解説の原前監督が指摘した通り、グラブが出し方が良くないし、本質的には彼は外野の方がプレー経験が長いのかもしれない(それでも上手い訳ではないが)
これについてはオープン戦から不安を露呈していたが、公式戦で同じことをすれば致命傷(敗戦)に繋がる危険性が高い。
四番として100打点稼いでくれれば多少のミスは許容範囲だが、これで打てない状況が続いてしまうと、投手の足を引っ張るだけの「マイナス面」しか生まれてこない。
最後に、この試合が高橋新監督にとって嬉しい初勝利となったが、高橋采配については、かなり我慢強い印象で、そして最後までブレていなかった。
例えば、8回裏にマシソンが失点し、続く雄平を迎えた場面では、去年までの原采配に慣れてる多くのGファンは「ここで山口投入か?」と思ったと思う(筆者はこれまで指摘した通り、山口の途中投入は反対の意見を持っている)が、マシソンをそのまま続投させた。
ただ、投手起用に関しては、当面の間は尾花コーチの意見を尊重するらしいが、それにしてもベンチで微動だにしない姿は非常に印象的だった。
以上 敬称略