今日から沖縄での二次キャンプがスタートした我がジャイアンツ。
連日、寒風が吹きすさむ宮崎とはうって変わって、この日の沖縄は非常に温暖で、誰一人としてネックウォーマーを着けていなかった。
さて、ここまで様々な角度でGの打撃力と投手力については考えてきたが、野手陣の守備力については殆ど触れてこなかったので、そこに今回から焦点をあてていく。
【UZRから考える各チームの守備力】
その為にはまず守備力を数値化したUZRという指標で、2016年シーズンの各チームの守備力を分析し、そこから見えてくるGの課題を浮き彫りにしようと思う。
まず、そのUZRについてウィキペディアでは以下のように説明をしている。
「UZRの算出においては、まずグラウンドを多数の「ゾーン」に区分し、各ゾーンについて発生した打球の種類(バント・ゴロ・外野へのライナー・外野へのフライ)や速度(遅い・中間・速い)を記録する。そしてそれぞれのゾーンにおいて生じた特定の種類の打球についてリーグ全体でどれだけのアウトが記録されたかを算出する。このデータを基に、個別の野手のプレーを評価し、各種の補正を合わせて「リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだか」を計算する」 (以上 ウィキペディアより)
筆者が補足すると、UZRは失策(守備のエラー)と同様に記録する人間の主観(映像を見て判断している)をベースに数値化しているので、一概に守備の優劣を決める数値ではないという事。
又、球場によってファールゾーンや外野の広さが大きく違う事も留意しないといけない。
しかし一方で、セイバーメトリクス先進国のアメリカ(MLB)では、投手と捕手以外の守備力評価については、この指標を参考に評価している向きもある。
個人的にはUZRに限らず、セイバーメトリクスの中でも、ある程度個人の主観をベースに数値化している指標に関しては参考程度に留めて、このブログで評価していく上では、筆者の経験則を元にした主観を大事にしていく。
以下は2017年の各主力選手のUZR数値
☆はUZR数値についての雑感
★は個人的な評価
【②キャッチャー】
會澤 -0.6 梅野 +2.1
戸柱 +1.6 小林 +3.2
中村 +2.2
☆捕手に関しては打球処理の範囲が狭いので、ほぼ参考外と考えている。
★小林と梅野のワンバンド処理は高いと見ている
【③ファースト】
ロペス +8.2 阿部 -5.8
ビシエド +1.1
☆ロペスはファールゾーンが狭い横浜スタジアムが本拠地なので、やや高めに出ているかもしれない。しかし、それでも他と比べると納得感はある。
★阿部は一昨年よりもイージーミスは減ったが、相変わらず打球の反応は鈍い。
【④セカンド】
菊池 +3.2 上本 -3.2
山田 -1.6
☆菊池の数値がそれほど高くないのは意外だが、山田・上本との比較で考えると多少納得感はある。
★去年、菊池は下半身に故障を抱えていたので、本来の動きではなかったと思う。
【⑤サード】
安部 +9.7 宮崎 +11.5
マギー -6.7 鳥谷 -13.4
☆宮崎の指標が高い理由の一つは、ロペスと同様に本拠地のファールゾーンが狭い事も考えられる。逆に鳥谷はファールゾーンが広いので、やや気の毒な数字になっている。
★マギーは非常に柔らかいグラブ捌きをするが、足が動いていないので守備範囲はかなり狭い。
【⑥ショート】
田中 -0.9 倉本 -17.0
坂本 +10.6 京田 +6.8
大引 -8.6
☆ほぼ納得の数値
★倉本と大引は他の選手と比べると、打球の処理範囲が狭いように感じる。
坂本の守備範囲は他と比べると別格
【⑦レフト】
筒香 -2.8 バレンティン -5.7
ゲレーロ -6.5
☆ほぼ妥当な数字だが、球場の広さを考えると三者同じ程度と考える。
★ゲレーロの数字が一番悪いが、バレンティンよりも動ける選手だと評価している。
【⑧センター】
桑原 +17.7 丸 +17.1
陽 +10.4 大島 -5.6
☆上位三人の数値には納得しているが、大島の数値が極端に低いのは何故?
