巨人の春季キャンプは大詰めを迎えているが、ここに来てインフルエンザや故障で離脱する選手が続出している。やはり今が一番疲れが溜まる時期かもしれないが、各自が最後まで大きな故障をせずにキャンプを全う出来るよう心から願っている。
【STARTING LINEUP】
【G野手レポート】
☆1⑨⇒D陽岱鋼 4打数2安打1四球
①外角直球を引っ掻けてサードゴロ
③真ん中直球を捉えてセンター前ヒット
⑤真ん中直球を捉えてセンター前ヒット⇒盗塁成功
⑦ボールを見極めて四球
⑨外角直球を合わせただけのライトフライ
・タイミングが合うようになってバットがスムースに出てくるようになった。今の状態なら甘いボールを高い確率で仕留めるだろう。
☆2④田中俊太 5打数1安打
①外角直球を当てただけのサードゴロ内野安打
③真ん中高め直球を叩いてショートゴロ⇒ヒットエンドランで走者は二塁進塁
⑤内角直球に詰まってセカンドライナー
⑦真ん中直球を捉えるがショートゴロ チェンジ
⑨真ん中直球に詰まってレフトフライ 試合終了
・全く下半身が使えず上体だけでボールに向かってるので、打球に勢いが無くなっている。
・田口とのサインプレーによって二塁走者を牽制死させる場面があった。
☆3⑦ゲレーロ 2打数1安打
①外角直球を捉えてセンター前ヒット
③内角ショートに詰まってセカンドゴロ
・岡本とは正反対で左肩が全く開かない。それによって外角の150キロ近い直球をしっかり捉える事が出来る。
・元々、調子が落ちてくると肩の開きが速くなってミスショットが多くなる癖のある選手だが、今はそれを微塵も感じさせない。
⇒3⑦松原聖弥 2打数0安打
⑤真ん中直球に詰まってファーストゴロ チェンジ
⑧内角直球を打ち損じてセカンドゴロ
・何でも手を出しに行くような「焦り」を感じさせる打席が続いた。起用する側にとって、彼のようなタイプの打者には「打撃力」を求めている訳ではなく「野球力」を求めている事を忘れないで欲しい。「一本のヒットだけではなく、一回の出塁をする為にはどういうアプローチでバッティングをすれば良いのか?」ここをもう一度考えて欲しい。
☆4⑤岡本和真 3打数1安打1四球
①真ん中直球を捉えたがセンターフライ チェンジ
③ボールを見極めて四球
⑥内角低めの直球に合わせて二遊間ヒット
⑧真ん中直球を打ち損じてファーストフライ
・第一打席は前打者のゲレーロが打ったボールよりも甘いコースだったが、彼は打ち損じてしまった。見た目は大飛球だったが、やはりバットの先なので生きた打球ではない。
・バットの先で捉える打球が多いのは、やはり左肩の開きが早い事が最大の理由である。去年よりもスイングスピードは間違いなく上がっているので、ここ(左肩の開き)を我慢できるようになれば、HRを連発する可能性は十分に感じる。
・去年までよく見られた「立ち後れ」(タイミング的に差し込まれている)によって打席で余裕がなくなり、明らかなボール球に手を出す姿は殆ど無くなった。その理由の一つにバックスイングがコンパクトになってトップの位置からスムースにバットが出ている事が挙げられる。凡打の内容を見ると中途半端なスイングは殆どないし、フルスイングでの凡退が多い。
☆5D⇒9長野久義 4打数2安打
②外角カットボールを引っ掻けてサードゴロ
③外角低めカットボールを引っ掻けてサードゴロ チェンジ
⑥真ん中直球を捉えてライト前ヒット
⑧真ん中直球を捉えてレフト前ヒット
・陽と同じく甘いボールを一発で仕留めるあたりは、他の若手打者とは違うところを見せつけていた。
☆6③和田恋 4打数1安打
②外角低めの直球を引っ掻けてショートゴロ
④真ん中直球に詰まってセカンドゴロ
⑥外角低めのスライダーを空振り三振
⑧真ん中直球を捉えてレフト前ヒット
・最後の打席で一矢報いたが、全体的な内容は寂しいモノだった。
・技術的にはややバットが外回りなので、引っ掻けてしまう打球が多い。
☆7⑥北村拓己 4打数1安打
②内角直球に詰まってサードゴロ内野安打
④真ん中低めのチェンジアップを空振り三振
⑥真ん中低めの直球を叩くが5―4―3のダブルプレー チェンジ
⑧内角直球に詰まってライトフライ
・内容的には結果ほど悪くは無かったが、この試合では打ち損じが目立ってしまった。
☆8②田中貴也 1打数1四球
②相手が制球を乱して四球
④内角直球に詰まってファーストゴロ チェンジ
・少し気になったのが、キャッチングの際にややミットが流れる事。これを続けてしまうと際どいコースをボール判定される可能性が高くなるので直したい。
⇒8②小林誠司 2打数0安打
⑦内角直球にやや差し込まれてレフトフライ
