2021読売ジャイアンツ春季キャンプレポート
本日のキャンプトピックス
★一軍宮崎
・八百板卓丸が一日限定で一軍練習に合流
・高梨雄平、畠世周が連日のブルペン入り
・岡本和真のフリーバッティングを見た感想
去年は年間通してややステップ幅が大きかったが、この日のバッティングを見る限りステップ幅をやや狭めて、体の回転を意識しているように感じた。
・原監督の談話として、緊急事態宣言の延長でテームズとスモークの来日は更に遅れそうとのこと。
★S班東京ドーム
・午後二時から練習がスタート
★二軍宮崎
・今日の原監督は二軍を積極的に視察していた。
・新人の中山礼都について上半身はまだまだ高校生だが、下半身は想像以上に鍛えられているようにユニフォーム姿からは感じた。
内野ノックの映像を見たが、グラブ捌き・スローイングともに肘の使い方が柔らかいのでセンスを感じる。
・同じく新人の秋広優人は身長2メートルの大型選手だが、体形的なバランスがとれている選手だと感じた。
当然ながらまだまだ線は細いが、高身長選手特有の上半身に比べて下半身が負けているような動きではなく、下半身の踏ん張りがきいて俊敏性も十分に感じる動きを見せていた。
バッティングの映像も見たが、オーソドックスなスタイルで、シャープさを感じるスイングだった。
・二年目の菊田拡和、伊藤海斗は去年の同時期と比べると体が一回り大きくなっていた。
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~新外国人「エリック・テームズ」の私的評価~
略歴、成績、セイバー指標はマスコミ報道や他サイトで確認出来ると思うのでそこは省略し、弊コラムでは全盛期のプレーと最新のプレー(2020のプレー)をYouTubeで様々な角度から検証した上でバッティングのメカニック的な部分に触れ、彼の長所と短所を語っていきたい。
★基本的にどういうタイプの打者なのか?
・強打が売りの左打者
・KBO時代は四球を103個記録したシーズンもあったが、レベルがあがったMLB時代の数値を見ると、四球の数が減り三振数も突出して多いので、基本的には積極的に仕掛けていくタイプの打者かもしれない。
・タイミングの取り方は独特で、あまり大きなアクションは好まず、右膝から右太腿かけて軽く捻りを加えながら小さくステップする事で計っている。
・スイングする際にバットを体の内側から出す意識はそれほど高くなく、どちらかというとドアスイング気味に外回りの軌道でスイングする事が多い。
・左の軸足に体重を乗せる意識が高く、そこを中心に駒のように回転する意識が強いので、よほどタイミングを外されない限り体が前方で過度に突っ込むようなバッティングにはしない。
・ボールを長く見て、手元まで引き付けて打つというバッティングはせずに、どちらかというと打つポイントを前目に置いて詰まることを嫌がってスイングしている。
・KBO時代にHRを1シーズンで40本台、MLBでも30本台に乗せているスラッガーだが、それは彼の持ち前のパワーとスイングスピードによるフィジカル的な要素によるところが大きく、スイング軌道はどちらかというと中距離ヒッタータイプなので、弾道はそれほど高くなくライナー性の打球でスタンドまで運ぶ。
★バッティングの長所は?
身長180㎝で外国人選手としては決して大柄ではないが、何と言ってもスイングスピードが速く、そしてボールを叩くインパクトの強さが素晴らしい。
構えからトップまでの小さなアクション(反動を使わない)で、あれだけ鋭いスイングする打者は日本人にはなかなかいない。
フィジカル的には恐らく手首が強く、同時に背筋の強さも感じるバッティング。
少々スイングが遠回りの軌道になってもそれをカバーしてしまうスイングスピードが全盛時の彼にはあったと思う。
★得意なコースと球種は?
右投手のスライダー・カーブ系については膝元に決まると対応は難しいが、相手の失投で外寄りから甘いコースに入ってくるボールが最も彼にとっては「おいしいボール」である。
又、真ん中からやや外寄りのストレート系もツボを持っている。
★バッティングの短所は?
やはり前段で指摘した通り、左肩が早く出てしまう傾向が強い打者なので、変化球の見極めに難を感じるタイプ。
近年はストレート系にもMLBでは苦労していたが、NPB投手の球速レベルなら甘くなったらホームランボールになる可能性も十分ある。
★苦手なコースと球種は?
右投手の落差の大きいフォーク系や、左投手の外に流れていくカーブやスライダー系は最も苦手。
胸元の直球も苦しみそうだが、彼の場合はここの投げ損ないは逆にツボになる可能性が高い。
★全盛期(KBO時代の2015年からMLB復帰の2017年)と、不振に終わった昨シーズンのバッティングにはどこに違いを感じるのか?
前段で指摘したように、元々打つポイントを前目に置いて打つことを好み、右肩の壁が早く崩れて左肩が早く出てしまう(俗に言う体の開きが早い)癖を持っているバッターだったが、加齢による動体視力や体の反応の衰えで、ストレート系にどうしても差し込まれてしまうケースが増え、そこを過度に意識するが故にインパクトで体の開きが早くなって、逆に変化球に対応出来ずにスイングミスが増えている印象。
★守備や走塁の印象は?
KBO時代は今よりも線が細く、瞬発力とパワーのバランスが良かったので「動ける選手」だったが、加齢とともに筋肉量を増やしたようなので今はお世辞にも俊敏性を感じる選手とは言えない。
但し、グラブ捌きは悪くないのでファーストの守備は大きなマイナス点は感じないが、足の運びを見ると外野守備はドタバタ感は否めない。
まあ、守備に関しては日本でのプレーぶりを見た上で再度感想を述べたいと思う。
★日本で成功する為のポイントは?
MLB時代の打席でのアプローチを転換させて、KBO時代に出来ていた「打席での我慢」「ボールの見極め」がNPBでも実行できるようになれば十分な活躍は期待出来るかもしれない。
具体的なポイントとしては、対左投手の外角ボールゾーンに流れていく変化球の見極めと、センターから左中間方向へスライス回転の打球(インサイドアウトのスイング軌道)を放つ意識(KBO時代は出来ていた)を徹底させることが果たして出来るのか?
大まかに言えばこの二点が成功へのカギとなると思う。
★ズバリ日本で成功できる可能性は?
彼が野球選手としてブレークしたKBO在籍時代の2015年からMLB復帰の2017年の三年間(年齢で言えば29歳から31歳)がキャリア的に最盛期であり、35歳となる今季はMLBで再ブレークするのは至難の業だったと思う。
それが故にややレベルが落ちるNPBでのプレーは、本人にとってもキャリアの終末としてはベストの選択だったと思う。
前段で指摘した通り、ややMLB投手のスピードにはついていけなくなっているとはいえ、まだまだ既存の日本人打者と比べても一流レベルのスイングスピードは維持していると思う。
一方でMLB時代のバッティングに対する考え方、アプローチを変えないのであれば、チーム数が少ないが故に対戦数が多いNPBの各チームは、大きな弱点を見つけるとそこを徹底して突いてくるし、そこを本人が過剰意識して袋小路に陥ってしまう可能性が高いので成功は難しいだろう。
打撃スタイルを転換すれば打率2割8分、HR30本以上は十分可能性があるし、変えないのであれば外国人枠の関係や同じ新外国人のスモークの活躍次第では早々に二軍暮らしもありえるだろう。
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次回は同じく今季から新加入する「ジャスティン・スモーク」の私的評価を公開する予定。
以上 敬称略
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