今日から第3クールに入ったG宮崎春季キャンプには、昨日行われたOB戦の関係で訪れていた長嶋、江川、桑田など、各時代の名選手がグランドを訪れていた。
◆監督と会話する桑田真澄
◆山口俊を激励する長嶋茂雄
◆真剣な眼差しで野上の投球を見ている江川卓
さて、今回はFAで移籍して二年目を迎える陽岱鋼について考察していく。
☆2017シーズンの陽岱鋼を振り返る
2017シーズンの個人成績
試合87 打席381 三振80
安打87 打率.264
四球41 出塁率.356
本塁打9 長打率.406
打点33 得点圏打率.333
盗塁4 UZR10.4
去年は自主トレの段階で下半身に故障が発生し、その後も別の箇所を痛めて大きく出遅れてしまった。
そしてようやく交流戦中盤に一軍の試合に出場したが、交流戦終盤から打撃の調子が上がり、8月には三試合でHR4本固め打ちし、打率も最高で318まで上昇したが、9月にはパタッと当たりが止まって打率は急降下していった。
全体的な印象としては、やはり満足なキャンプを行えなかった事が響いて、好走守全てにおいて彼らしい躍動感が乏しかった。
★バッティングの特徴
彼のバッティングは、大まかに言えば俗に言うフリースインガーで、初球から積極的にフルスイング選手である。
このタイプの特徴は、四球が少なく三振が多いこと。
基本はレフト方向へ引っ張るスイングが多くなるが、ライト方向に決め打ちするテクニックも持っているし、そちらへの長打も少なくない。
そして、彼のバッティングフォームの特徴として、最大のポイントになっているのが、足を高く上げてタイミングを計る事。
★2017シーズンのバッティング内容
元々ファイターズ在籍時から好不調の差が激しいタイプだったが、去年も同じような結果になっていた。
その一因としては、やはり去年の場合は満足なキャンプが出来なかった事が大きいと思う。
彼のようなフリースインガーで、しかも足を高く上げてタイミングを計る選手の傾向としては、一定の長打力は期待できるが、出塁率は上がりにくい。
そして彼の場合は好不調の波が激しいので、主力選手としてチームに与える影響は良くも悪くも非常に大きくなる。
例えば、一つの試合で5打席あるとすれば5打数2安打、又は最低でもヒット1本コンスタントに打ってくれると、打率は3割を越えてくれる。
一方で、仮に5試合で15本ヒットを放っても、調子が落ちたら10試合で3本しか打てないケースでの打率は2割になる。
当然ながら打率という数字もさることながら、それ以上にチームへの貢献度は前者の方が遥かに高い。
勿論、どんなに素晴らしい結果を残した選手でも、多少の不調期や調子の並がある。
しかし、去年のように一度調子を崩したら、そのまま一ヶ月以上全く当たりが止まるようでは、チーム全体でカバーする事は難しい。
★不調に陥った最大の要因とは?
ここで「バッティングで彼が一番苦しんだのポイントは何か?」を考察していく
シーズン終盤、彼のバッティングは完全に崩れてしまい、タイミングを合わせることに窮していた。
それを裏付ける意味で、興味深い数字を紹介する。
去年、彼は少ない打席数にも関わらず、意外にも四球が45あった。
この数字は仮に年間600打席に換算すると約65になる。
一方で三振の数は去年80で、年間600打席に換算すると126になる。
彼のキャリアハイは2014年シーズンで、打率.293でHR25という数字を残した。
この年は125試合の出場で540打席なので、前段と同様に年間600打席換算にすると、四球が50で三振が120になる。
ここまでの数字(600打席換算)をまとめて比較すると
2017シーズン
四球65 三振126
2014シーズン(打率・HRがキャリアハイ)
四球50 三振120
勿論、打順などの影響もあるが、不振だった昨シーズンの方が四球が多く、三振の数も僅かではあるが増えた
これは何を意味しているのか?
①タイミングを取れずに初球からバット振れない打席が続いて、ボールを見てしまうケースが増えた
②カウント球の甘いボールを捉えられないケースが増え、カウント的に追い込まれる状況が多くなった
つまり、自分の形(初球から積極的にバットを強く振るフリースインガー)が、全く作れなかった事を意味している。
これはあくまでも筆者の妄想かもしれないが、個人的な意見としては去年のバッティングは以上のような分析結果となった。
★得点力アップには彼の活躍は欠かせない
1番打者に最も必要なファクターが出塁率である事は間違いないと思う。
そして優勝するにはカープの田中のような1番バッターが不可欠ではある。
しかし、その出塁率が高くて走力を持ってるG選手は坂本以外見当たらない。
坂本の1番起用はショートという過酷なポジションを考慮すればなるべく避けたいし、そもそも彼には中心選手としてクルーンアップを任せたい。
また、首位打者を獲得した当時の長野なら、現状のメンバーでは最適だと見てるが、故障箇所と加齢の関係で、以前のような躍動感はないので厳しい。
他にも若手の台頭に期待したいところだが、現実的に考えると陽岱鋼しかいない(仮にセカンドの吉川尚が台頭しても、他の選手との兼ね合いから2番での起用が現実的である)
それならば、彼にはフリースインガーとしての持ち味を活かして、出塁率(四球で出塁する)を気にせずに超攻撃的な核弾頭としてチームをリードしてほしい。
そして、出塁率が他のチームより劣るかもしれないが、その穴埋めとして下位打線で作ったチャンスで打点を稼いでもらいたい。
イメージとしては2007シーズンの高橋由伸が理想型だが、現実的な目標の最低ラインは打率3割、HR20本になる。
彼にとって打率がキャリアハイになる数字だが、ここまで数字を伸ばさないとG打線が覚醒する事は難しい。
キャンプ中継の中で紹介されていた彼の抱負(目標や指針)は「考えて野球をする」というような主旨の発言をしたらしい。
勿論、考えて野球をする事は重要な要素だが、彼には自分の長所を全面に出してダイナミックな守備、ダイナミックな走塁、そしてダイナミックな打撃を期待したい。
その為には故障しないように体のケアも大切に。。。
以上 敬称略