2020.09.16 読売ジャイアンツvs阪神タイガース 15回戦 ゲームレポート
【イニング経過、雑感】※イニング経過は巨人公式HPより抜粋
☆1回表
先発は田口。
近本は右前打。無死一塁。梅野は二直。糸原は二塁併殺打。0対0。
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立ち上がりの田口はそれほど良いとは思わなかったというか、むしろ個人的にはイマイチという印象だった。
ボールのキレもそれほど感じなかったし、全体的に制球もばらついていた。
一方で阪神側に目を移せば、せっかく先頭の近本が出塁したにもかかわらず、そこから特に策を講じる事もなく淡々と攻撃しているように見えてしまっていた。
★1回裏
先発は青柳。
松原は四球。無死一塁。吉川尚の打席で松原が二盗。無死二塁。吉川尚は二飛。亀井は二ゴロ。二死三塁。丸は四球。二死一、三塁。大城は空振り三振。0対0
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オール左打者で臨んだ巨人打線に対して、対左打者の分が悪い青柳がどのような反応を見せるのか注目だったが、どちらかというと初回から攻めの姿勢を投球の中からあまり感じなかった。
個人的にはもっと右打者の胸元に突っ込んで行くかと思っていたし、梅野ももしかしたら本音ではそうしたかったのかもしれない。
しかし、阪神バッテリーはそれをしなかった(正確に言えば出来なかったということかもしれない)
結局、この回は吉川尚と大城が青柳にタイミングが全く合っていなかったので何とか難を逃れたが、全体的にはかなり危うい投球内容だった。
☆2回表
マウンドは田口。
サンズは中飛。大山は左飛。ボーアは中飛。三者凡退。0対0
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田口は相変わらず甘いボールが多かったが、阪神の中軸が悉くそれを打ち損じてくれた。
★2回裏
マウンドは青柳。
若林は投ゴロ。田中俊は右越えソロ本塁打。巨人先制。1対0。立岡は投ゴロ。田口は遊ゴロ。1対0。
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ここまで巨人の左打線に対して、青柳の投球の殆どが外角へのツーシームとシンカー偏っていた。
但し、巨人のクリーンナップ(亀井、丸、大城)に対してのみスライダーとカットボールを多少混ぜてはいたが、他の打者に対してはほぼ前段の球種のみだった。
このような偏った配球になっていたので、打者からすれば狙い球と自分が打つべきボールの軌道(ショート回転して沈んでいく)をイメージしやすい状況にあることは間違いなかった。
そうした状況の中で生まれたのは田中俊の一発だった。
打ったコースは内角ギリギリだったが、自分の中でイメージしていた軌道のボール(シンカー)だったので、上手く反応出来たんだと思う。
☆3回表
マウンドは田口。
陽川は遊ゴロ。小幡、青柳は空振り三振。三者凡退。1対0。
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この回も特に田口のボールが良くなっていた印象は無かったが、阪神の下位打線はボールを捉えきれなかった。
★3回裏
マウンドは青柳。
松原は右飛。吉川尚は三ゴロ。亀井は四球。二死一塁。丸は二塁内野安打。二死一、二塁。大城は中飛。1対0。
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二死から四球とラッキーな内野安打でチャンスを作るが、あと一本が出なかった。
☆4回表
マウンドは田口。
近本は一ゴロ。梅野は三ゴロ。糸原は左飛。三者凡退。1対0。
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田口はこの回辺りから制球が良くなってきた。
特に低めにボールが集まり始めてきた。
★4回裏
マウンドは青柳。
若林は左飛。田中俊は右翼線二塁打。一死二塁。立岡は中前適時打。2対0。一死一塁。田口は投犠失策。一死一、二塁。松原は四球。一死満塁。吉川尚は三邪飛。亀井は中飛。2対0
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青柳は前段で指摘した通り、ここまで配球が偏っていたので、石井コーチは円陣を組んで的確に青柳の攻略法を授けたと思う。
恐らく、「入ってくる軌道のボールに対しては強く叩く、逃げていく軌道のボールは逆らわずセンターからレフト方向に弾き返す」事を指示したと思う。
つまり、基本的にはショート回転のボールが多いので、コースに逆らわないスイングを指示したと推察する。
そして、その指示通りのバッティングで田中俊と立岡が結果を残した。
☆5回表
マウンドは田口。
サンズは空振り三振。大山は遊ゴロ。ボーアは一ゴロ。三者凡退。2対0。
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田口は阪神の主軸に対して危なげなく三者凡退で討ち取る。
