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巨人春季キャンプレポート2022.2.3

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巨人春季キャンプレポート2022.2.3

今回の特集は、エース菅野、2019年最多勝投手山口俊を押しのけ、次世代エースとして期待されている戸郷翔征について語っていく。
去年、大きく期待されながらもイマイチ伸び悩んでいた彼に足りないモノは何なのか?
勿論、中5日(場合によっては中4日)で登板した影響も大きかった事も決して小さくないとは思うが、それ以前に打者目線で彼の投球を見た上で、その本質的な原因を探っていこうと思う。
去年、試合中に筆者が発信していたtwitterでは彼の投球には辛口になることが多かったが、今回は冷静かつ細かく彼の投球を分析していく。
まずは本題に入る前にキャンプトピックスから。。

☆巨人春季キャンプトピックス
※菅野智之、山口俊
今年もローテの軸として期待されている二枚看板が、揃って7~8分の力で投球練習を行った。
菅野は初日から一日間隔を置いての投球、山口俊は連日の投球となった。
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※梶谷隆幸
去年は5月後半に左太ももを痛めて離脱し、1か月後に復帰するも7月にデッドボールで右手を骨折してシーズン終盤の復帰を目指していたが、最後は古傷の腰痛を発症し、10月末にヘルニア手術を行った。
今キャンプは立ち上げ班で参加している。
まだまだ全力スイングではないが、軽めながらも一球一球自分にスイング軌道を確かめながら振っていた。
まずは元気な姿を見て安心した。
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※堀田賢慎
視察に来た松坂大輔、原監督や桑田コーチが注目する中、大城卓三が構えたミットにストレート中心の投球を披露する。



☆戸郷翔征の課題とは?
高卒二年目の一昨年のシーズンで9勝をあげ、三年目の去年は更なるブレークを期待されたが、前半は順調に白星を重ねたものの、後半戦は全く勝てない日が続いてしまい、終わって見ると二桁勝利の壁を越えられずに同じく9勝止まりとなってしまった。
彼の最大の持ち味と言えば、150キロの速球と落差の大きいフォークボール。
調子の良い時は続けざまに三振を奪う快投を見せるが、一方で崩れ始めると止まらない「脆さ」も露呈してしまっていた。
又、151イニングで19本塁打という「一発癖」も大きな課題となり、同じ9勝でも一昨年の防御率は2.76、去年の防御率は4.27となり、大幅に悪化してしまった。
では2020年と2021年の投球内容のどこに差があったのか?
答えはシンプルで、基本的には大きな違いは無かったと見ている。
つまり成長・進歩が無かったことが成績が上がらなかった訳で、戸郷の投げていたボールの質も悪化したとは思わない。
しかし、打者の立場からすれば戸郷の剛速球とフォークは分っていても厄介なボールであることは間違いないが、いくら厄介なボールでも対戦を重ねていく毎に慣れが出てくるので、甘いボールを捉える確率は格段に上がる。
しかも、彼はややサイド気味のアーム式に投げてくるので、右打者目線ではボールが抜けて自分の方に向かってくる恐怖感を対戦当初は感じていた筈だが、意外にそういうボールが少ない事も「バレてきた」ので、打者が安心して踏み込んでスイング出来るようになったことも大きい。
その辺りが被本塁打増や防御率の大幅悪化に繋がっていると思う。
そこを克服するには、相手打者に安易に踏み込ませてスイングさせないこと。
例えば右打者ならストレート系で内角に突っ込んで行く割合を増やす事も必要だろう。



