【イニング経過、雑感】※イニング経過は巨人公式HPより抜粋
☆1回表
先発は高橋。
坂本は二ゴロ。松原は見逃し三振。ウィーラーは遊ゴロ。0対0。
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立ち上がりの高橋のストレートを見ると「絶好調」という印象はなかったが、巨人の各打者は捉えきれなかった。
★1回裏
先発はメルセデス。
近本は三ゴロ。糸原は空振り三振。陽川は二ゴロ。三者凡退。0対0。
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故障明けのメルセデスは「絶好調」と言っても過言ではない状態だった。
そんなに力みを感じないフォームながらもフォーシームは140キロ後半を連発し、しかもコーナーにビシビシ決める制球力も抜群だった。
このストレートを軸に、非常に良いテンポで阪神打線を三人で片づける。
☆2回表
マウンドは高橋。
岡本は三ゴロ。丸は中前打。一死一塁。中島は二塁併殺打。0対0
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巨人打線は高橋の直球に的を絞っている事は明らかだった。
各打者それなりに捉えていたが、それが結果に結びつかずに三人で攻撃が終わった。
★2回裏
マウンドはメルセデス。
サンズは左前打。無死一塁。大山は遊ゴロ。一死一塁。ボーアの打席でメルセデスがボーク。一死二塁。ボーアは見逃し三振。梅野は空振り三振。0対0。
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先頭のサンズにヒットを許し、その後にボークも絡んでメルセデスは最初のピンチを招いてしまったが、後続の打者から連続三振を奪って無失点で切り抜ける。
☆3回表
マウンドは高橋。
大城は左前打。無死一塁。吉川尚は右前打。無死一、二塁。メルセデスは投犠打。一死二、三塁。坂本は四球。一死満塁。松原は中飛。中堅手の悪送球の間に三塁走者生還。1対0。二死二、三塁。ウィーラーは遊ゴロ。1対0。
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初回から「積極的にストレート系を狙うという高橋攻略」を仕掛けていた巨人打線は、下位打線の連続ヒットと送りバントでチャンスを作って上位打線へと繋いだ。
この辺りから阪神バッテリーに攻撃的姿勢が失われ、ボール先行の傾向が如実に表れてしまう。
坂本が四球で歩いた後、それでも松原を浅いセンターフライに討ち取るが、センター近本の大暴投でタッチアップしていなかった三塁走者の大城が生還する。
巨人側からすれば、ぶっちゃけ坂本が四球で歩いた時点で。後続の松原とウィーラーの調子、三塁走者が足が遅い大城ということから「無得点」を覚悟していただけに、非常にラッキーな先取点となった。
一方でミスした近本は責められるべきポイントが二つある。
➀強くて低いボールをカットマンに投げなかったこと
➁相手走者が足が極端に遅い大城であることを、事前に頭に入れていなかった可能性が高いこと。
特に➁がしっかり出来ていれば慌てて悪送球する事は無かったと思う。
★3回裏
マウンドはメルセデス。
木浪は二ゴロ。高橋は空振り三振。近本は遊直。三者凡退。1対0。
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自分の送りバントが先取点に繋がって気を良くしたメルセデスは、益々ピッチングが冴えていた。
変わらずハイテンポな投球で三者凡退に討ち取る。
☆4回表
マウンドは高橋。
岡本は遊失策。無死一塁。丸は中飛。中島は右中間二塁打。一死二、三塁。大城は中犠飛。2対0。二死二塁。吉川尚は敬遠四球。二死一、二塁。メルセデスは空振り三振。2対0。
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さて、問題の二点目の場面については、以前から幣ブログでは近本という選手の守備力に疑問を呈してきた。
去年はそれなりに外野手として捕殺を決めていたが、それは相手チームが彼の弱肩を見越して少々強引に本塁生還を狙った結果であり、外野手は次の塁を狙う事を諦めさせる「抑止力」が最も評価されるべきで、近本の場合は相手に進塁を狙われる時点で「問題あり」と考えないといけなかった。
しかも近本ような俊足弱肩の外野手は、ゴロヒットに対しては前方のチャージが鋭いので、その一連の流れを利用した勢いでそれなりの送球が出来るが、このケースのように勢いのない外野フライに対しては前方チャージが使えないので弱肩が露呈してしまう。
それを熟知している巨人の三塁コーチの後藤は、躊躇なく決して足が速くない岡本を突っ込ませた訳である。
★4回裏
マウンドはメルセデス。
糸原は遊飛。陽川は見逃し三振。サンズは投ゴロ。三者凡退。2対0。
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追加点を貰ったメルセデスは相変わらずのハイテンポで三者凡退に討ち取る。
☆5回表
マウンドは高橋。
坂本は遊撃内野安打。無死一塁。松原は捕邪飛。ウィーラーは中前打。一死一、二塁。岡本は左中間適時二塁打。3対0。一死二、三塁。丸は四球。一死満塁。中島は投併殺打。3対0。
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岡本のタイムリーで三点差となり、ここで一気に試合を決めたかったが、中島がダブルプレーに倒れてしまう。