★5回裏
マウンドは青柳。
丸は四球。無死一塁。大城は右前打。無死一、三塁。若林は右前適時打。3対0。無死一、二塁。
マウンドには2番手の桑原。
田中俊は左前適時打。4対0。無死一、二塁。立岡は右越え3点本塁打。7対0。田口は見逃し三振。松原は左中間二塁打。一死二塁。吉川尚は一ゴロ。二死三塁。亀井は遊飛。7対0。
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打線が三回り目を迎えて、青柳はやはり手詰まり感が漂っていた。
丸を攻めきれずに四球を与えた事でメンタル的にも後手を踏んでしまい、大城と若林に連打を許したところで交代を告げられる。
そして巨人打線は替わった桑原の甘いカットボール系を逃さず捉えて田中俊のタイムリーと立岡の3ランが生まれ、一気に勝負を決するビッグイニングにした。
☆6回表
マウンドは田口。
陽川は遊ゴロ。小幡は中飛。桑原の代打・俊介は遊ゴロ。三者凡退。7対0。
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田口は小幡との対戦(60球を超えた)辺りからボールが浮き始めていて、危険信号が灯っていたが、下位打線との対戦だったので事なきを得た。
★6回裏
マウンドには3番手の小林。
丸は四球。無死一塁。丸の代走に吉川大。大城は空振り三振。若林は右中間二塁打。一死二、三塁。田中俊は空振り三振。立岡は敬遠四球。二死満塁。田口は二ゴロ。7対0。
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一死二三塁のチャンスを作るが後続が続かず無得点。
☆7回表
マウンドは田口。
近本は見逃し三振。梅野は遊ゴロ。糸原は空振り三振。三者凡退。7対0。
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阪神打線は甘いカウント球を簡単に見逃し、追い込まれてから低めのボールを打たされる悪循環でこの回も無得点。
★7回裏
マウンドは小林。
松原は空振り三振。増田大は二塁内野安打。一死一塁。ウィーラーは空振り三振。吉川大は遊飛。7対0。
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増田大に内野安打が生まれるが後続が続かず。
☆8回表
マウンドは田口。
サンズは中飛。大山は左前打。一死一塁。ボーアは死球。一死一、二塁。陽川は左前打。一死満塁。小幡の代打・中谷は左越え2点二塁打。7対2。一死二、三塁。
マウンドには2番手の田中豊。
小林の代打・江越の代打・木浪は右中間2点二塁打。7対4。一死二塁。
マウンドには3番手の大江。
近本、梅野は空振り三振。7対4。
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ここまで初回先頭の近本以降ヒットすら許していなかった田口だったが、ぶっちゃければ彼の投球が良かったというよりも阪神打線の淡白なバッティングに助けられていた。
しかし、大山の久しぶりのヒット、そして田口がボーアに死球を与えてしまった事で流れが急激に変わる。
流れが変わっても田口が抑える力が有ればよいが、今季の田口には残念ながらそこまでの力は持っていない。
そこから連打を浴びてしまって交代し、替わった田中豊も勢いを止められず、最後は大江をつぎ込んでようやく攻撃を遮断した。
★8回裏
マウンドには4番手の小川。
岸田は空振り三振。若林は四球。一死一塁。田中俊の打席で若林が二盗失敗。田中俊は空振り三振。7対4。
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若林が四球で出塁するが二盗失敗もあって無得点。
☆9回表
マウンドには4番手のデラロサ。
糸原は一ゴロ。サンズは四球。一死一塁。大山は左越え2点本塁打。7対6。
マウンドには5番手の中川。
ボーア、陽川は空振り三振。試合終了。7対6。
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デラロサがまたまた不安定さを見せてしまい「四球⇒一発」という最悪のパターンで失点する。
しかし、替わった中川がそこから連続三振を奪って何とか逃げ切る。
7回からマスクを被った岸田も投手に首を振られるケースが多く、配球面で課題が露呈していた。
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【ゲームスコア】
阪神 000 000 042 6
巨人 010 150 00X 7
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勝利投手 巨人 田口 (4勝3敗0S)
敗戦投手 阪神 青柳 (6勝5敗0S)
セーブ 巨人 中川 (2勝1敗6S)
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本塁打
