新監督の船出を勝利で飾った読売ジャイアンツだが、去年の覇者・ヤクルトに対して何とか勝ち越してチームに勢いをつけたい。
読売ジャイアンツvs東京ヤクルトスワローズ 2回戦
【試合結果】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヤクルト | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 3 | 5 |
巨 人 | 0 | 2 | 3 | 0 | 2 | 2 | 1 | 0 | X | 10 |
石川→古野→徳山
高木→田原→戸根→山口
勝ち・高木
負け・石川
【G野手雑感】
★長野久義
昨日、出塁したのはHRの一本だけだったが、この試合では五度の打席で二度(四球とHR)出塁したので、十分に合格点を与えられる。
彼を一番に置くオーダーは、今日のように下位打線が作ったチャンスを得点に繋げる可能性も高い。
★立岡宗一郎
この試合では一度の出塁のみで、しかも暴走気味の走塁でアウトになってしまい、二番打者として機能していたとは言えない。
但し、他の打者がカバーしてチームも勝ってるので、この積極的な姿勢は忘れないで欲しい。
攻撃的な二番打者として、チームに勢いをつけて貰いたい。
★坂本勇人
バッティングの状態はまだまだ本調子には遠い。
しかし、この試合では「技あり」のヒットが二本出て、これで彼も精神的に余裕が出てくると思う。
次戦では彼のタイムリーで勝負を決める場面が見たい。
★ギャレット
バッティングの内容は悪くない。
この試合でも紙一重でHRになりそうなスイングがあった。
又、彼も初ヒットが生まれたので、精神的には楽になったと思う。
次戦では来日初HRを期待したい。
★クルーズ
彼のバッティングスタイルと、得意ゾーンや球種を考えると、S石川からHRを放つ予感は十分にあった。
これまで度々指摘していたが、彼の得意なコース(及び球種)は、体に近づいてくる変化球が甘い内角寄りに入ったケース。
このゾーンについては、状態が良ければ140キロ程度の直球でも、上からしっかり叩くことが出来る(その反面、右投手の逃げていく変化球には脆い)
つまり、左投手に対しては、外角低めのチェンジアップ系(落ちるボール)をしっかり見極められれば、強打出来る可能性はかなり高い。
★亀井善行
攻走守でチームの勝利に大きく貢献した。
まずバッティングは昨日の反省を活かして狙い球をしっかり絞っていた。
元々、オープン戦終盤から調子が良かったので、この活躍は納得できる。
又、レフトの守備でも坂本との中継プレーで先取点を阻止した。
★村田修一
彼にも待望のヒット(タイムリー)が生まれて、本人もホッとしていると思う。
但し、その後の打席を見てもバッティングの状態は相変わらず良くない。
★小林誠司
この試合でも勝負強さを発揮し、貴重な追加点となるタイムリーと、ダメ押しのタイムリーを放った。
八番打者にタイムリーが生まれると、打線の繋がり(又は打順の巡り合わせ)は間違いなく良くなる。
【G投手雑感】
☆高木勇人
昨日の菅野と配球は似ていたが、序盤は140キロ前半の直球とスライダー系(カットボール含む)を軸に組み立て、味方打線が大量得点を奪ってからはカーブをカウント球に使ってピッチングに緩急をつけていた。
結果は7回2失点なので十分に合格点だが、内容を見ると今一つだった。
直球の切れはマズマズだったが、変化球はやや高めに集まる傾向が強かった。
又、フォークもワンバンドになるケースが多く、機能していたとは言い難いし、他の球種も制球面で苦しむ場面が多々あった。
ぶっちゃければ、この試合に関してはS打線に助けられた印象が強い。
☆田原誠次
いきなり連打を浴びる苦しい展開になったが、その後はコーナーに直球と変化球を投げ分けて後続を絶った。
