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阿部を生かすも殺すもサカチョー次第

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1月5日付の記事で、4連覇を逃した昨シーズンの敗因を一昨年の成績と比べて分析したが、やはり、阿部とサカチョー(坂本・長野)コンビの不振が、Gにとって致命傷だった事は誰もが認めるところだろう。
そんな彼らの「今シーズン」を考える前に、ここまでの年度別成績を振り返っておく。
(太字はリーグ優勝、2009・2012は日本一)

阿部慎之助 年度別成績

年度球団




























O
P
S
2001読売127428386408718013144443022317799.225.373.293.668
2002読売127511446621332601821373414346128110.298.478.377.857
2003読売94371314469515115157511134409527.303.500.392.897
2004読売10843637961114221332377800104313876.301.625.3911.016
2005読売13053447656143160262378602065117815.300.498.365.867
2006読売1294974523913326210193560242354768.294.427.349.777
2007読売14058049972137200332561011231057117617.275.513.355.875
2008読売12548442860116270242156711404486617.271.502.350.852
2009読売12346240963120202322407611273410879.293.587.357.949
2010読売14056949885140272443039200115811918.281.608.368.977
2011読売11443739045114210201956111213596612.292.500.363.864
2012読売138556467721592212726410400286994711.340.565.4291.000
2013読売13552942281125170322389100068615598.296.564.427.996
2014読売13152645949114240191955713025877716.248.425.340.766
2015読売111419343448314015142470004648849.242.414.370.787
通算1872733963688751813315936132291084131428567511341106162.285.507.369.879

坂本勇人 年度別成績

年度球団




























O
P
S
2007読売433110001210000000.333.333.333.667
2008読売14456752159134241818443105151282982.257.353.297.65
1
2009読売14164058187178333182716253744441018.306.466.357.826
2010読売1446766091071713543130785144107473836.281.504.332.839
2011読売14462456869149272162285981103376913.262.401.313.716
2012読売144619557871733521425469161125396905.311.456.359.818
2013読売144620554731473311221854244435548711.265.394.334.730
2014読売14461654582152290162296123595552883.279.420.344.767
2015読売13055847950129213121926810495650795.269.401.353.757
通算11394923441761512342371612718845031112776333702771743.279.427.336.765

長野久義 年度別成績

年度球団




























O
P
S
2010読売128459430661242431921152124202527210.288.491.330.821
2011読売140578519581642041724369198324868511.316.468.379.849
2012読売144653574841732921424860207217511005.301.432.382.815
2013読売144642590821662131925065145304811016.281.424.336.760
2014読売1305234726714029113210628442423758.297.445.356.803
2015読売13047943449109203151805232523448112.251.415.310.726
通算816333430194068761431697134236076301972721751452.290.445.351.797

小笠原・ラミレスが主軸だった2008~2011年を除くと、阿部のキャリアハイは2012年、坂本と長野も2012年になる。
更に言えば、3人の2012年以降の成績を見ていくと、数字の上下がお互いにリンクしている事が伺える。

弊ブログを長くご覧頂いている読者の方ならお分かりになると思うが、筆者は阿部のバッティング技術を「NPB屈指」という表現で評価し、対して坂本・長野については「明確な壁(弱点)」があると指摘してきた。
よって、阿部がここ数年の数字が落ちてるのは、ケガと加齢によるものが大きいと考えているが、坂本・長野については技術な問題だと考えている。

特に坂本に関しては、今のバッティングスタイルを変えないのであれば、数字が大きく伸びるとは考えにくい
一方で長野の昨シーズンの不振ついては、肘と膝の故障明けで満足な状態でプレー出来なかった事を考慮に入れれば、去年の数字はある意味仕方がないとは思う。
しかし、冷静に技術的な観点で見ると、彼も今のままではタイトル争いするような選手とは思えない

筆者の考える二人の技術的な課題は以前の記事で度々語ってきたので割愛するが、平たく言えば「彼らの攻略法が確立されている」という事である。
この現状を打破するには、技術的にワンランク上げなければ難しい。
少し前までは阿部の存在感、脇を固める強者ベテラン(亀井・村田・ロペス・高橋由・井端など)が二人の負担を軽減して自身の成績が多少悪くてもチームは何とか勝てていたが、彼らの年齢による衰えや怪我、移籍などで、二人に掛かる負担が一層大きくなっている2015年シーズン前だった。
そしてシーズンに入り、補強した選手が例年以上に機能しなかったので、彼らの不振がチーム成績に直結してしまった。