★5回裏
マウンドはメルセデス。
大山は投ゴロ。ボーアは三塁内野安打。一死一塁。梅野は三塁併殺打。3対0。
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メルセデスは一死からボーアに内野安打を許すが、梅野をダブルプレーで仕留めて切り抜ける。
☆6回表
マウンドは高橋。
大城は左前打。無死一塁。吉川尚は左前打。無死一、二塁。メルセデスは送りバント失敗。一死一、二塁。坂本は投ゴロ。二死一、三塁。松原は空振り三振。3対0。
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やや疲れを見せ始めてきた高橋に対して、下位打線の連打で無死一二塁のチャンスを作るが、メルセデスのバント失敗を皮切りに後続も倒れて無得点で終えてしまう。
★6回裏
マウンドはメルセデス。
木浪は遊邪飛。高橋の代打・中谷は中飛。近本は二ゴロ。三者凡退。3対0。
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味方打線の拙攻(自身の送りバント失敗を含む)の後のピッチングだっただけに、その悪影響を危惧したが、阪神打線の淡白な攻撃にも助けられて三人で片づける。
☆7回表
マウンドには2番手のガンケル。
ウィーラーは四球。無死一塁。ウィーラーの代走に増田大。岡本は右飛。丸は中飛。中島は空振り三振。3対0。
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替わったガンケルに対して岡本、丸と連続で鋭い打球を飛ばすが、逆風の影響をモロに受けてフェンス際で失速してしまう。
★7回裏
マウンドには2番手の高梨。
糸原は右前打。陽川の打席で高梨が暴投。無死二塁。陽川は空振り三振。
マウンドには3番手の大竹。
サンズは左前打。一死一、三塁。大山は右飛。
マウンドには4番手の大江。
ボーアは三塁適時内野安打。3対1。二死一、二塁。ボーアの代走に小幡。梅野は空振り三振。3対1。
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結果的に1イニングで三投手をつぎ込むことになった。
二番手で登場した高梨は、ここ数試合の内容と同じで、抜け球が多くなって危険な状態だった。
三番手で登場した大竹も、本来のボールのキレではなく、こちらも危険な状態だった。
四番手で登場した大江は慎重かつ大胆な投球を体現したナイスピッチングだった。
このように巨人ベンチとしては高梨と大竹の投球はやや誤算ではあったが、試合後の監督談話にもあった通り、大江を準備させていた事が大怪我を未然に防いだと見るべきだと思う。
☆8回表
マウンドには3番手の岩貞。
大城は右前打。無死一塁。大城の代走に吉川大。吉川尚は投内野安打。無死一、二塁。北村は一犠打。一死二、三塁。坂本は敬遠四球。一死満塁。松原の代打・亀井は二ゴロ。二死満塁。増田大は空振り三振。3対1。
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巨人は下位打線で再びチャンスメイクし、一死満塁の試合を決める絶好のチャンスを再び作るが、あと一本が生まれずに二点差のまま試合終盤を迎える事となった。
★8回裏
マウンドには5番手の中川。
木浪は遊ゴロ。中谷は空振り三振。岩貞の代打・俊介は二飛。三者凡退。3対1。
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巨人側の拙攻が続き、試合の流れは阪神側に傾きつつあったが、ここでセットアッパー中川がしっかりと「遮断」する。
☆9回表
マウンドには4番手の岩崎。
岡本は見逃し三振。丸は遊ゴロ。炭谷は三ゴロ。3対1。
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替わった岩崎に対して巨人打線は三者凡退。
★9回裏
マウンドには6番手のデラロサ。
糸原は左越えソロ本塁打。3対2。陽川の代打・福留は四球。無死一塁。福留の代走に植田。サンズは空振り三振。大山は二塁併殺打。試合終了。3対2。
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先頭の糸原には「交通事故」の一発を打たれのはある意味仕方がない。
しかし、続く福留に四球を与えてしまったのは拙かった。
ここまでの味方打線の拙攻、試合の流れ、デラロサの状態を考慮すると、同点、更には逆転サヨナラまで覚悟したが、最後は阪神クリーンナップの消極的な姿勢に助けられた。
【ゲームスコア】
巨人 001 110 000 3
阪神 000 000 101 2
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勝利投手 巨人 メルセデス (3勝4敗0S)
敗戦投手 阪神 髙橋 (2勝2敗0S)
セーブ 巨人 デラロサ (1勝0敗9S)
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本塁打
阪神 糸原 3号(9回裏ソロ)
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【巨人選手評価】◎最高評価選手 〇高評価選手
◎メルセデス
久しぶりの登板だったが、今季最高の内容で阪神打線をねじ伏せた。
