開幕初戦をエース菅野で落とした巨人だが、負けという結果以上に阪神打線を勢いづかせた事の方が痛かった。第二戦先発の田口に何とか勢いを止めてもらいたいが、ある程度失点する事を覚悟の上で、打線が藤浪を先に攻略して常に試合を有利に運んで阪神打線にプレッシャーを与えていきたい。
【両軍スタメン】
【G野手雑感】
1中 陽岱鋼 5打数0安打
・四度のチャンスでいずれも凡退に終わったが、昨日と同じで内野ゴロでも得点出来るケースで三振したり、全てボール球を振らされていた。結果も残念だがそれ以上に内容が酷すぎるので、彼には猛省してもらいたい。
2二 吉川尚輝 4打数2安打1犠打
・二度の出塁はいずれも得点に繋がり、リードオフマンとして上々の活躍だった。一方で、二番打者としては三振を減らしていくことが今後の課題になる。
3遊 坂本勇人 4打数1安打1四球1打点
・同点タイムリーはキャプテンとしての意地を感じたが、バッティングの内容は相変わらずタイミング的に差し込まれているので良い状態とは言えない。
4左 ゲレーロ 4打数1安打1四球
・昨日から阪神バッテリーに上手く攻められてる印象で、打席の中でやや冷静さを欠いていたが、最終打席では落ち着いていたので次のゲームは期待したい。
5三 マギー 4打数1安打
・バットスイングはまだまだ本来のモノではないが、最後の打席の二塁打を切っ掛けにして変わってくれる事を期待したい。
6一 岡本和真 4打数4安打1四球5打点(HR1)
・反撃の狼煙を上げる2点タイムリーヒットと、ダメ押しのスリーランホームランという最高の結果を叩きだし、しかもプロ入り初の4安打で全打席出塁という大活躍だった。
・藤川から放った超特大のホームランは、近年の巨人生え抜き選手では阿部や高橋由クラスの凄まじい打球だったが、個人的には藤浪から放った三本のヒットを評価したい。藤浪の豪速球にも振り負けてなかったし、カットボールやフォークボールもしっかり見極めてヒットに繋げていたので、ヒットの内容が非常に高いレベルだった。
7右 長野久義 3打数0安打2四球
・四球による二度の出塁があるので目立たなかったが、彼も陽岱鋼と同様にチャンスの場面ではバッティング内容が酷かった。
8補 小林誠司
・前回のコラムではまだバッティングの形は良くないと書いたが、今回も同じようにバッティングの「間」を感じない状態だったので、結果ほど良いとは思えない。
・但し、それでもヒットを重ねている要因は、バッティングに積極性が出てきたので自然と始動が早くなり、少なくとも差し込まれずにボールを前で捉える事が出来てるので、ヒットコースに打球が飛んでいる。
打 阿部慎之助 1四球1打点
・今シーズンの初打席は、非常にしびれる場面(ノーアウト満塁)での登場だったが、しっかりボールを見極めて押し出し四球を勝ち取り、一点差に迫る貴重な打点になった。
打 田中俊太 1打数0安打
・カウントが0ボール2ストライクの状況で。外角ボールゾーンから入ってくるスライダーは、彼にとっては想定外のボールだった。
走三 吉川大幾 1打数0安打
・勝ち越しで本塁に生還した走塁は見事だったが、その後の送りバント失敗は残念だった。
【G投手雑感】
☆田口麗斗 5回2/3 11安打2四球4三振 失点4(HR1)
・直球、変化球ともに切れを感じなかったが、それ以上に制球の甘さが目立ち、ボールが真ん中高めに集まるケースが多かった。
・ぶっちゃけて言えば阪神の各打者に殆どフルスイングされていたので、この内容なら序盤でもっと失点する可能性が高かったが、野手の正面に飛ぶラッキーな打球も重なったので、何とか4失点で次の投手に繋げた。
☆谷岡竜平 1/3回0安打 失点0
・田口が招いたピンチでの登板だったが、しっかり後続を断ち切って味方の反撃に望みを繋いだ。この試合のように終盤で逆転する為には、彼のような役割の投手が追加点を許さない事が重要になる。
☆澤村拓一 1回0安打2三振 失点0
・直球、フォーク、カットボール、どれをとっても切れが抜群で、高低も間違わなかった。
・相手のクリーンアップを完璧に押さえ込んで、阪神打線の勢いを遮るナイスピッチングだった。しかも、ノッてる糸井と福留を圧倒していた事実は、明日以降の巨人の戦いに非常に良い影響を与えるだろう。
