主力投手の相次ぐ離脱、相変わらず湿りがちな打線、今はジャイアンツの底力が試されてるゲームが続いている。
この試合も紙一重の差で辛勝した。
しかし、ゲーム内容を深く掘り下げると勝ちに繋がった細かい要因、余裕を感じたGベンチの采配が浮かび上がってきた。
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【勝敗を分けたポイント】
「同点後に何とか勝ち越すまで凌ぎきったGリリーフ陣と、勝負どころでボール球に手を出し凡打したF打線」
大竹が6回のピンチを凌ぎきった後、7回表の攻撃でGが追加点を上げないと、その後の展開が非常に厳しくなる予感が筆者には有った。
同点は仕方がなかったという絶対絶命の場面で、大竹は「ここが勝負」と見て、思いっきり腕を振って投げていた。
キッチリ阿部の構えたところに投げ込めたボールではなかったが、その威力と彼の気迫で何とか凌いだ。
しかし、最近の彼の状態を考えたら7回はガス欠気味になって、ボールが浮いてくると筆者は考えていた。
先頭の中田が高めのボール球に手を出して、ポップフライを簡単に打ち上げてくれたので「何とか凌げるか?」という淡い期待を抱いたが、次のミランダに一発を打たれて続く打者に四球を与えたところで交代した。
ここで青木にスイッチするが、流れがファイターズに傾いていたのでボール先行となり厳しい局面だったが、ここでも高めのボール球に相手打者が手を出し、ダブルプレーで凌いだ。
この回のファイターズのアウトカウントは全てボール球に手を出したモノだった。
しかしながら、この後の展開を冷静に推理すると、それでもGの方が厳しいかった。
Fリリーフ陣のクロッタ、宮西に各1イニング抑え込まれる可能性が高いと予想したからである。
そうなると勝つには延長を覚悟しなければならない。
現状のGリリーフ陣の構成を考えたら、大船に乗って1イニング任せられるのは山口、マシソンという事になる。
8回山口、9回マシソンと考えたら、どうしても延長に入ると厳しくなる。
ビジターであるGは、どうしても勝ちパターンの投手を最後に残しておきたいので、下位打線から始まる8回を青木続投という選択を原監督は取った。
少し前の対オリックス戦(金子に抑え込まれたゲーム)での投手継投でも似たケースが有ったが、この時は惜しげもなく勝ちパターンの投手を先に投入した。
やはり当時とは違い、チーム状況に少し余裕が生まれているからこそ、青木続投という選択だったと思う。
その8回は亀井のビックプレーでリズムに乗った青木が凌ぎ、9回はマシソンが完璧に抑えた。
ファーターズ側からすれば、山口、マシソン以外の投手がマウンドに立った時が勝負処と考えていたと思う。
青木が続投した8回で勝負を決めたかったと考えるほうが自然である。
逆にG打線から見れば、攻略できる唯一の可能性がある投手は増井だけと筆者は考えていたので、恐らく登場するであろう延長線にワンチャンス必ずあると思っていた。
F守護神増井はGには決して相性が良くない。
今季もサヨナラ負けを喫したし、去年も小笠原にサヨナラHRを打たれた。
また、結果無得点で終わったケースでも、内容的にG打者が抑え込まれた感じがしていなかった。
更に言えば、ここはG西村と似ているが、彼は一発のある打者を警戒しすぎて四球を与えるケースが多い。
結局、この試合でもランナー1塁の場面でのセペダ四球が痛かった。
Gが勝ち越した後に山口を投入するが、ツーアウトランナー1塁という場面で香月にスイッチした。
これには少し驚いたが、冷静に考えると勝負の後半戦に向けて「勝ちパターンに使う投手を一人でも作っておきたい」という原監督のある意味「余裕ある采配」だと思う。
今シーズンノーヒットの鵜久森(確かに一発は秘めているが)に対して、格上の山口を降ろす理由は他に見当たらない。
結論としては、8回青木続投で無失点で切り抜けた事が、試合の流れを大きくGに傾けたポイントだと思う。
そしてメイクチャンスを許さなかった亀井の好判断が非常に大きかった。
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【個別選手雑感】
・大竹
前回の登板で足を痙って交代したため、少し間を開けての登板だったが、これが良かったと思う。
直球、シュート、スライダーのキレは良かったし、コントロールも良かった。
特に最近甘かったスライダーも低めに決まっていた。
前段でも触れたが、やはり6回のピンチを凌いだのが精一杯だった。
この回からボールが浮き始めていたし、去年のGリリーフ陣なら7回からマシソン登場だったと思う。
そう考えると、彼が先発の場合は80〜100球を目処に交代を考えていかねば、彼の勝ち星は伸びてこないと思う。
・青木
結果的に好リリーフとなったが、F打線に助けられた面と亀井の好プレーに助けられた印象が強い。
投げてるボールは悪くないが、慎重になりすぎてボール先行になると厳しい。
速い直球や決め球になるフォーク系のボールが有るわけではないので、慎重かつ大胆さが求められる。
・山口
チェンジアップが抜け気味でツーシームも決まらず苦労していたが、こちらもF打線に助けられた感が強い。
とはいえ、最後まで投げきれない状態という事ではなかったと思う。
これだけ無失点で抑えている試合が続いていれば、こういう時もあると考えたほうがしっくり来る。
・香月
最後の打者を見事に討ち取りセーブを稼いだが、内容的には甘いボールが続いていた。
打ち損じに助けられたという印象が強い。
だが、彼が最後を任せられたのは、それまでの「積み上げてきたナイスピッチング」があっての事。
彼の場合、ある程度酷使しなければキレの良いボールを投げる土壌が今は有る。
今後も安定感溢れるピッチングを期待したい。
・片岡
決勝打となるバッティングは、彼の勝負強さから生まれたものだと思う。
普段は右打ちをするが、勝負どころのあの場面ではキッチリ甘いスライダーを自分のスイングで捉えた。
彼の精神的な強さと読みの鋭さを感じた場面だった。
・阿部
大谷の快速球に対して、非常にコンパクトな力みの少ないスイングで捉えていた。
大竹に対するリードも個人的には文句のつけようが無かった。
・亀井
現状のG各打者の中では、直球に対して1番高い確率で捉えると思う。
前回も書いたが、今のタイミングの取り方は非常に理にかなってる。
そして8回のビックプレーでも解るように、今は高い集中力でゲームに臨めている。
今後の活躍は、この集中力をどれだけ続けられるかにかかっている。
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【総評】
F大谷は前半から飛ばしまくっていた。
序盤は直球中心の配球だったが、かなり偏っていたので阿部、亀井に狙われた。
中盤以降はスライダーを中心に、変化球を効果的に多投しG打線は全く攻略できなかった。
Gについては、僅差のゲームでもチーム全体で勝利をもぎ取るという空気と、原采配が冴えてきた(長期的展望に立って采配できる余裕)ように思う。
前述でもふれたが、全く音無しになってしまった打線、7回捕まってしまった先発大竹、そしてFリリーフ陣の優秀さを考えたら勝つのは厳しかった。
それでもワンチャンスをモノにしたのはチーム力が上がっている証拠だと思う。
良い流れになりつつある今の状況を、より確かなものにする為には、ゲーム前半から枢軸と呼ばれる主力打者が結果を残して優位に立ち、先発に勝ちがつくようなゲームを増やせるかにかかっている。
そうすれば投手陣全体が良い流れになり、更にチーム状態が上がってくると思う。
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敬称略
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