まさに田口Day、田口が救ってくれた試合だった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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ヤクルト | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
巨 人 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 2 |
投げては7回1失点、打っては決勝点となる内野安打。
どちらも「彼の思いきりの良さ」から生まれた結果だった。
【G選手雑感】
★田口麗斗
「驚いた」
田口が投げ終えた7回裏終了時に感じた率直な感想だった。
筆者は2月14日のキャンプ紅白戦雑感で、彼のピッチング内容について以下の感想を持っていた。
~以下抜粋~
「もっとボールにキレを感じる投手という印象が強かったが、今日見る限りでは制球を意識しすぎて腕が振れていない。
言い方を変えると小さく纏まってしまっている。
直球、変化球ともに球威が不足していた。
1軍初登板ということを考慮しなくてはならないが、寂しい内容で終わってしまった」
~抜粋終わり~
彼の事を高校時代から注目していたので、久しぶりに見た印象はあまり良いものではなかった。
だが、それから約2か月後、彼は明らかに変わっていた。
元々、スライダーが武器の投手だったが、春先の彼は置きにいくような投げ方で、打者がタイミングを合わせるのに全く苦労していなかったが、昨日は腕が振れていたので切れ味鋭く変化していた。
同じイースタンリーグなのでSも十分対策を取っていたと思うが、予想以上に切れが良かったという事だろう。
彼のスライダーは大きく分けて3種類あると思う。
①主にカウント球として使う曲がりの大きい緩いスライダー
②横変化の大きいスライダー
③タテに割れるスライダー
これに懐をズバッと攻めてくる切れの良い直球と、右打者の外に流れるチェンジアップを絡めて打者に的を絞らせなかった。
タイプ的には杉内にかなり近い。
序盤は、右打者に直球を狙われて捕まりかけていたが、彼らと対戦する重ねる毎にギアを上げ、直球を目一杯投げることでスライダーがより活きていた。
特に5回・6回のピッチングは圧巻だった。
この2イニングでは、130キロ~135キロ程度だった直球が140キロを超えた。
このギアチェンジこそが良いピッチャーの必須条件と筆者は考えるが、彼は初登板でそれを実践していた。
当然、課題はある。
スライダーと比べると、切れと制球が今一つのチェンジアップ。
そして直球も常時130キロ後半は欲しい。
そしてギアチェンジした時に145キロ程度までスピードが出てくると、打者には更に難しい投手になる。
とはいえ、彼はまだ18歳。
体力的には完成途上で、まだまだ伸びシロは秘められている。
これから先発として場数を踏めば、多くの若い投手が通ってきた苦い経験が待ち受ける。
腕もこの試合のように振れなくなる事も出てくる。
だが、これらは更に大きな投手になるためには必要な経験になる。
結果を恐れずに自分のピッチングを心がけ、壁に当たれば練習する。
これを繰り返していけば、近い将来に間違いなくG先発ローテの柱として君臨してくれるだろう。
【試合総評】
確かにG田口のピッチングは素晴らしかったが、S打線も当たっていない事は2試合の内容を見れば明らかだ。
だが、Sは確実に変化している。
先発・リリーフ共に整備されて接戦にも対応できる布陣が完成されている。
筆者が目を引いたのは、投手陣・野手陣ともに役割分担が明確になってきたこと。
これによって選手は目の前のプレーに集中する環境が整っている。
そして、これに打線が本来の姿が出てくれば、大型連勝もありえるくらい力をつけてきた。
今後もGは苦戦を免れないだろう。
元々、Sとは相性が良いとは言えない戦いが続いているので、打線が奮起しないと勝負にならない。
対するGは相変わらず綱渡りの戦いを続けている。
打線はダメを押せずに、G投手陣に大きなプレッシャーをかけ続けている。
確かに去年はこのような戦い方で勝ち星を拾っていったが、2年続けて上手く行くとは思えない。
それだけ他チームも戦力を充実させているし、組みやすい相手はいない。
その問題の打線については、いまさら何も言うことはない。
但し、チャンスメイクした井端と、捕手らしい配球を読んだ見事な同点タイムリーを放った實松には賛辞を送りたい。
さあ今日は2連勝中のルーキー高木勇人が先発する。
前日の田口に続いて今日も素晴らしいピッチングを期待したい。
そして、打線には先取点だけではなく「ダメ押し」点も奪ってもらいたい。
以上 敬称略