巨人春季キャンプレポート2022.2.2
今回は特集として、今季の得点力向上のキープレーヤーと言っても過言ではない中堅野手の四人(松原聖弥、吉川尚輝、北村拓己、廣岡大志)について語っていこうと思う。
まずは本題に入る前にキャンプトピックスから。。。
☆Gキャンプトピックス
※立ち上げ班の元気な姿を映像で確認
故障明けやコロナ感染などで出遅れている山口俊、中川皓太、鍵谷陽平、梶谷隆幸の四名も元気な姿で軽いメニューを行っていた。
又、山口は軽い投球ながらもブルペン入りする意欲を見せていた。
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※中山礼都のフリーバッティング雑感
まず感じた事は、去年よりも下半身が一回り大きくなっている事。
伸び盛りの若手選手が上半身よりも下半身が大きくなっているように見えるのは良い傾向で、これまでのトレーニングが間違っていない事を証明している。
バッティングを見て感じたのは、気になる点としてトップからスイング始動する時に、グリップが僅かだが下がってしまい、尚且つヘッドが寝てしまう事。
ほんの僅かな瞬間のことだが、バッティングはこの一瞬が非常に大きい(彼の直後に打っていた大城卓三と比較するとよくわかる)
非常に投球とスイングまでの間合いを作るのが上手い選手なので、体に似合わず強く振れる選手ではあるが、まだまだスイングと打球が比例しないのは、この癖が大きくかかわっている。
キャンプ2日目なのでまだまだこれからだが、今後の彼のバッティングに注視していきたい。
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※ドラフト2位山田龍聖がブルペン入り
2軍スタートのルーキー山田のブルペン映像を確認したが、第一印象は投げ方が中日の大野雄大に似ていること。
大野と比べて体は一回り小さいので、打者目線のボールの角度は違うと思うが、ややボールの出処が見えにくく、力投タイプという印象。
勿論、大野にはまだまだ遠く及ばないが、実戦向きの投手というのが第一印象になる。
☆松原聖弥の課題は?
彼の場合、ここ2年間で技術は大きく進歩している。
元々、小さな体に似合わずストレート系に強く、打球方向に関係なくライナー性の打球を飛ばせる能力を持っていたが、一昨年は落ちるボールに脆さを露呈してしまっていた。
しかし、去年は打席数が大幅に増加して経験を積んだことにより、一軍の一流投手の変化球にも慣れて、かなりボールの見極めが出来るようになった(前目に置かざるを得なかったミートポイントを、慣れとスイングスピードの向上で体の近くに置けるようになったことが大きい)
更に12本の本塁打を重ねたように、長打力にも磨きがかかっている。
普通なら一軍初出場でそれなりに結果を残したシーズンから翌年は壁にブチ当たって成績が頭打ちになるケースが多いが、見事に大幅に成績を上げる事に成功している。
これだけでも彼が野球センス抜群であることを証明しているし、それは守備でも言える。
2020年もシーズン終盤はファインプレーを連発して短期間で外野守備がレベルアップしていたが、去年はそれに加えて安定感が増していた。
普通ならファインプレーに見える打球でも、ファインプレーに見せないで「普通のプレー」に見せられるようになって初めてプロとして超一流の守備と言えるが、去年の彼はまさにそのレベルに近づいていた。
前後左右の打球を捕球することに関しても文句のつけようのないレベルに達しているが、あとはこの後の話にも関係してくるが、守備に関しては判断力の向上が必要になってくる。
これは特にスローイングに関することで、走者を置いたケースで捕球後に何処に送球することがベストなのか?