今シーズンの彼には、勝ちパターンでも「ガンガン」投げて欲しいので、まずは無失点で切り抜けられて良かった。
☆戸根千明
今オープン戦でも度々指摘したが、今季の彼は決して状態が良いとは思えない。
まず目立つのが制球面で、はっきりしたボール球になるケースが多く、変化球も曲がりが早いので、打者には簡単に見切られている。
そして何より腕の振りが緩くなってしまってるので、ボールの威力と切れも感じない。
山口の負担を減らす意味でも、彼にはやって貰わねば困る。
☆山口鉄也
戸根の乱調で、九回2アウトから登板した。
直球の切れは、オープン戦終盤よりも良かったと思う。
【試合のポイント】
①2回表ノーアウト2・3塁、バッター坂口
「レフトへのファールフライで、三塁ランナー畠山がタッチアップでホームに突っ込んだが、レフト亀井とショート坂本による完璧な中継プレーでタッチアウト」
巨人側から見れば、このビッグプレーは先制点を防いだだけではなく、S側に傾きかけた試合の流れを(昨日と全く同じように)再びG側に傾いた。
逆にヤクルト側からすると、非常に勿体無い「タッチアップの決断」だった。
確かに、今季から導入されるコリジョンルールで、少々強引でもホームを狙う姿勢は共感できるが、このケースの場合はレフトの亀井が捕球した瞬間は「明らかにアウトのタイミングだった」
②2回裏ノーアウト1塁、バッター亀井
「亀井が放った左中間への二塁打(フェンス直撃)で、一塁ランナーのクルーズが一気にホームインする」
このケースは、タイムリー二塁打を放った亀井の貢献は大だが、それと同じくらいクルーズの打球判断が素晴らしかった。
後続打者の状態と力量を考えると、仮にランナー2・3塁で村田が凡打に終わると、小林を歩かされてピッチャーの高木が三振し、長野に掛かるプレッシャーが大きくなってしまい、最悪の結果として無得点で終わる可能性が高まってしまった。
③2回裏ノーアウト2塁、バッター村田
「村田のサードゴロで、二塁ランナーの亀井が好判断で三塁に進塁する」
ここでも二塁走者・亀井の打球判断が素晴らしかった。
通常、サードゴロでは二塁走者はスタートを切りづらいが、事前にリードを大きく取って絶好のスタートで進塁していた。
この結果、ワンアウト3塁という場面で小林を迎え、S内野陣は前進守備を敷く事になったので、おのずとヒットゾーンは広がり、小林のタイムリーに繋がった。
【試合総評】
去年、いいようにやられていた石川を完璧に攻略したので、勝敗は中盤で決した。
勿論、石川の状態が良くなかったので、参考外という見方もあるかもしれないが、やはり左投手に強いクルーズの加入は大きい。
今後、石川にとっては驚異に感じると思う。
思い返せば、去年のG打線は、先制しても後続が続かず最少得点で終わっていたが、この試合では効果的に得点を重ねていた。
その大きな要因として、クルーズや長野のHRが試合を決定付けたと言っても過言ではないが、前段で指摘したように、走者の打球判断や好走塁など、次の塁を貪欲に狙う姿勢も見逃せない。
一方で、ヤクルトについては、やはり序盤の拙攻が痛かった。
結果的に、前段の「本塁憤死」で試合の流れが大きく変わり、そこから攻守で受け身になってしまった。
そして石川が負の流れに飲み込まれ、二番手以降の投手も流れを食い止める事が出来ずに試合が決した。
又、打線も高木を打ちあぐねて、チャンスで一本出ない展開が続いてしまった。
しかし、それでも試合終盤に見せた集中打は流石だった。
川端・山田のチャンスメーカーにも徐々に当たりが出て、ポイントゲッターの四番・畠山もシーズン初ヒットが生まれ、そして何より五番・雄平の調子が良いので、次戦以降は一気に打線が爆発する雰囲気が出てきた。
以上 敬称略