阿部が全盛期ならばバッテリーのマークが彼に集中し、二人の数字を引き上げる事も期待出来たが、残念ながら、ここ3年の状態を見る限りでは、それを期待しない方がより現実的と言える。
つまり、阿部復活の期待が薄い中で、二人が2012年並の結果を残すには、二人自身が技術的にレベルを上げて、体力も1年間持たなければありえないという事になる。
逆に年齢的、体力的な事を考えれば、二人が阿部を引っ張るような形が必要になる。
但し、そうは言ってもバッティング技術に関してサカチョーは、阿部の域とは大きな差がある。
しかし、年間100試合出場出来るか微妙な阿部をチームの軸として計算するのは、どう考えても優勝を狙うチームではない。

去年、スワローズが優勝したのは、怪我で離脱することが多いバレンティンやミレッジを軸に置いていた打線を、2年かけて山田・畠山・川端・雄平の4人に移行させた事が大きな要因だった。
勿論、全てが上手くいった訳ではないが、少なくとも筆者にはスワローズがバレンティンとミレッジ(外国人)に頼らないチームを作っている事を数年前から感じていた。
そして、去年の真中新体制で完成させた訳である。

原前監督も同じ事を常に考えていたと思う。
ラミレス・小笠原がいた頃から監督は常々、阿部・坂本・長野がチームの軸にならねばならないと語ってきたし、その阿部が明確な軸になった2012~2014年の3連覇の頃からは、中堅の坂本・長野の更なる成長を促し、そのサポート役として村田も獲得した。
そして同時に若手(大田・中井・橋本など)の台頭も期待していたが、どちらも監督の思惑通りには運ばなかった。

もう今のGにはサカチョーの前に立つ選手は誰もいない。
ならば、サカチョーがチーム内外を納得させる成績を出さなければならない。

そうすれば阿部が一昨年のシーズンオフから度々インタビューで使っている言葉である「最後の一花」を咲かせる事が可能になるかもしれないし、伸び悩んでいる大田・中井・橋本の覚醒、立岡の更なる成長、期待される岡本の台頭があるかもしれない。

だが、去年までのサカチョーのバッティング技術では、それを叶えるのは非常に難しい。
特に前段で書いた通り、坂本はバッティングそのものを大きく見直さなければキャリアハイの結果は机上の空論になる。
長野・坂本共にバッティングに対するアプローチを思い切って変える必要があるが、現時点ではそのような報道は聞こえてこない。

彼らは今年の自主トレから阿部とは別行動で、二人が後輩を引き連れてグアムでトレーニングを始めているが、それはとても良い事だと思う。
恐らく、阿部が考えて決断した事だと思うが、これはチームの軸を二人に託した事を意味している。
ならば、彼の「想い」を結果に繋げる為にも、二人は絶対に今季は巻き返さねばならない。

筆者は二人が阿部の想いを痛いほど理解していると思ってるし、それを結果に表して欲しいと願っている。
その為には二人ともバッティングをドラスティックに変える位の「覚悟」を見せて欲しい。
ここ数年見せた同じ失敗(同じ攻められ方で凡打する姿)を見せないで欲しい。
特に坂本は失敗を恐れずに「挑戦」して、是非ともそれをモノにするまで拘って続けて欲しい
彼は去年のキャンプからシーズン後のプレミア12まで、何度もバッティングを変え続けてきた。
悩んでる事も痛いほど解るが、如何せん「コロコロ変え過ぎ」だった印象は否定できない
長野も去年はその傾向が若干表れていた。
この自主トレの後半で「今年のバッティング」をある程度の形にして、キャンプではそれを固めてモノにして貰いたい。

筆者なりに考えた方法を具体的に言えば、坂本は外角低めにボールを集められると苦しいバッティングスタイルなので、もっとベース寄
りで打席に立つ事

かなり勇気が必要な「変化」ではあるが、上半身のパワーが不足している彼にとって、外角直球に対応するには、これくらいの工夫は必要になるだろうし、残念ながら現状ではこれくらいしか浮かばなかった。

長野の場合は、状態が悪くなると構えからトップまでの流れの中で、左肩がキャッチャー方向にロックして、背番号がバックネット方向からの映像でハッキリ見えてしまうスイングになるので、もう少しオープンスタンスで構えてボールを見やすくして、トップまでの過程でガチガチに力む形を抑える事が必要になる
その為には、今のベースから離れた立ち位置では厳しいので、彼ももう少しベース寄りに立つ必要がある

以上が筆者のキャリアの中で考えついた方法だが、これには賛否両論あって当然だと思うし、プロの選手・コーチなら別のアプローチでレベルアップする方法があると思う。
いずれにしても、現状のままでは厳しいので、キャンプでは何かが変わった二人の姿を見たいと切に願っている。

以上 敬称略


尚、上記データについては「プロ野球データFreak」さんから引用させて頂いております。

プロ野球データFreak
他では見られないプロ野球の詳しいデータを掲載。チーム成績、選手成績。