阪神 大山19号(9回表2ラン)
巨人 田中俊1号(2回裏ソロ) 、立岡1号(5回裏3ラン)
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【巨人選手評価】◎最高評価選手 ○高評価選手
◎田中俊太
ここまで彼もちょくちょく一軍に呼ばれていたが、それは首脳陣が彼のバッティング(小力が有ってライト方向に引っ張れるスイング)を買っていたからこそだった。
しかし、少ないチャンスだったが、ここまで彼は悉く逃してしまっていた(しかも内容的に見せ場もなく)
彼も年齢的にはオフのリリース対象になりうる選手なので、この活躍をキッカケにして次のチャンスでも必ず結果を残さなければならない。
○立岡宗一郎
好守で素晴らしい活躍だった。
特にバッティングは2安打4打点の大活躍で、特にライトスタンドへ放り込んだ一発は、直前に阿部ヘッド代行がアドバイスしていた通りのバッティングを見せたのが印象的だった(一方で巨人の公式YouTubeで紹介された石井コーチのアドバイスもまさにドンピシャだった)
まあ。。もともと内角寄りのボールにツボがある打者なので技術的には特段の驚きはないが、崖っぷちに立たされている彼にとっては非常に大きな一発だった。
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【総括】
※「次の塁を狙う姿勢、手堅い守備で阪神を大きく上回っていた巨人」
四回の立岡のセンター前タイムリーで、難しい判断だったが躊躇なく本塁生還した二塁走者田中俊の好走塁、四回の糸原のライナー性の打球を抜群の打球判断で好捕したレフト立岡のプレーなどは快進撃を続ける今季の巨人を象徴するかの隙の無いプレーだった。
逆に阪神サイドは、走塁面では初回に先頭の近本が出塁したにも関わらず、田口にプレッシャーをかけられていなかったし、守備では四回裏の田口の送りバントをワンバウンド送球した青柳のプレー、更に五回裏の田中俊のレフト前ヒットの処理で、スタートが遅れていた二塁走者の大城の生還を許してしまったサンズのヌルいプレーなど、巨人とは対照的に隙だらけのプレーが続いてしまっていた。
※「坂本、岡本の休養を逆手にとった原辰徳の深謀遠慮」
坂本は体調不良、岡本は軽い腰痛という事で、原監督のコメントから無理させる状況ではないので休ませたという事だと思う。
まあ、これも前日の試合でキッチリ勝ってマジックを点灯させ、阪神に対して実質的に引導を渡したからこそ出来る「配慮」だと思う。
しかし、原辰徳の恐ろしさは、この「配慮」を逆手にとって「最後の振り分け」を行っていることにある。
そして、この振り分けには二つの意味があると推察する。
一つ目は「これからの残り試合(日本シリーズを含む)での戦力として使える選手の見極め」、そして二つ目は「今季終了後にリリースされる可能性がある選手に対して最終チャンスの場を提供した」ということ
つまり、最後にもう一度チャンスを与えて、その選手の本質を見極めようとする考えがあったんだと思う。
特に立岡の場合は第三次原体制になってから、大きな故障が重なって首脳陣が目にする機会が殆どなかった筈なので、その思いは少なからずあったと思う。
そして、そんな監督の思いに彼は最高の結果で応えた。。。
又、年齢的にはやや下だが、立岡とそんな大差ない状況に置かれている田中俊や若林もこの試合では見事にその期待に応えていた(特に田中俊は出色の活躍)
そして、この三選手の活躍を見て、二軍で爪を研いでる同世代のライバル重信、山本泰、石川あたりも気が気でないと思う。
このように緩みがちになりそうな雰囲気を、原監督は彼らをある意味「利用して」チーム全体の緊張感を保とうとしていると推察する。
ぶっちゃけ、優勝がほぼ決まっている状況で、これからは選手達の気の緩みが心配になってくる。
特に巨人の場合は「中堅処の伸び悩む野手」が多いので、ややもすれば「ぬるま湯」にドップリ浸かってしまう危険性を常に秘めている。
それがチーム全体に蔓延してしまうことを原監督は最も恐れていると思うし、彼らの下の世代である伸び盛りの岡本、岸田、吉川尚、北村、松原などにも決してプラスにはならないと判断してのことだと思う。
そして、この試合の前に原辰徳は、これとは別に驚きの一手を打ってきた。
それが阿部二軍監督の一軍ヘッド代行という処置だった。
これは勿論、元木ヘッドが病気(虫垂炎)で一時的にチームを離脱した事による暫定処置だが、これも前段と同じ理由でチームに緊張感を与えた一つの策だったと思う。
この試合のスタメンで、松原・若林・田中俊・立岡、この四人は今季、阿部二軍体制の下で鍛錬を積んできた連中で、目前で見てきた選手が一軍ではどういうプレーをするのかを原監督と同じ目線で見て、現在の育成方針、又は今後の問題点を共有する狙いもあったと思う。
又、それはこの試合出場した選手に限った事ではなく、現在、二軍に居る選手にも阿部ヘッド代行が二軍に戻った時に必ず好影響を与えると思う。
以上 敬称略
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