巨人春季キャンプレポート2022.2.5
今回の特集は正捕手争いについて考えていこうと思う。
一昨年の活躍で大城卓三が大きくリードしたかと思われたが、去年はセールスポイントのバッティングがまさかの急降下、一方でライバルの小林誠司も相変わらずの貧打ぶり、そして去年後半は岸田行倫がスタメンマスクを被るケースも増えてきたが、こちらも攻守で決め手を欠いてアピール成功とまではいかなかった。
原監督も交流戦終了後に出場機会が減っていた炭谷銀仁朗を楽天にトーレードに出すなどして、ある意味この三人に更なる奮起と自覚を促したが、逆に放出した事が痛手と感じてしまうという情けない結果となった。
再び今季は横一線で原監督は考えているのかもしれない。
一方で、捕手を評価する基準は非常にあいまいで、人それぞれ評価の基準も微妙に違う。
阿部・古田・城島のようにバッティングが抜きん出ていれば文句なしで「正捕手」として認められるが、打率2割ソコソコしか残せない捕手が正捕手として長く君臨したケースはNPBの歴史を振り返っても殆どない。
一方で、配球やリードを含めた捕手としての守備力を適正に評価するのは非常に難しく、捕手は盗塁阻止率という一部分でしか明確に数字で評価できないし、リードや配球は厳密に言えば「結果論」なのでこれが正解とは誰もハッキリ言えるはずがない。
球界の頭脳として名高い古田敦也、谷繁元信などのレジェンド捕手が解説で「こうした方が良い」「これは間違い」などと言っても、それは「彼らの考え方と合致しているだけ」であって、二人の意見が必ずしも合致するとは限らない。
結局、捕手のリードや配球は評価する側の基準で大きく変わるので答えはないということ。
勿論、配球にはセオリーはあるし、スコアラーからのデータを見て、ある程度攻め方も決まると思う。
しかし、教科書通りにやり続ければ、逆に相手打者に配球を読まれてしまうし、結局、そのサインを出す捕手の「思考力」「観察力」「応用力」が必要になるということ。
だが、これらは失敗や成功を何度も経験しないと身につくものでは無い。
つまり、マスクを被る機会が増えていかないと捕手としては成長していかないことになる。
そう考えると結局「捕手も結果として評価しやすいバッティングで結果を残すこと」が最も正捕手の座を奪う近道という事になる。
そしてそこからキャリアを積み重ね、その途中で優勝や日本一なども何度か経験すれば、リードや配球といった「評価基準があいまいなファクター」を「勝手に周囲が高く評価」して、名捕手と謡われるようになると思う。
あの谷繁でさえ1996年(プロ入り8年目)に初めて打率3割をマークして正捕手としの立場を確立したが、そこに至るまでは中途半端な扱いといっても過言ではなかった。
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まあ、そんな事を言ってる筆者もシーズン中では大城や小林の配球について言いたい放題だったが、以上のことを踏まえて(そういう考え方であることを前提に)これから大城、小林、岸田について語っていこうと思う。
あくまでも筆者の考え方を基準にして彼らについて語るので、いつも以上に別の考え方を持つ読者もいるとは思うが、そこはご理解いただきたい。
では、まずは本題に入る前にいつも通りキャンプトピックスから。。。。
☆巨人春季キャンプトピックス
※山田龍聖、赤星優志
今キャンプは二軍スタートだったドラフト2位の山田、3位の赤星が一軍ブルペンで投球を披露していた。
山田龍聖についてはキャンプ初日のレポートで触れたので割愛するが、赤星優志については、投球フォームには力感がなく、コンパクトなテイクバックが特徴。
ボールの角度を感じるタイプではないが、高い制球力と豊富な球種が武器の実戦的な投手という印象。
あとは打者が彼のボールをどう感じるか?
