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【G】相川の配球から読み取れる内海の活かし方【F】新外国人野手の評価は?【超激辛FvsGオープン戦雑感3月4日】

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前回に引き続き、北海道日本ハムファイターズ対読売ジャイアンツのオープン戦雑感を記事にする。
又、前回触れなかったファイターズ新外国人選手についての雑感も記事にしたい。

【ジャイアンツ注目選手雑感】
★内海哲也
・3回1安打 無失点3奪三振
直球系(ツーシーム含む)のスピードは平均で134キロ、最速で137キロ。
変化球はカーブ(曲がりの大きいスライダー)と速いスライダー、チェンジアップ。
試合後のコメントでは「完璧だった」らしいが、個人的には「普通の調子」と感じた。
確かに直球・変化球ともに低めに集まっていたが、三振を3つも奪うようなキレは感じなかった。
では「普通の調子」で、何故F打線を封じることに成功したのだろうか?
筆者の答えは「相川の配球」である。
特に目を引いたのは各打者への直球(カット・ツーシーム含む)の使い方と勝負球の使い方。
内海の勝負球は、左打者へはカーブ(曲がりの大きいスライダー)、右打者にはチェンジアップ。
出来れば、このボールを極力見せないで討ち取ること。
理想は1打席で1球以下が良い。
その為には打者に的を絞らせない事が求められる。
そして更に言えば、変化球と直球を効果的に使い分ける事が重要になる。
それを踏まえた上で面白いデータを紹介する。
以下の数字は「この試合で内海~相川のバッテリーは勝負球を1打席で何球使ったか?」を表している。
1回 西川・左 1球
   杉谷・右 0球
   田中・左 0球
2回 中田・右 1球
   ハーミッダ・左 0球
   レアード・右 1球
   岡・右 0球
3回 石川・右 0球
   中島・左 0球
   西川・左 0球
※ 対右打者の勝負球はチェンジアップ
※ 対左打者の勝負球はカーブ
上の数字を見れば解るように、殆ど勝負球を見せずに勝負を終わらせている。
3イニングで3球は驚くべき数字である。
この数字で解ることは
①相川の配球に無駄が少ない事
②長いイニング投げる事を想定した配球である事
特に②について言えば、1打席目で勝負球を殆ど見せていないので、2打席目以降の攻め方が楽になる訳である。
勿論、ピンチの場面では、このように勝負球の使用を抑える配球は難しい。
この試合ではその場面が一度しかなかったので、極端な数字が出たという側面も、留意しなければならない。
だが、それでもこの試合の、相川の内海への配球は際立っていた。
また、相川の指示通りに、ほぼ完璧に応えた内海も素晴らしかった。

★戸根千明
・2回1安打 無失点1奪三振
直球のスピードは平均で139キロ、最速で142キロ。
変化球はスライダー・チェンジアップ。
相変わらず見事な投げっぷり。
左打者を仰け反らせるシュート気味の厳しい直球。
右打者には懐を鋭く突いたクロスファイアー。
F各打者が面食らう様子が伺われた。
課題はスタミナ面がやや心配。
この試合でも、2イニング目は僅かではあるが、筆者の目には球威がやや落ち、ボールが高めに浮く傾向が見られた。

★土田瑞起
・1回 無失点3奪三振
直球のスピードは平均で138キロ、最速で142キロ。
変化球はスライダーのみ投げていた。
直球のスピードはそれほどではないが、スピンの効いたボールを投げていた。
縦のスライダーも低めに落とし、打者を空振りさせていた。
又、直球・変化球ともに制球はまずまず。
だが、シーズンに入って厳しい場面で投げるには、更に直球を磨いてほしい。
球種が少ないので、直球のスピード感とコントロールが必須になる

★大田泰示
・3打数2安打
素晴らしいバッティングだった。
しっかり自分のポイントまで引き付けて、吉川の速い直球を綺麗に弾き返していた。
低めのチェンジアップの見極めも申し分ない。
彼以外のG各打者は、吉川の145キロ中盤の直球に差し込まれていたが、彼だけは自分のスイングが出来ていた。
また一歩確実に階段を昇った。

★相川亮二
・3打数 無安打
内海の雑感で触れたように、抜群の配球でF打線に的を絞らせなかった。
彼は、内海のように打者の懐へ、しっかり投げ込める投手をリードするのが抜群に上手い。
内外を上手に使って打者に踏み込みませず、満足なスイングをさせない配球は絶妙である。
S正捕手時代、Gは彼のこの配球で大いに苦しんだ。
個人的には、内海・杉内・大竹・山口・西村は、彼のリードでかなり助けられるような気がする。

