攻守で問題点が露呈している巨人だが、そんな課題を埋める前に試合は確実に消化していく。
ヤクルトvs巨人 4回戦(4月12日)
【試合結果】
巨人 000 110 000 2
ヤクルト 003 110 001 6
勝 成瀬 2勝1敗
敗 ポレダ 1勝2敗
【試合総評】
前回の阪神戦に引き続いて、ポレダの自滅と言える内容だった。
又、調子も明らかに良くなかったし、特に初回から変化球の制球が悪かったので、ピッチングが単調になってしまった。
走者を一人でも出すと、リズムが途端に悪くなってしまうので、味方野手もエラーが出やすい状況になるし、攻撃でもマイナス面が生じやすい。
シーズン前に弊ブログでは「今季の先発投手陣は、菅野とポレダが軸として機能しないと厳しい」と書いたが、オープン戦とは別人のポレダを見て、かなり拙い状況になってしまった。
ここまでの先発ローテは菅野と田口は文句ないが、高木・ポレダ・今村に関しては安定感が乏しいので計算できない。
そして、先発陣が不安定なら、それだけリリーフ陣にしわ寄せがくるし、やはり田原の状態が落ちてしまった。
開幕ダッシュに成功した巨人だが、投手陣に関しては先の見通しがつかない状況になっているし、先発もリリーフもかなり層が薄くなっている。
先日、トレードで日本ハムの乾(大累との交換)を獲得したが、まだまだそれだけでは厳しい。
だが、当面の間はリハビリ中のマイコラスや杉内に期待は出来ないので、内海や大竹の状態が上がってくるのを待つ他ない。
そして、それまでは現状の投手陣で、一点でも少なく失点を防いでいくしかないだろう。
ヤクルト巨人 5回戦(4月13日)
この試合は試合中盤で一方的な展開になってしまったので、記事のポイントを個人の状態(調子)に絞って筆者なりの見解を書いていく。
【試合結果】
巨人 020 131 001 8
ヤクルト 000 000 000 0
勝 菅野 3勝
敗 館山 2敗
【G野手雑感】
☆立岡宗一郎
現状、技術的な観点では「バッティングの状態は可もなく不可もなく」だが、狙い球が絞りきれていない印象が強い。
つまり、今は相手球団が上手に彼を攻めてるという事になる。
彼は手元まで引き付けてバットを内側から出す事には秀でているが、その反面、どうしても直球には振り遅れてしまってファールにするケースが多くなる。
そして、それを修正しようとすると今度は緩急に脆くなる。
現状は、カウント球の甘い直球を仕留めきれていないので、最後は変化球を振らされてしまっている。
開幕から殆どフル出場が続いている(昨日は終盤に代打を送られた)ので、疲れもかなり溜まってると思う。
☆片岡治大
出場機会が激減してるので、代打として打席に立つと「打ちたい」という思いが強すぎて、ボールを追っかけてしまっている。
しかし、昨日のようにスタメンで出ると、逆に結果を残そうとして逆方向への意識が過剰になって、なかなかバットのヘッドが出てこない。
つまり、彼本来の「リストの効いたスイング」を、全く忘れてしまっているし、共通して言えるのは「バッティングに間を感じない」という事。
現状の悪い流れを変えていくには、代打で出場した際に結果を残していくしかない。
個人的には、クルーズと村田は「決して高い壁ではない」ので、まだまだこれからチャンスも出てくると思うが。。。。
☆長野久義
「固め打ちかノーヒット」という両極端になるケースが多いが、状態は試合を重ねる毎に確実に良くなってると思う。
開幕直後の「DeNA戦での固め打ち」の時よりも「昨日の固め打ち」の方がバッティングの内容は良い。
今は始動の段階で遅れる事が殆どないので「初球からどんどんスイングしてタイミングを計る形」が、全く迷いなく実行出来ているし、スイングの起動もインサイドアウトになってる。
初球にとんでもないボールを振って空振りしたかと思えば、次のボールを呼び込んで「パシッ」と捉えるバッティングは彼の真骨頂である。
その反面、少ない球数で凡打が続いてしまうと、チームの士気はなかなか盛り上がってこないが、彼はこのスタイルを続けてこそ結果を残せる選手だと思う。
その為には色々制限があるトップバッターよりも、昨日のように三番を打たせた方が彼らしさが出てくると思うが。。。
☆ギャレット
昨日の初回の打席で、現状の彼を物語るバッティングが三通りあったので、それを元に問題点を考えていく。
①第一打席の二球目
外角直球に対しては右足の踏み込みが甘く、腰も引けてしまってるので、グリップが体の中心から大きく離れてしまっている。
よって、俗に言う「手打ち」になっている。
②第一打席に三球目
外角に流れる変化球には、腰が引けながら上体が前に突っ込んでしまってる。
③第一打席の四球目
内角(懐)に直球を投げられると、そんなに厳しいコースではないのに「大きく腰を引いて」避けてしまってる。