もっと細かく具体的な原因を突き詰めていくと、以下の6点が挙げられる。
➀コーナーを狙ったスライダーが抜けて甘く入るケースが多い
➁ストレート系がシュート回転して真ん中寄りに集まるケースが多い
➂カウント球に苦労するケースが多く、球数が多くなる。
➃無駄球が多い。
➄100球近くなると急激に球威が落ちる
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➀についてはスライダー系の精度が相変わらず低い事も一発癖の大きな原因となっている。
戸郷の勝負球は間違いなくフォークだが、このボールを一発で仕留めるには難しいレベルにあるとは思うが、比較的カウント球で使ってくるスライダー系に関してはそれほど厄介なボールとは感じていないと思う。
しかも外角を狙ったボールが抜け気味で真ん中寄りの甘いゾーンに入ってくるケースが少なくないので、仮に筆者が戸郷と対戦したら、追い込まれるまでは甘いスライダー系を狙うと思う。
➁についてはストレート系がシュート回転する傾向強いので、ストレート系を捉える自信がある打者なら、若いカウントでは右打者なら外甘のストレート、左打者なら内甘のストレート系に的を絞ってくると思う。
ストレート系に強いヤクルトの村上や山田哲、ベイスターズのオースティンや牧、広島の鈴木誠、阪神の近本あたりは打席に立つ前に➀または➁のどちらかを狙っていたと思う。
➂については勝負球のフォークは基本的にボール球を振らせるボールで、しかも戸郷の場合はカウント球の変化球はスライダー系に限られているのでカウント球を狙われやすい。
そうなるとナーバスになってどうしてもボール球にしてしまうケースが増えてくるので、自然と球数が増える。
ストレートの走りが良い時はストレートでファールを打たせてカウントを稼げるが、そうそう毎回調子が良いわけではない。



➃については首脳陣やバッテリーを組むキャッチャーを含めた当事者の意識の問題だと思う。
簡単に0-2という投手有利のカウントを作ってから、あまり有効性のない外し球を極力減らし、同じボールでも後々の伏線になるボールを投げて欲しい。
簡単に追い込んでから簡単に1球外し、そこからコースを過剰に意識し過ぎてボールが続き、結局フルカウントになって最後は甘めに投じざるをえない状況になってフルスイングされる。。。。
これは戸郷だけではないが、巨人投手陣の全体的な問題としてこのようなケースが非常に多かった。
新しくチーフコーチになった桑田はこの辺りは現役時代から意識していたので改善を期待したい。
➄については力投タイプなので、100球近くでどうしてもガス欠になることが多くなるが、少なくとも120球近くの球数までは大きく球威を落とさないタフさは求められる(そうすれば100球超で降板してもピンチを作ってマウンドを降りるケースが減って結果も変わってくる筈)
まあ、ツーシーム系を磨いて打者を少ない球数で討ち取って球数を抑制する方法もあるが、若いうちから楽することを覚えないで既存の持ち球を磨いた方が長く第一線で活躍で来ると思う。
➂➃にも関連してくるが無駄球を無くして、常に1-2のカウントを作って討ち取りたい。
そうすれば、おおよそ6回終わって100球程度で収まる計算になる。
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以上、打者目線で戸郷の問題点を指摘してきたが、筆者は投手に関してはド素人なので技術的なことは何も言えない。
➀~➄の課題は投球のメカニック的な部分に問題があるとは思うが、具体的にどうこう指摘できないので、割愛するほかない。
筆者が一つだけ言えるのは、戸郷は力んでくると、体の開きが早くなってボールが抜けてしまう確率が上がる事。
それとともに恐らく打者からはボールの出処が見やすくなるのかもしれないこと。
打者目線で技術的に語れるのはここまでだ。
モチベーターの宮本コーチが退任し、理論派の桑田コーチがチーフコーチとして新たに着任した事が、彼の技術面にどのような好影響を与えていくのか?



さて、数年先の巨人投手陣を考えると、既に一軍でそれなりに実績を積んでいる戸郷翔征と髙橋優貴が左右の軸として、チームを引っ張ってくれないと厳しくなることは間違いないだろう。
トミージョン手術明けの堀田賢慎、山﨑伊織や去年のドラフト組に関しては、勿論期待はしているが近年のドラフト上位組の不振ぶりを見ていると、過度の期待はなかなか持てないのが正直なところ。
そしてドラフト下位指名の高卒組も故障が多くて伸び悩んでいることも痛い。
そうなると畠を含めた既に一軍で実績を残している連中が一皮も二皮も向けてローテの軸としてしっかりと機能し、そして前述の「未知の有望株」が、そんな彼らの立場を凌駕していく形が理想形と言える。
その為には今回取り上げた戸郷が投手陣をグイグイ引っ張る存在にならないといけないし、なれるポテンシャルは間違いなく持っている。
まだまだ高卒四年目なので、本来ならあまり厳しい注文をしたくはないが、ぶっちゃけ今の巨人の投手編成を見ているとそんな悠長なことを言っていられる状況ではない。
今年は桑田コーチの指導の下、進化した戸郷翔征を是非ともファンに見せて欲しい。

以上 敬称略
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