★片岡治大
・2打数 無安打
途中からであるが、Gに来てから恐らく初めてショートを守った。
守備機会は一度だけだったが無難にこなしていた。
彼の場合はスローイングに安定感が有るので、ショートでもそれほど違和感はない。

【ファイターズ注目選手雑感】
☆ジェレミー・ハーミッダ
・2打数1安打
まず感心したのはバットが体の近くから出る事。
次にしっかり左足に体重を乗せて軸を作り、体の上下動を極力無くして体重移動出来ていること。
技術的には非常にレベルが高い選手という感想を持った。
また、パワーヒッターだが、決して大振りするタイプではない。
よって率もそれなりに残すと考える。
又、逆方向の長打も期待できそうなスイングでもある。
但し気になるのはタイミングの取り方。
軽く右足を動かしてタイミングを取っていたが、この2試合を見る限り、合わないケースが目立った。
唯一ピッタリ合ったのが、山口から一発を放ったボールのみ。
2試合だけの感想だが、タイミングを計る作業が上手いとは思えなかった。
MLBで大きな期待をされながら、思い描く活躍が出来なかった理由は、ここにあるかもしれない。
こういうタイプの左打者の傾向としては、外に流れる変化球や低めに落ちるボールに弱い。
特に対左投手の変化球には苦労するかもしれない。
メジャーでは外野守備にも定評があったようだが、今回はDHの出場で、それを見ることが出来なかった。

☆ブランドン・レアード
・3打数 無安打
特に目についたのが、球際に強いサードの守備と、強く安定感もあるスローイング。
オープン戦でも決して手を抜かない、ガッツ溢れるプレーはチームに良い影響を与えると思う。
但し、バッティングに関してはやや厳しい評価になる。
筆者が気になるのは、左膝が早く割れるので体の開きが早くなり壁を作れていないこと。
これは一時的な悪い状態なのか?
それとも彼の癖になってしまっているのか?
2試合見ただけでは判断できないが、やや気になるポイントである。
タイプ的には長打を期待するタイプではなく、球団もバッティングだけを期待して獲得したわけではないと思う。
よって、彼の場合は2割8分程度の率を残して、打点をそれなりに稼いでくれれば、守備での貢献が期待できるので球団は御の字と考えているかもしれない。

【総評】
G 030 054 000 12
F 000 000 000  0
試合は12対0でジャイアンツが圧勝した。
但し、G打線は先発吉川を完全に攻略した内容とは言えない。
多分にラッキーな側面があった。
彼を完璧に捉えたのは、初回の大田のヒットと5回の大田・松本哲の連続ヒットくらいで、あとはファイターズ側の自滅で大差がついたに過ぎない。
さて、2試合を見て感じたファイターズの印象で、ネガティブな要素としては、内野陣の守備力に不安を感じたこと。
サード以外の各ポジションの選手は、球際の強さを感じなかった。
逆にポジティブな要素は、外国人を含めてほぼ全ての選手にスピードを感じたこと。
鈍足と呼ばれる選手は、見る限り居なかった。
また盗塁王・西川を代表格に、盗塁技術も非常に高く、1戦目の大竹~小林のバッテリーから、3盗塁奪ったのには驚いた。
仮に大竹の牽制の癖を盗んでいるにしても、走塁・作戦コーチの能力を含めて、ファイターズの走塁に対する意識の高さと技術を十分に感じた。
対してジャイアンツの明るい材料は、首脳陣が期待している若手投手陣が結果を残したこと。
特に新人の戸根・高木、成長株の笠原・土田の活躍は確実に投手層を厚くしている。
現状では去年のローテ組で、内海・杉内以外は順調とは言えない。
リリーフ組もマシソン・沢村は順調だが、山口はようやくスタートラインに立った段階。
そして、新外国人には不安定要素があり、活躍が読めない状況に変わりはないので、彼らの台頭は安心材料の1つになっている。
野手については若手では大田・橋本、中堅では松本哲・亀井、ベテランでは井端・金城・高橋由が結果を残している。
一方で故障組の復帰時期が読めない、苦しい状況でもある。
セペダの起用法にも関係してくるが、大田と橋本には長野復帰までの間、最低でも二人で1つのポジションは死守してもらいたい。
主力が怪我したら、その穴をベテランが埋める展開は、長期的には良くない傾向である。
是非、若い選手がスタメンを勝ち取り、ベテランが補佐する形が出来ることを期待したい。

以上 敬称略
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