⑨内角直球を詰まってサードフライ
・彼の悪い癖である上体でボールを迎えに行ってるので、手打ちのスイングになっている。キャンプの疲れが溜まっている事が原因かもしれないが、キャンプ前半で実行出来ていた下半身主導のスイングが全く出来ていない。
☆9⑧重信慎之介 4打数1安打
②内角直球に詰まってショートゴロ チェンジ
⑤真ん中直球にバットが折れてセカンドゴロ
⑦内角直球に詰まってセカンドゴロ
⑨外角ショートを拾ってライト前ヒット
・半速球には対応出来るが、140キロを超える直球に対しては差し込まれてしまっている。
【G投手レポート】
☆田口麗斗 3回2安打3三振 失点0
・直球の平均スピードは130キロ後半だが、殆どカット気味に変化していた。
・変化球は切れのある二種類のスライダーを軸に、チェンジアップとカーブを織り混ぜていたが精度も上々。
・直球の切れは良い時の8割程度の印象だが、その理由の一つに「右打者への内角球を尽くボール判定されていた事」がある。勿論、カット気味に変化する事もボール判定される大きな理由だが、それ以上に個人的には「切れ」を感じなかった事がやや心配である。
・但し、このような心配をするのは、彼は既に「期待の若手」のレベルを超えて、菅野に次ぐG投手陣の柱だからである。恐らく、まだまだこれから状態を上げていくと思うし、上げてもらわねばジャイアンツにとって致命傷となる。
☆野上亮麿 2回1安打 失点0
・直球の平均スピードは130キロ後半。
・変化球はカーブとチェンジアップ。
・コースの間違いはなかったが、全体的にボールが高いので、今の球威のままならやや不安が残る内容だった。
・相手打線が打ち損じ(しかも早打ち)で助けられた印象の方が強いので、まだまだ彼本来のピッチングではないと思う。
☆吉川光夫 2回1安打(1HR)5三振 失点1
・直球の平均スピードは140キロ前半。
・変化球はカーブ、スライダー、チェンジアップ
・今日は課題である変化球の制球が良く、常にストライク先行で押すことが出来ていた。元々、個々のボールだけ見れば十分に先発ローテに入る力量があるだけに、この結果には全く驚かない。
・一方で、やはり変化球を投げるときに腕が緩むのが気になる。今日のように変化球が低めに集まれば相手打者は手を出してこないが、高めに浮くと長打の危険が高いし、コースが外れれば簡単に見送れる。
・彼の場合は「制球を乱した時にどのようにピッチングを纏める事が出来るか?」一度リズムを崩すと大量失点してしまう傾向を是正しなければ、筆者が監督なら怖くて起用できない。
☆篠原慎平 1回2安打(1HR)1四球 失点1
・直球の平均スピードは140キロ前半
・変化球はスライダーとフォーク
・前回と同じ感想で、この程度の球威のままなら、今のアバウトな制球力では厳しい。アウトを取るのが相手の打ち損じでは大事な場面では起用できない。
☆高木京介 1回0安打1三振
・直球の平均スピードは130キロ後半
・変化球は緩いカーブを軸にカットボールとスライダー。
・直球は角度があるので、打者にはスピードガン以上の切れを感じていたと思う。
・制球についても直球・変化球ともに低めにしっかり集まっていた。
・現時点では左のリリーフ候補の中では最も安定している。
【試合結果】
SK 000 001 010 2
巨人 000 000 000 0
田口⇒野上(田中貴)⇒吉川⇒篠原⇒高木(小林)
試合は2対0でSKワイバーンズが勝った。
【総評】
・SKワイバーンズは18日に対戦した起亜タイガースよりも打線の迫力が一枚落ちるので、今日登板した各投手の結果を額面通りには受け取れない。
・この試合を見る限り、レギュラークラスのゲレーロ・陽・長野と、彼ら以外の若手打者との力量差が如実に現れてしまった。
・特に残念なのが俊足が武器の重信と松原に「出塁する為の工夫」が殆ど感じないこと。重信は時折バントの構えを見せて揺さぶっているように見えるが、筆者から見れば「揺さぶっているフリ」にしか見えない。その後のバッティングは淡白で粘りを感じないし、松原にいたっては全打席クリーンヒットしか狙っていないように見える。
・筆者は常々今のG打線に必要なのは、左の中長距離砲と言ってきたが、彼らにそれを望んでいないし、彼らも自分達がその役割を担えるとは微塵も思っていないと思う。しかし、それならどんな形でも出塁しようとする姿勢をチーム内外に示し、自分達の存在感を高めていかねば、このまま埋没してしまうだろう。
以上 敬称略
~追記~
巨人春季キャンプは明日が最終日の予定だったが、インフルエンザ蔓延を防ぐ為に今日の練習試合をもって終了とする模様。