最後は社会人のドラフト上位候補について触れていく。
~2015ドラフト上位指名候補~
☆印の選手は、巨人スカウト会議(9月29日)で1位候補として名前が出た選手(30日付のスポーツ報知より)
★は新聞紙上で名前が挙がっている主な上位候補
【社会人・投手】
★近藤大亮(パナソニック) 右投右打 社会人2年目
浪速高校から大阪産業大に入学し、プロでも注目を集める投球を披露していたが、プロ入りを希望せずにパナソニックに入社した。
肘の使い方が柔らかく、大きなテイクバックから繰り出す伸びのある直球は、先発では140キロ前半に抑えて投げているが、リリーフになると140キロ後半を連発する。
アマレベルなら直球一本でも抑えられるくらい素晴らしい快速球の持ち主である。
・短評
指に掛かった直球の切れ味は、これまで取り上げてきた今年のドラフト候補の中はNO1かもしれない。
低めの直球でも空振りを奪う事が出来る。
一方で課題は変化球の精度が少し落ちること。
主にフォークと縦のスライダー系を投げているが、どちらも制球されているとは言い難い。
イメージするならオリックスの佐藤達也が思い浮かぶ。
これで変化球でもカウントを稼げるようになれば、プロでも十分に活躍するレベルの素質を持っている。
個人的にはリリーフ向きの投手だと思う。
★小畑彰宏(大阪ガス) 右投右打 社会人3年目
鳥取西高から青山学院を経て東京ガス入りした3年目の投手。
甲子園の出場経験も有るが、投手として本格的に取り組んだのは大学に入ってからである。
大阪ガスに入社後はフォーム作りで迷走していた時期が有ったが、ようやく固まりつつあり、それに比例して結果を残している。
武器はサイドハンド気味のフォームから投げ込んでくる動くボール。
先発では140キロ台前半が最速になるが、短いイニングなら140キロ後半を連発する力はある。
・短評
直球は打者の手元でショート気味に落ちたり、カット気味に曲がったりするので、特に右打者は差し込まれやすい。
コントロールはアバウトだが、威力は十分にある。
一方で、課題は変化球になる。
主にスライダーを投げるが、コーナーにビシッと決める精度はない。
現状では、やはり対左打者には分が悪いかもしれない。
似たタイプとして思い浮かぶのは、DeNAの三上である。
★狭間正行(ホンダ熊本) 右投左打 社会人2年目
古賀竟成館高から九州共立大を経てホンダ熊本に入社して2年目となる。
学生時代は中央では無名に近かったが、社会人になりメキメキと力をつけた苦労人である。
役割はリリーフが多く、短いイニングを全力で投げる速球投手である。
その直球は140キロの後半をコンスタントに記録し、最速は150キロオーバーになる。
変化球は主にスライダー系を使っている。
・短評
リリーフ専門の投手で、最速150キロオーバーの直球でゴリ押ししてくるタイプの投手である。
一方で変化球は精度は今一つで、細かい制球力も無い。
前段で指摘した通り、直球については打者の手元での伸びが感じられないので、プロで活躍する為には、ウイニングショットとして使える変化球が欲しい。
★石橋良太(ホンダ) 右投左打 社会人2年目
明徳義塾高から拓殖大を経てホンダに入社する。
高校時代は内野手として甲子園にも出場したが、大学に入ってから本格的に投手をとしての道を歩む事になる。
ここから徐々に頭角を現し、大学4年になると直球のスピードは140キロ台後半にまで上がり、プロのスカウトに注目される存在になったが、彼がホンダ入りを選択する。
・短評
下半身の使い方が上手でフォームに粘りを感じる。
高校卒業時は内野手として高い評価を受けていただけあって、バッティングやフィールディングを含めた総合力は高いレベルにある。
直球はコンスタントに140キロ台を出し、変化球もスライダー系を中心に落ちるボールも持っている。
彼については、個々の能力が秀でている訳ではないかもしれないが、実戦で良さが引き出されるタイプと見ている。
【社会人・野手】
★木下拓哉(トヨタ自動車) 右投右打 社会人2年目
高知高から法政大学を経て、トヨタ自動車に入社した強肩捕手。
捕手らしくガッシリした体型で、大学時代から強肩とリードには定評が有った。
それは社会人になっても同じで、所属チームの監督の信頼は厚い。
課題になっていたバッティングも、パンチ力を活かした豪快なスイングが魅力でもある。
・短評
捕手としての守備力には定評があるので、捕手の人材が乏しい球団には魅力的な選手かもしれない。
やはり課題はバッティングになると思う。
やや左肩の開きが早いので、ボールの見極めが難しいタイプのように感じる。
但し、外野の頭を越えるパンチ力を持っているので、プロの水に慣れてくれば8番打者としてなら問題にならないかもしれない。
【総評】
ドラフト1位候補という観点では、人材的に乏しいと言わざるを得ない。
一方で、プロでもリリーフなら十分な活躍が見込める選手が結構いる。
その中でも、個人的には近藤大亮に魅力を感じている。
勝ちパターンのリリーフが不足している球団は、彼を絶対獲得すべきだろう。
以上 敬称略