最終的にこの打席は内角膝元のスライダーを空振りして三振したが、上記の三球を見た段階で勝負の行方は見えていた。
これら三つのケースから彼の状態を推察すると「全くボールが見えていないし、踏み込んで打てる状態ではない」という事。
原因として最も考えられるのは「広島、阪神、中日戦での度重なる内角攻め」だと思う。
彼はベースから離れて打席に立ち、そこから踏み込んで外角のボールを叩くスタイルだが、内角胸元へのボールをかなり意識させられたので、なかなか踏み込んでいけない。
そこから変化球を曲げられると、ボールを無意識に追っかけてしまうので、どうしても②のように体が突っ込んでしまう。
状態が良くなるにはやや時間が掛かりそうだが、当面は左中間方向への意識を徹底した方が良いかもしれない。
バットの先でも構わないし、タイミング的に差し込まれても仕方ないので、とにかく右肩で壁を作る事を強く意識して欲しい。
そうすれば、グリップが体から大きく離れる事はないし、インサイドアウトのスイングも増えてくると思う。
☆クルーズ
キャンプ前の彼の特集記事で触れたが、やはりクリーンアップの一角としては、技術的なバックボーンが足りない。
昨日の試合のようにHRを放つツボは持ってるが、一方で弱点も明確になってるので、相手バッテリーからすれば攻めやすい。
理想としては彼を七番に置く打線を作りたい。
☆亀井善行
去年から弊ブログでは何度も書いているが、彼のバッティングのテクニカルな部分は、チームでも阿部の次に高いレベルにあると思うし、坂本・長野よりもテクニックは上と見てる。
では彼に何が足りないのかと言えば「体の強さ」と「難しく考えてしまう性格」だと見ている。
今年もここまでは同じ印象が続いてしまっている。
☆村田修一
ぶっちゃけて言えば「もう一発を期待する打者ではなくなっている」と思う。
スイングの幅もかなり小さくなってるし、初球から右方向へ意識しているので、当然ながらHRはあまり期待出来ない。
今シーズンのここまでの成績は、七番打者で見れば合格点になるかもしれないが、やはり寂しさも禁じ得ない。
☆小林誠司
バッティングの数字は低いが、送りバントを含めて八番としてはまずまずだと思う。
それよりもキャッチャーとして非常に頑張ってると思う。
特に若い投手(田口・今村)と組んだ時の配球は進歩のあとを感じるし、全体的にどんな場面でも攻め急がないので大ケガも減っている。
勿論、ケースバイケースだが「四球を出す事を怖がらなくなっている」のが、ピンチの場面ではプラスに働いている。
☆坂本勇人
ここまで順調な滑り出しを見せているが、やはり彼の場合は休みがちになってしまってるのが心配である。
何処が悪いという事が今一つハッキリ表に出ていないが、彼の古傷である腰痛や足の故障の可能性が高いようだ。
バッティングに関しては、長野よりも数字は高いが、内容的にはあまり評価していない。
相変わらず「困ったらここを投げておけば大丈夫」という弱点があるので、三番打者としては物足りない。
個人的には彼のコンディションが戻ったら、長野と打順を逆にすべきと考えている。
【G投手雑感】
☆菅野智之
もはや巨人ファンの誰もが認めるエースだと思う。
「ボールの質」「マウンド上での振る舞いと気迫」「相手打者を力と技でねじ伏せる迫力」
「どんな時も冷静さを保っている精神力」
どれもエースに相応しいし、先日の阪神戦や昨日の試合のように、前日にチームが敗けた後に悪い流れを断ち切っている。
今年は味方打線の援護と怪我さえなければ「モンスター級」の結果も期待できるかもしれない。
では、去年までのピッチングと何が変わったのか?
実は、制球力に関しては去年とそんなに変わっていないと思う。
しかし、去年、四球を許したケースは相手打者に粘られて根負けするパターンが多かったが、今年はそれを全く許さずに勝負を決着させている。
その要因として挙げられるのは、直球とスライダー(カットボール含む)の質が上がった事だと見ている。
直球は打者の手元で「威力」を感じる球質になってるし、スライダー系は「抜けるから横滑りする変化」ではなく、直球の軌道から「打者の手元でビュッと横滑り」している。
よって、ボールが少々甘くなっても打者が打ち損じてくれるし、例え甘くなっても簡単に捉えられる球質ではない。
そこが去年との大きな違いだと思う。
一方で、開幕前に話題になった「魔球ワンシーム」に関しては、ここまではそんなに精度の高いボールにはなっていないが、そのボールを見せる事で、左打者の外から曲げるスライダー系が有効に機能しているし、これがフォークを殆ど使わずに左打者を封じてる大きなポイントと見ている。
そして、フォークの球数を少なくする事で、終盤の握力低下を防ぐ事に繋がっており、120球を超えても、そこから更に一段階ギアを上げて、150キロオーバーの直球をガンガン投げられる訳である。
以上 敬称略