「アウトカウント」「試合状況」「ゴロの勢いやフライの落下点と走者の脚力」など、総合的に判断してベストの選択を瞬時に出来ないと超一流とは言えない。
これは走塁や打撃にも繋がる事で、走塁に関しては去年の彼の走塁を見てると判断ミスを犯して、折角の得点機を失うケースが少なくなかった。
この辺りは吉川尚輝の方が優れていると思う。
まだまだ「イケイケドンドン」のプレーなので、それが良い面に出る事も無くはないが、シーズン通して見るとやはり悪い結果の方が多い。
それを更に如実に結果をとして表れるのがバッティングで、去年、彼が得点圏で全く結果を残せなかった最大の原因はそこにある。
ぶっちゃけ走者が得点圏に居る時と居ない時では、投球の質が違ってくるし、投手の集中力も大きく変わるし、何よりも相手バッテリーの配球がより厳しくなる。
「絶対にヒットも打たれたくないという配球」と「この場面ではシングルヒットOKという配球」では、野球経験者なら痛感していると思うが天と地ほどの差がある。
それを克服するには「考える力」すなわり「優れた野球脳」が必要になってくる。
勿論、それは技術的な裏付けがあってのことだが、前段で指摘したように技術に関しては既に一定のレベルに達していると筆者は考えている。
具体的に「優れた野球脳」を短い文章で説明するのは難しいが、要は「相手の立場になって思考する事」
これは野球に限った事ではないが「記録を競うスポーツではなく、対人間と勝敗を争うスポーツで相手に勝つ鉄則は、己の現時点での力量を把握した上で、相手の力量を的確に把握すること」から思考がスタートする。
その上で様々な状況を鑑みて可能性の最も高いと判断した答えを瞬時に実践する。
この繰り返しが最終的に勝利に繋がると思う。
更に言えば、一時の負け(失敗)を糧にすることが、もっと重要な場面での勝利(成功)に繋がり、そしてその積み重ねが大きな目標達成(優勝)に結びつくことを忘れてはならない。
背番号も9番になり、チームの新たな顔として監督から認められつつある彼には「猪突猛進」が許される段階は終わっている。
今年は派手なプレーだけではなく、確実にチームの勝利に繋がる攻守のプレーを彼には求められるだろう。
☆吉川尚輝の課題は?
一昨年は腰の大怪我を克服し、年間通して大きな怪我も無く、不調でスタメンを外れるケースがあったものの規定打席に到達したので、2021年は飛躍の年になると期待していた。
しかし、オープン戦からバッティングが絶不調で、開幕スタメンを若林に奪われ、その後はスタメンで登場する機会が増えたが、交流戦でデッドボールのよる右手中指骨折で2ヵ月戦列を離脱し、規定打席に僅かながらも達することが出来なかった。
まずは年間通して怪我をしないことが彼にとっては第一目標ではあるが、彼のバッティングフォームを見ていると、状態が悪くなるとバットに当てようとする意識が強くなって手打ちになり、そうなると下半身よりも先にグリップが体の前に出て来てしまうので、それだけデッドボールを受けやすい。
まずは去年のような死球が大怪我に繋がらないようにするためには、そこは意識して改善していかないと同じことを繰り返してしまう可能性が強くなる。
避けられない故障は仕方がないが、避けられる怪我を回避できるようになれないと不動のスタメンとはならないだろう。
又、彼の場合、セカンドの守備に関しては既に球界トップレベルといっても過言ではないし、打率・出塁率が上がってくればもっと脚力を活かせる場面も増えてくるのでよりダイナミックな野球を展開できると思う。
そう考えるとやはり課題はバッティングで、ルーキー当時は苦労していたタイミングの取り方(始動が遅れるケースが多かった)も、経験を積んでいくうちに下半身主導でタイミングを取ることを体で覚えてきたので、着実にレベルアップしていると言える。
しかし、前述のようにどうしても調子が下降線に入ると小手先で何とかしようとする癖があるので、過度に結果を欲しがらずに、結果よりもバッティング内容を重視して、自分のバッティング、形に拘っていく事が結果を残す近道だと思う。
その為の基本的な考え方は、センター方向からやや左中間方向にライナー性を飛ばす意識を徹底することである。
☆北村拓己の課題は?
打撃と守備に関しては技術的には一軍レベルに達していると思う。
バッティングは逆方向に軽打を打つ技を見せたかと思えば、レフトスタンドに放り込む長打力も併せ持っている。
それが出来る最大の理由はバットの軌道を常にインサイドアウトにすることを意識し、懐の大きいバッティング技術を実践に出来ているからである。
去年も53試合に出場して打率2割5分、4HRという彼にとってはキャリアハイの数字を残したが、まだまだ持っている技術レベルを考えると物足りなさは否めず、もっと良い結果を残せるはずである。
では彼に足りない部分はどこなのか?