★陽岱鋼の復帰当初は緩慢に見えるミスを連発していたが、8月以降はイメージ通りのプレーを見せていた。
【⑨ライト】
鈴木 +2.3 梶谷 +2.9
長野 -4.4
☆全体的に印象よりも悪い数値だが、三人を相対的に考えると納得する数値でもある。
★個人的には長野の外野守備は評価していない。打球を追うスピード、落下点への入り方は他の二人よりもかなりレベル差を感じる。
【2017 チーム全体UZR数値/ポジション別UZR数値】
広島 +28.5
①+0.3 ②-2.4 ③+1.8 ④+2.3 ⑤+13.1
⑥-0.9 ⑦-7.4 ⑧+17.0 ⑨+4.7
数値を見ても全体的にバランスが良く、守備陣がキッチリ整備されている事が証明されている。
阪神 -56.9
①-1.7 ②-0.4 ③-1.1 ④-1.0 ⑤-16.2
⑥+2.1 ⑦-21.1 ⑧-10.0 ⑨-7.5
広い甲子園を本拠地にしてるので、他球団と比べて数値が悪くなるのは仕方がないが、それを差し引いても酷すぎる。
唯一ショートだけプラス数値だが、ここを主に守っていたのが大和なので、彼が居ない今季は更に数値が悪化する可能性が高い。
DeNA +22.8
①+1.6 ②+1.0 ③+7.2 ④-7.7 ⑤+15.9
⑥-17.0 ⑦-2.1 ⑧+17.2 ⑨+6.6
この数字を見ても一目瞭然で、懸念だった二遊間の守備強化として名手の大和を獲得したのは納得出来る。
読売 +5.7
①+0.2 ②+1.4 ③-9.4 ④+3.3 ⑤-9.1
⑥+9.4 ⑦+2.9 ⑧+11.1 ⑨-4.1
ハッキリしてるのはファースト、サード、ライトの守備力に課題を残している事。
但し、ファーストとサードについては打力優先のチーム事情なので目をつむるとして、問題になるのがゲレーロの加入で外野の守備力が低下すること。
去年はレフトを主に守っていた亀井の出場機会が大きく減って、そこにゲレーロが入る。
そうすると単純にゲレーロのレフトUZRが-6.5なので、去年のチーム全体のレフトUZR+2.9から大幅に悪化する可能性が高い。
但し、個人的には巷で心配されているほど、彼のレフト守備は酷くはないと評価している。
去年のプレーを見る限り、足が動いていない訳ではないし、肩も強肩ではないがレフトとしては平均レベルと見ている。
近年のレフトを守った外国人と比較すると、アンダーソン・ラミレス・セペダよりも俊敏性は高い。
中日 +15.5
①+2.6 ②-0.9 ③+6.1 ④-4.1 ⑤+10.2
⑥+8.3 ⑦+1.2 ⑧-6.1 ⑨-1.7
広い名古屋ドームなので外野の指標が悪くなるのは仕方がないが、ライトは平田が故障から完全復帰すれば全体的にもう少し良くなると思う。
但し、セカンドは荒木の衰えもあって厳しくなってる。
ヤクルト -38.0
①-3.0 ②+1.7 ③-4.5 ④-1.6 ⑤+6.8
⑥-17.9 ⑦-9.5 ⑧+2.3 ⑨-12.2
数値は阪神よりもましだが、様々な要素を考慮に入れると同じくらい酷い数値と言える。
特にショートと外野が大きな課題になる。
青木が加入してセンターを守る事になると思うが、去年のWBCでのプレーを見る限り、往年のようなスピード感は無くなっている。
【総評】
このように各チームや主力のUZRを見ていくと、それぞれのチーム事情が透けて見える。
巨人と阪神は、ある程度守備には目をつむって打撃優先でオーダーを組んでいるし、ヤクルトと中日は怪我人続出で苦しいチーム状況が伺える。
しかし、一方で広島とDeNAは若手が主力として定着し、他チームと比べるとバランスが良くなっている。
特に広島は攻守で隙のないチームを完成させている。
さて、ここまで去年のセリーグ各チームの守備力を分析して、そこから浮かび上がってくる弱点を探ってきたが、次回はこれを踏まえてGの守備力を細かく見ていきたい。
以上 敬称略