☆上原浩治 1回0安打1三振 失点0
・直球の切れ、スピード感はオープン戦よりも間違いなく良くなっていた。又、フォーク系の落ち方も、オープン戦ではフワッと浮くような軌道だったが、直球の軌道からスッと落ちる変化になっていた。
・1点差で登場し、個人的には非常に緊張しながら見守っていたが「配球さえ間違わなければ大ケガしない」と感じるピッチング内容だったので、今後に向けて見通しは更に明るくなった。
☆カミネロ 1回1安打2三振 失点0
・直球はかなりシュート回転していたので質は今一つだったが、フォークの精度は上々だった。
【試合結果とMVP】
T 103 000 000 4
G 002 002 13× 8
勝 澤村 1勝 H 上原 1H
負 桑原 1敗
HR 糸井1号 岡本1号
試合は8対4で巨人が逆転勝ちした。
超激辛MVP 岡本和真
【勝敗の分岐点】
☆7回表の澤村拓一のナイスピッチング
・6回裏に同点に追い付いたが、攻撃の過程を見れば逆転まで期待出来る流れだったので、試合の流れが再び変わる可能性が大いにあった7回表の守りだった。
・しかも相手の打順は3番糸井からで、絶好調の福留とも対戦する最悪の打順だったが、澤村が相手打線を無失点に抑えただけではなく、相手のクリーンアップを圧倒する内容だったので、再び流れを自軍に引き寄せた(やはり7回裏の攻撃で巨人は勝ち越しに成功した)
【試合雑感】
☆阪神打線にフルスイングされていた田口麗斗
・確かに甘いボールが多かったが、球種が判別出来る癖のようなものを阪神サイドが掴んでいるようにも思えるくらい、投手を除く全ての打者に好きなようにバッティングされていた。
・もう一度対戦して、その内容を見ないと判断出来ないが、次も同じようにフルスイングされていたら対策を練らないとまずい。
☆5回裏の投球内容を見て藤浪続投を決断した阪神ベンチ
・それまでのイニングと比べて、5回裏の投球は安定していたので、阪神ベンチは藤浪の続投を決断したが、結果論で言えば、これがゲームの流れを変える最初のポイントだった。
☆6回表の追加点のチャンスでも藤浪に代打を出さなかった阪神ベンチ
・そして6回表の攻撃で、先頭の7番糸原がヒットを放ち、次の8番梅野に送りバントを命じて走者を二塁に進めた。
・ここで誰もが代打を送ると思っていたが、前段の経緯で続投を決断していた阪神ベンチは、藤浪をそのまま打席に立たせて三振に終わり、後続も2番手の谷岡に抑えられて追加点はならなかった。
・結果的にここで追加点を奪えなかった事がゲームの流れを変える2番目のポイントになった。
☆阪神ベンチの思惑を打ち砕き、継投で後手を踏ませた岡本のヒット
・そして続投した6回裏は、先頭打者の岡本にはヒットを打たれて出塁を許してしまった。この打席では内角高めの直球を捉えられて藤浪は少なからず動揺した。
・その理由は、本来なら逆球とはいえ、序盤では完全に詰まらせていたコースの直球を簡単に初球から弾き返されたからである。ここがゲームの流れを変える3番目のポイントになった。
・そして、ここから藤浪が制球を乱して、長野と小林を連続四球で歩かせて満塁にしてしまい、2番手の岩崎にスイッチした。
・個人的には長野に四球を与えた直後が、最も交代させやすい(動きやすい)ポイントだったが、阪神ベンチは動かなかった(恐らくこの回は下位打線での攻撃だったので、阪神ベンチは投手継投の絵を描ききれていなかった)
☆5回2失点よりも6回2失点で終わらせて、藤浪に先発としての責任を背負わせて勝ちをつけさせたかった阪神ベンチ
・阪神ベンチは、藤浪の今後の事を考えた上で、先発として6回までしっかり責任を背負わせた上で勝ちをつけさせる思惑だったが、これが裏目に出てしまった。
☆阿部慎之助と上原浩治の登場で試合の雰囲気が一変した
・ノーアウト満塁ではあるが、まだ2点負けてる状況だったので球場の雰囲気は重苦しかったが、阿部が代打として登場すると空気はガラリと一変して、地響きのような大声援で阪神バッテリーにプレッシャーをかけた。