まず、技術的にはややストレート系に弱い事。
これは彼のように逆方向を強く意識するとミートポイントが体の近くに置くことになるので、、どうしてもストレート系に差し込まれやすくなる。
ストレート系に遅れるケースが多くなると、どうしても今度はポイントを前に置くようになってボール球の変化球を見極められなくなる悪循環に陥る。
これまでの彼の凡退パターンはこれが多かった。
ぶっちゃけ彼にはボテボテのゴロで内野安打を稼げるような脚力が無いので、ミスショットがアウトに直結するケースが他の脚力のある選手よりも多くなるし、逆にもっと長打を増やせないと外野守備が深くならないので詰まった打球がポテンヒットに繋がらない。
ハッキリ言ってしまうと、彼のような平均的な能力を持つ選手がプロ野球では最も打率を残しにくい選手ではあるが、ではどうすればよいのか?
彼も他の選手と同じように、いやもっと大胆にカウント別で狙い球を変える必要性があるし、ファーストストライクはポイントを前目に置いて強振したり、追い込まれたカウントではポイントを近くして右方向への軽打を強く意識するなど臨機応変に変えていく必要がある。
そこが打席の中で自然と出来るようになれば更にレベルを上げ、試合の流れや状況、投手心理やサインを出す捕手の心理を読むなど、高いレベルの野球が彼には必要になってくる。
一方で守備に関しては、決して守備範囲は広くないが、スローイングが安定しているので深めに守ることでそれをカバーする事が出来るし、グラブ捌きが良いのでケアレスミスが少なくプレーに安心感がある。
内野手としては体系的に横幅が広いが、見た目以上に守れる選手だと思う。
☆廣岡大志の課題は?
去年、春季キャンプ終了直後に田口麗斗とのトレードでジャイアンツに入団したので、彼にとっては今キャンプはジャイアンツの一員としては初めて参加したことになる。
しかし、結局去年は78試合に出場し、打率も2割にも満たず、持ち味の長打力も本塁打5本という寂しい結果で終わってしまった。
彼の去年一年間を振る返ると、前半戦は攻守で地に足の着いた野球が全く出来ておらず、仮に好結果が出たとしても「タマタマ感」が否めなかったが、二軍降格を経た後に再登録されたシーズン後半もなかなか満足出来る結果を出せなかったものの、かなり落ち着いてプレー出来るようになった印象がある。
彼に関しては俊敏性とパワーを兼ね備えた肉体は申し分ないが、技術がまだまだそれに追いついていない。
まだ去シーズンのデータが出揃ってはいないので筆者の印象での話だが、バッティングに関しての「彼のツボは外角寄りのストレートと、内角寄りの甘い変化球」で、逆に「苦手なゾーンは内角高めのストレート系とボールゾーンに変化していくスライダー系・落ちるボール系」で、特に右投手のそれには圧倒的に分が悪い。
逆に左投手にはコーナーに決められると厳しいが、甘めのボールなら対応出来ている。
それでもまだまだ左キラーまでとはいえない(対大野雄大の成績は素晴らしい)ので、そこら辺りにもどかしさを感じる。
その要因の一つとして考えられるのは、バッティングフォームをコロコロ変えてしまう癖?があること。
去年もバッティングフォームをかなり頻繁に変えていた(一時、中島宏之の完コピを目指しているように感じるバッティングフォームだったこともある)が、どこかで割り切ってシーズン通してフォームを固めていかないと、なかなか次のステージには到達しない。
今年は去年終盤に好結果を出していた非常に無駄を削ったシンプルなフォームは、筆者の見立てではタイミングの合わせ方も無理なくスムースで全くトップを作る過程でも違和感が無いので非常に良かった。
是非ともこれを変えることなく我慢してやり通し、しっかりと自分の型を作るべきだと思うし、それが出来なければいつまでたっても「頭でっかちの自分との戦い」だけで打席が終わってしまう。
それを繰り返している現状ではなかなか進歩しない。
そこを乗り越えてこそ「正しい状況判断」「狙い球の絞り方」「相手の心理を読む」など、野球脳を使ってプレーするようになれるし、そうなればおのずとプレー内容も良くなって結果もついてくると思う。
ヤクルト在籍時から続いているエレベーター選手の立場(1軍と2軍を行ったり来たり)を卒業しないと、巨人では年齢的に中堅選手としての立場なので、これから加齢とともにもっとチャンスは減ってくるだろう。
ぶっちゃけ「今年がダメなら野球人生は終わってしまうくらいの覚悟」で取り組んでもらいたい。
まずは年間通して1軍登録を死守することが夢(智弁学園一年先輩の岡本和真とのクリーンナップ再結成)へのファーストステップだ。
以上 敬称略
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