投球フォームと投げたボールにギャップを感じれば戦力になるだろう。
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※山﨑伊織
故障後の投球フォームをじっくり観察するのは初めてだが、非常に投球フォームの「軸」がしっかりしている。
ワインドアップでも始動からフィニッシュまで体の中心軸が左右のブレを全く感じないし、上下動も少ない。
間違いなく制球力は高いだろう。
又、テイクバックでボールの出処が見難くいタイプのように感じた。
ぶっちゃけ投球フォームは現状の巨人投手陣のなかでも最も美しく感じるし、野球人としての高いセンスを感じる。
彼も実戦で投じた時に、打者の反応を見たい。
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※14年ア・リーグ最高勝率16勝4敗右腕シューメーカー獲得へ
これについては決定として発表された後、アンドリースのように来日前評価として詳しく論評していきたい。
☆大城卓三
去年は一昨年と比べて打撃成績は軒並み低下してしまった。
本塁打数(11本)だけは増えたが、これも出場試合数を考えればそこまで特筆する数字ではない。
打率、出塁率、得点圏打率ともに軒並みおよそ前年から4分落とし、OPSも.751から.660と急降下、打点も減らし併殺打は激増したので印象も非常に悪くなってしまった。
首脳陣が彼に期待しているのはバッティングで、最低でも2020年の打率.270は期待していると思う。
そして彼の長打力を考えると、本塁打も15~20本は期待したいところ。
そうなればOPSも.800前後は狙えるはずで、チームの得点力に間違いなく好影響を与えると思う。
このように打撃に関しては非常に残念な結果となり、チームに貢献したとは言えない結果だった。
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その一方で、捕手として唯一、記録として数字が残る「盗塁阻止率」はセリーグトップで抜群の結果を残した。
しかも盗塁企画率もリーグで最も低いので「盗塁抑止」の効果、つまり相手チームは大城相手になかなか盗塁を仕掛けようとしなかった(出来なかった)ことを意味している。
これはホント誇れることで、盗塁阻止率と盗塁企画率、このどちらもリーグトップという事は名実ともにリーグトップの強肩と言っても過言ではない。
ここ数年、盗塁阻止という観点では小林誠司の方が評価が高かったが、今でも「肩の強さ」は小林の方が上かもしれないが、モーションの俊敏性やスローイングの正確性では大城の方に分があるということだろう。
数年前の二塁送球の「へなちょこさ」には大いに失望していたが、ここまでレベルアップするまでには本人の努力のたまものだろう。
大いに賛辞を送りたい。
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リード配球面に関しては、去シーズンの試合観戦中にtwitterで苦言や賛辞を贈ったが、全体的な印象としては非常にオーソドックスな配球をするということ。
言い方を変えれば、打者の立場なら読みやすい配球が多い。
勿論、コースにキッチリ投げたり、ストライクからボールゾーンに外れる変化球を投げ切れば凡打になったり空振りさせる可能性は高い。
しかしこの場合、少しでも甘くなると相手にフルスイングされるリスクがある。
又、個人的に彼に求めたいのは、平時とピンチの違い、つまり状況によってもっと配球にメリハリをつけて欲しいという事。
平時では投手がストライクを取りやすいボールをもっと多く使って、常に有利なカウントを作ることを意識するようにリードする事。
球数を多く使って四球を与えてしまうリスクと、初球(若いカウント)にヒットを打たれるリスクでは、どちらが投手にダメージを与えてしまうか?、又は試合の流れを変える要因になってしまうリスクはないか?