ぶっちゃけ、個人的にはこの試合は勝敗云々の前に、今後に向けてチームにとってはメルセデスが復調した姿を見せる事の方が大事だと思っていた。
それが結果、内容ともに最高の形となり、この上ない喜びとなった。
〇大城卓三
好守で抜群の働き、主力級の立場を固めつつある
キャッチングする姿、打席での余裕ある姿、奥行きのある配球、どれをとっても開幕前とは雲泥の差で、首位を独走しているチームの主力捕手としての自信を感じるプレーぶりである。
原監督も半場呆れていた「鈍足」は玉に瑕だが、これだけ打ってくれれば文句は言えまい。
〇岡本和真
好打のタイムリー二塁打もあって、バッティングは明らかに上昇傾向だが、それよりも今回は彼の安定した守備を評価したいと思う。
土のグランドの甲子園でどうかという不安は多少あったが、捕球の安定感、送球の正確性、ともに大山よりは明らかに上である。
〇中川皓太
毎度、8回に登場する彼の投球が、相手の流れを一度完全に遮断するので、最後のデラロサは多少不安定でも逃げ切れる。
この試合は正直そこまで良いとは思わなかったが、そんなことは関係なく相手をねじ伏せていた。
〇大江竜聖
同じことを何度も言ってしまうが、彼のメンタルの強さには脱帽するほかない。
非常に酷な場面での登場となったが、最後まで「慎重かつ大胆な投球」を忘れずに投げ切っていた。
最後の梅野から空振りを奪った外角低めの直球は見事だった。
〇吉川尚輝
バッティングではしっかりとチャンスメイクをして勝利に大きく貢献したが、何よりも安定感抜群の守備を評価してあげたい。
シーズン前半はケアレスミスや握りそこないの送球ミスが目についてしまっていたが、ここ数試合の守備はホント素晴らしい。
元々、彼の持ち味だった積極性が守備でも復活し、少しでも躊躇すればセーフにしてしまう微妙な打球でもアウトにしていたし、この阪神との三試合もかなり投手を助けていた。
この守備力があれば、バッティングはそこそこでもベンチは使いたくなると思う。
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【技術的に気になった巨人選手】
*松原聖弥
第一打席は全く前に打球が飛ぶ雰囲気を感じず空振り三振
第二打席は先取点に繋がった浅いセンターフライを放つが、これは相手のミスなので完全に結果オーライ。
第三打席は無死一塁という状況で初球を打ち上げて捕邪飛
第四打席も全く前に打球が飛ぶ雰囲気を感じず空振り三振
内容的には最悪と言っても過言ではない。
技術的な視点で彼の現状を分析するなら、数試合前のコラムで指摘した事と同じで、体の開きが早くなっている事が最大の原因だと思う。
「打ちたい」という気持ちだけが空回りして、下半身が使えずに上体だけでスイングしてしまっているので、自分の気持ちとは相反してバットのヘッドがなかなか出てこない。
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【総括】
➀甲子園の特性をホームグランドのように理解していた巨人サイド
台風の影響もあってこの試合はかなり打者不利の逆風で、しかも試合前の豪雨の影響でグランドに土がかなり入れられ、足の踏ん張りが効かないので、各選手の走力が落ちる状況だった(スペシャリスト増田大も盗塁を仕掛けなかった)
又、その影響で打球・送球のゴロも失速しやすく、それを頭に入れながら試合に臨む必要性があった。
特に三塁コーチはそれらを頭に入れて走者に指示しないといけなかった。
そういう視点で見ると、この試合のG三塁ベースコーチ(後藤コーチ)の状況判断は素晴らしかった。
逆に阪神サイドは自分たちのホーム球場にも関わらずその特性を利用できていなかった。
➁「守備力、状況判断、球際の強さ、積極的な姿勢」に大きな差を感じる両チーム
今日の両軍スタメンのメンバーを見て、ポジション別に比較して阪神側が対等以上の守備力を持っているのはぶっちゃけ捕手の梅野だけ。
まあ、プロなので守備の技術はそんな差が無いとは思うが、各選手の状況判断の差、球際の強さの違い、そして特に積極的な姿勢については巨人野手陣と阪神野手陣では決定的な差を感じる。
例えば、二点目に繋がった四回表の木浪のエラーは、もっと積極的に前に突っ込みながら捕球すれば問題なかった筈でそれをしなかった(出来なかった)
一方で、それとは対照的に巨人の坂本と吉川尚は、グランドコンディションを十分理解して「待って捕る」という事はせずに、積極的に前に出て処理していたのでイレギュラーのリスクを軽減していた。
又、この積極的な姿勢は打撃面でも如実にその差が表れ、阪神各打者はファーストストライクの甘いボールを簡単に見逃し、相手バッテリーとのせめぎあいで明らかに後手を踏んでしまっていた。
➂巨人ファンからみた大山
大山のバッティングを見て、技術的に気になるのは、やっぱりどうしても体が早く開いてしまう事。
甘いボールをミスショットする原因は、スローモーションで見るとよくわかるが、インパクトの瞬間(バットでボールを捉える瞬間)の少し前の段階で、胸のTigersのロゴが見えてしまっている。
イメージで言うと、彼のスイングは左腰でボールを叩きに行くという感じではなく、右腰でボールを捉えようとしてしまっている。
よって、本人は強く叩くイメージで振っていても、バットのヘッドの走りが悪いので差し込まれてしまう事が多い。
最後のダブルプレーのバッティングはその典型だった。
以上 敬称略
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