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日本屈指の鉄腕セットアッパー 山口鉄也の凄さとは?

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彼が投球練習前にマウンド上で会話している際に見せる不安げな表情からは、6年連続で60試合以上登板し、その全ての年でリーグ屈指の好成績を収めてる投手にはとても見えない。
しかし、一度マウンドに上がると物凄いボールをズバズバ投げ込む。
私も過去色々な投手を見てきたが、表情と投げるボールがこうも反比例する投手は見たことがない。
彼は今や年棒3億4000万円(推定)の日本屈指のセットアッパーである
テスト生から入団し頭角を現す過程については、マスコミや他のblogで語られてるので、私は彼のピッチングの良さ、その凄さを語っていきたいと思う。
山口のピッチングスタイルは左腕のスリークウォーターから、切れの良い直球と変化球を操る力投タイプである。
持ち球は
①145キロオーバーの直球
②打者の手元で鋭く大きく曲がるスライダー
③右打者の外に流れ気味に鋭く落ちるチェンジアップ
④左打者には鋭く食い込むツーシーム
⑤右打者のバットをへし折るカットボール
驚くのはどのボールも勝負球として使える威力、制球力を持ち合わせている。
2008年に頭角を現した頃の山口は直球、スライダー、チェンジアップの三種類を操るオーソドックススタイルの投手だった
確かにこの三球種全て非常にレベルが高く、打者からすれば打ちにくいボールだった。
しかしボールそのものだけでは安定した成績を収められない。
彼の凄さはそのフォームに秘密がある。
ゆったりとしたテークバックから手が頭の後ろに隠れ、そこから一気に鋭く腕を振るので打者はタイミングを合わせることが難しい。
打者から見るとフォームにも緩急があるように錯覚するし、テークバックの時に手が隠れると、非常にタイミングを合わせにくいしボールが見にくい。
そこから腕を振って高いレベルのボールを投げられたら簡単に攻略出来るものではない。
やはりある程度の慣れと研究を必要とするのは当然であり、その間は当然各球団は山口攻略が難しくなる。
超一流と呼ばれる投手は相手の研究の先を行き新たな対策を考えている。
山口も年々直球のスピード、威力、制球力を上げ、カット気味の直球を使ってみたりと進化と工夫をしてきた。
その成果として高成績を残し続けていたが、彼はそれに満足せずに、そこから更なる進化を望みそれを実現させた。
それが2012年から本格的に使ってきたツーシーム(シュート系)である。
ツーシームを使う前までの山口は特に右打者の場合、カウントを稼ぐボールが直球とスライダーなので、右打者からすると懐に入ってくるボールをイメージし、コースを限定して待つ事が出来たので、彼の投球に慣れれば狙い球を絞る事は難しい事ではなかった。
又、左打者も逆に目つけをアウトコースにしておけば、長打は難しくてもヒットは逆方向に十分打てる。
このように狙い球を絞られるケースが増え痛打される場面が生まれてくると、今度は簡単にストライクを取れなくなるのでチェンジアップから入る事を考えたり、スライダー、直球をボールにしたりする。
こうなるとカウントが不利になり、ピッチングが窮屈になるので悪循環に陥り易い。
そして使いはじめたのがツーシームであり、その効果は絶大である。
①左右の打者ともにファールを打たせてカウントを稼ぐのに有効
②左打者は内に食い込んでくるツーシームを意識するので、安易に外のボールに踏み込めない
③右打者の外に投げる球種(ツーシーム 、チェンジアップ)に緩急があるので、簡単にゴロを打たせやすくなる
この三つの要素は山口とって精神的に非常に優位に立つ事なった。
その効果が現れた2012年はキャリアハイの成績を収めたが、特筆すべきは四球の数で前年の半分以下の7個に減り、およそ11イニングで1個の割合という恐ろしい結果を残している。
そして2014年は新たな進化の形として、フォークをマスターしようと取り組んでいるらしい。
その飽くなき向上心にただ脱帽である。
次に山口の体の強さと登板過多に耐える理由を語っておきたい。
①圧倒的な練習量(内海等との自主トレは想像を越えたトレーニングらしい)
 そこで鍛えられた体幹が強靭である
②体のケアに人一倍時間とお金をかける
③少ない球数で肩を仕上げられる
④大事(怪我)になる前に自らストップをかけている
 (これは特にトレーナーが感心していた)
 
これらは若い時に工藤の自主トレに同行し勉強した事と、やはり同じく怪我に強い内海の存在が大きいのだと思う。
最後に一言。。
彼なくしては今のジャイアンツは語れない。
それくらい彼の存在は大きく、大事な人材である。
今後も大きな怪我をする事なく野球人生を過ごして欲しい。
敬称略
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