こういうことも考えて欲しい。
まあ、何はともあれ、今年も彼が第一捕手であることは間違いないと思う。
監督は岸田を推しているようだが、個人的にはのんびり屋の大城の尻を叩いているように見えるんだが。。。
☆小林誠司
バッティングに関してはもう何も言う事は無い。
せめて2割4分。。。いや2割3分打って欲しい。。。。
そうすればもう少し下位打線からチャンスを作って上位打線に繋げる形が増えてくるので、得点力も多少は上がってくる。
二年連続で1割にも満たない数字は絶望感しか生まれず、彼がスタメンの場合の8番と9番は相手バッテリーからすれば、絶対的な安パイになるので体力・心理の両面で助けてしまう事になる。
もうこの時点で首脳陣からすれば余程の事がない限り、スタメンのファーストチョイスにはならない。
大城に疲れが見えたり、絶不調時にチャンスは出てくるかもしれないが、その場合でも今年は岸田の方が優先で使われる可能性が高い。
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捕手としてはショートバウンドを止める技術は大城や岸田よりも安定感がある。
この辺りが終盤で荒れ球の多い速球派の外国人の登板が増える終盤戦に、ストッパー捕手として重宝された理由の一つだろう。
又、強肩は相変わらず錆びついていない。
モーションが大きいデラロサやビエイラとバッテリーを組むケースが多かったので、盗塁阻止率や盗塁企画率では大城の後塵を拝したが、まだまだこの部分は彼の強みである。
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一方で捕手としてのリード・配球はオーソドックスな大城とは正反対の色を持っているので、独自のカラーは持っている。
彼が菅野や山口俊と相性が良いのは、攻めの配球を好むからで、大城がセオリー重視の配球なら、小林は投手の長所を前面に出す配球を行っている。
菅野なら相手打者どうこうではなく「菅野がベストピッチをすれば絶対に抑えられる」というような強気の配球を好み、山口の場合は安易にフォークを多投するのではなく、山口の球威を信じて強気に内角を突く投球を好む。
これらは技術を持っている両者には通じる配球だが、一方でまだまだ未熟な投手では甘くなって痛打されるケースも少なくない。
この辺りはもう少し投手の力量を見ながら変えていく必要があると思う。
☆岸田行倫
一昨年はルーキー当時から比べるとバッティングがビックリするくらいレベルアップしていた。
以前はスイングに「ヌルさ」があり、スイングのインパクトに力強さを感じずに、相手投手のストレートに押し込まれていた印象が強かったが、それがバットのヘッドがしっかりと立って左右に力強い打球を弾き返せるようになり、打球の飛距離も格段に伸びて、ホームランを打つツボも生まれていた。
気が付いた時にはファームの4番を任されるケースが多くなっていた。
そして、その勢いのまま一軍デビューし、プロ初ヒットだけではなく初本塁打も記録し、終わって見れば48打席ではあるが打率3割を記録して2021年の飛躍を予感させた。
しかし、去年は全く飛躍できなかった。
出場試合数、打席数も減り、終わって見れば打率は2割にも遠く及ばず(.182)持ち前の長打力も本塁打ゼロでアピール出来なかった。
まあ、ぶっちゃけまだまだ技術的には課題のあるバッティングだが、一昨年と去年の最大の違いは打席で力みまくってしまっていたこと。
必要以上に力んでいたのでテイクバックで左肩が捕手側にロックするケースが多くなり、バットの出が遅れてしまっていた。
原因としては、春先の紅白戦からオープン戦にかけてなかなか結果が残せず焦りが先行し、一軍登録されてもおよそ2カ月間全く出場機会がなく、更に焦りが先行する悪循環に陥ってしまったと推察する。
そして炭谷がトレードに放出されてから一軍に再登録されるが、それでもなかなか出場機会がなく、シーズン終盤に不信を極めるチームのカンフル剤として出場機会が増えたが、低迷するチームの負の連鎖を断ち切ることが出来なかった。
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捕手としては強肩でフレーミングも高いレベルにあると思う。
しかし、ショートバウンドに対して「壁」になりきれず、後ろに逸らすケースが少なくない。
まだまだそういう意味で捕手としての安定感は大城や小林と比べて劣っている。
まあ、それでもまだまだ一軍の経験は浅いので、慣れてくればもう少しプレーに安定感は増してくると思う。
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監督は彼をもっと使いたいとマスコミに発しているようだが、やはり個人的には大城への尻叩きの意味合いが大きいとは思うが、首脳陣の彼への期待が今は小林以上に大きい事は間違いないと思う。
バッティングも去年は大不振だったが、二軍で4番を任せられるほどの持ち主で、打席数を重ねて経験を更に積んでいけばそれなりの数字を残せるポテンシャルは秘めている。
リストの強さを感じるバッティングはツボにハマればどの方向にもスタンドインの可能性があるので、今年のオープン戦でしっかり結果を残して、大城を脅かす立ち位置まで来て欲しい。
明るい性格はチームのムードメイカーとしては欠かせない存在で、彼がスタメンを安心して任せられるようになるとチームに有形無形の波及効果が期待できる。
がんばれ!! きっしゃん!!!
以上 敬称略
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