・そして1点リードしたものの、更なるチャンスで追加点を奪えなかった状況で、再び嫌な空気が漂い始めたその時、ピッチャー上原という場内アナウンスがあると、今度はそれ以上の大声援が球場全体を覆い、嫌な空気を再度一変させた。
☆心踊る岡本和真と吉川尚輝の華麗なプレー
・巨人ファンの多くは、同点後の拙い攻撃を連続で見ていたので、嫌な感じになっていたに違いないし、仮に岡本が8回裏のチャンスの場面で凡打に終わると、9回表に逆転されると思って怯えていたと思うが、彼のHRはそんな事を完璧に忘れさせてくれたHRだった。
・まさに「This is ホームラン」という表現がピッタリの、打った瞬間に巨人ファン全員が絶叫するHRだったし、生え抜きの高卒選手でここまで絶叫させるホームランを放ってくれたのは坂本以降は皆無だったので、本当に心が踊ったバッティングだった。
・一方で、吉川尚も岡本の3ランの切っ掛けとなるツーベースを放つなど、バッティングで我々ファンを沸かせてくれたが、個人的にはセカンドの守備が日に日に安定感が増し、しかも躍動感とバネを感じるフットワークとスローイングは、内野手出身の私にとって心がときめくプレーなので本当に見ていてワクワクする。
【試合総評と次戦のポイント】
☆去年とは全く違う巨人の強力ブルペン陣
・澤村の「相手を圧倒する」ピッチングと、上原の「唯一無二な技」と「強靭なハート」から繰り出すピッチングは対照的とも言えるし、逆にそれが相手打線を惑わしている。
・今後はマシソンを含めて、福留や青木のような高いテクニックと経験を併せ持ってる選手相手には豪速球を持つ澤村やマシソンが相手をして、バレンティンやエルドレッドなど、外国人スラッガーには上原で勝負をかける。そんな起用も考えられる。
☆地に足をつけた戦いで先発投手に勝ち星を!
・4点差をひっくり返す見事な逆転勝利で、前日の嫌な空気を一変させる事は出来たが、やはりもう少し地に足をつけた戦いをしないと長いペナントレースは苦しくなる。
・その為にはしっかり序盤で先取点を奪い、先発投手(野上)がそのリードをしっかり守って、上原以下のセットアッパーにバトンを繋いで最後はカミネロで逃げ切る。そんな戦いを交流戦までに増やしていきたい。
以上 敬称略
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コメント
更新お疲れ様です!
田口はコースも高さも打ち頃の所ばかりに行っている感じでコントロールが全て甘かったですね。
今日の様なコントロールだと彼特有のキレがあっても失点は免れなかった気がします。
ただ今日のリリーフ陣は開幕前の期待通りの活躍で素晴らしかったですね。
澤村は力みがなくなって以前よりも状態が良くなっている感じがしますし、上原もキレが増してきている感じで、何と言っても球場やベンチのムードを盛り上げて変える事が出来るというのは本当に大きいですね。
野手陣は坂本とマギーに、ようやく1本出たものの、ヒットじゃなくても点が入る場面での凡退が主力に目立っているので、なるべく早く修正して欲しいですね。
そんな場面を見ていると、陽や長野に代打起用できる亀井が欲しいなと感じましたし、吉川(大)にはキッチリバントを決めて寺内不在を忘れさせて欲しかったですね。
しかし、そんなムードも全て払ってくれた岡本は素晴らしかったですね。
今まで速球に弱いんじゃないかという話もあった中で、オープン戦から速球派のストレートを弾き返している所に成長を感じますし、甘い変化球もキッチリ捕らえられているので、明日からも期待したいですね。
小林も打撃では、まさかの爆発ですが、本人もコメントで行っていた通り、明日からはリード面でも頑張って欲しいですね。
菅野に続き田口も打ち込まれたのは気になりますが、ともかく去年では、ほぼ消化試合の1試合しか無かった4点差をひっくり返したという事に、去年とは違い試合終盤までの期待も高まるので、明日も秋山相手で厳しい戦いが予想されますが、何とか野上を援護して野上にとっても新天地での良いスタートをきらせてあげたいですね。
おはようございます。昨日は今季初勝利、岡本選手の活躍もあり展開的にも面白い試合だったんですが、個人的には大いに不満と言うかやはり昨季迄と変わらないんだなぁという印象が強かったです。結果として選手個々の活躍で逆転勝ちした訳ですが、当たり前?の選手交代以外、じゃあベンチは何をしたの?という感じで、殊に序盤劣勢の展開で相変わらず何もしないのにはがっかりしました。まず2回の攻撃での田口投手が打席の場面、ただ打たせるだけの指示だったようですが、満塁であっても初球から全球バスターやスクイズの構えだけでもさせていれば前の打者を歩かし制球が定まらない藤浪投手がより制球を乱し押し出しも充分有り得て、最低限併殺回避という点でもそのまま三振で良かったと思われます。又6回も早々?と阿部選手を出して迄同点に追いついたのにそのまま投げてた左投手に対して吉川選手の所では右の代打を出しても良かったと思われます。打線全体への指示でもすっかり並の投手化してしまった上に相変わらず制球難の藤浪投手を6回迄持たせた事自体、無策としか思えず、真ん中付近のみに来る球だけを狙え程度でも徹底させていれば内側へ抜けてきた球を各打者があんなに振りに行く事もなくもっと早い回に自滅させられてたかも知れません。まあベンチとしてはまだ始まったばかりで小細工やそれ程是が非になる事もないのかも知れませんが。小林選手は形や間とか関係なく徹底して球が当たる瞬間だけ力が入るように打ってるだけで、オープン戦の頃とは違い所謂ミート重視に徹してるだけと思われ、以前の様に引っ張って強く振ろうとし過ぎなくなった分、球を見てる時間が増え選球眼も幾分向上したように思えます。上原投手は確かにオープン戦の頃よりは良くなってるようですが、未だ速球は低めに全く制球出来ず取り敢えず落ちるフォークと小さいテイクバックで初対戦の打者達を翻弄してるだけと思われます。もう暫く調整を兼ねた登板が続くでしょうね。田口投手については昨日は高く行ってしまう球が多い日だったというだけで、彼の場合、それこそ常に全球低めに投げようとしてる訳ですからより低めに多く行く割合次第で勝敗が分かれるものと思います。それにしても藤浪投手相手に、彼が苦手とする左打者が吉川選手一人というのは試合が始まる前から劣勢だったとも言えて、まだ調子の上がらないマギー選手に代わって三塁・岡本選手、一塁・阿部選手で挑んでも良かった気もしますが、取り敢えず結果として勝てた訳ですから無意味な事ですね。
球場の雰囲気を変えることができるのは、経験豊富なベテランだからできることですからね。
阿部はOP戦の状態なら三振か内野フライだったと思いますし修正力の高さを感じました。
代打成績を上げていけたら相手にも脅威ですからね。チームが苦しい時や交流戦で好調の阿部が先発の形になれば、起爆剤にもなると思います。
開幕までは代打のリズムに慣れるまで阿部は負担がかからない場面で、勝負所に亀井で使い分けるのかなと思ってたんですよね。
お疲れ様です。今回も内容の濃い記事で試合の流れ、細かいポイントについて勉強になります。
岡本の結果は勿論、内容も素晴らしかったのが嬉しいです。藤波クラスのインハイ速球なんて去年は絶対打ててなかったですし、藤川の初球ホークなんて読んでるとは思えない。本当に坂本以来の生え抜き長距離打者が覚醒していく姿が今年は見られそうで楽しみです。澤村、上原と抑えるだけで無く流れを変えられえる投手が2人も加わったのは今後の強みです。吉川の守備も難しい打球も流れる様に処理してる1連の動きに「品」が感じられますね。
田口は残念でしたが、気持ちの強い選手なので次に期待しています。
岡本に関しては久しぶりにスカッとしたHRで興奮しました 笑
まあ細かい野球はまだまだ出来ていませんが、去年はそれを語る前に個の力が全く足りなかった印象です。
原政権時代のスモールベースボール実行して勝利に結びつける為には、今は若手には経験を、中堅クラスには更なるレベルアップが必要だと思ってます
阿部もあの程度では満足してないと思いますし、これからもっとしびれる場面で監督も使っていくでしょう。
今は二軍で調整している亀井も同じだと思います。
そうなんですよ!
吉川尚の守備には品が有るんです。
同じ大学の先輩である菊池とはまたタイプが微妙に違うんですけどね。。。