野球賭博問題で大きく揺れてる読売ジャイアンツだが、昨日はドラフト会議が行われる直前に3軍を新たに編成する事を発表した。
現在、NPBでは3軍システムを導入しているのは福岡ソフトバンクホークスのみで、これに続く事になる。
以前にも巨人は3軍制をとっていたが「試合相手が見つからずに途中で断念した」と筆者は記憶している。
そのころと比べると、独立リーグが定着した事や、社会人・大学生チームと試合を行うハードルが下がってきたのかもしれない。
いずれにしても、試合相手に目処が立ったという事だと思う。
その3軍制については賛否分かれると思うが、個人的には条件付きで賛成の立場である。
その条件とは、毎年多くの育成選手を抱える中で、彼らのモチベーションを上げる為の方策を用意しておかねばならない事。
その方策とは、基本的に毎年2~3名を3軍の育成選手から支配下登録選手に格上げする事を定着させる事。
その為には今まで以上に支配下選手登録の空き枠をせねばならず、逆に言えばオフの戦力外通告も今まで以上に頻繁に行わねばならない。
又、シーズン途中の新外国人獲得と金銭トレードは、支配下登録枠を考慮して一層シビアに行っていく必要がある。
要は「チーム内の活性化」が、今まで以上に必要になるし、この3軍制度を以前のように形骸化させない為にも、ここはしっかりチーム内でルールを作っておく必要がある。
さて、そのドラフト会議で巨人は計16人の大量指名(内8名が育成ドラフト)を行った。
そこで今回は、ドラフトで指名された8人の選手を個別に見ていきたい。
尚、一部選手については以前の記事内で触れているので、その文章を抜粋、又は一部修正する。
★ 1位 桜井 俊貴
(以下、10月22日の弊ブログ記事から抜粋)
桜井 俊貴 立命館大学 右投右打 投手
高校時代からプロにも注目されていた存在だったが、立命館大学に進学して1年生から安定した活躍を見せる。
直球は最速では150キロ、平均では140キロ台前半。
変化球は鋭く曲がるカーブとチェンジアップが中心で、スライダーも投げられる。
※全体像
ピッチングフォームは非常に安定感を感じる。
右腕の使い方が巧妙で、打者目線ではボールの出処が分かりにくい。
非常にクレバーな印象を受ける。
※直球の質
一方で、直球の質は大阪商大の岡田明丈と比べると、やや落ちる印象が強い。
一番上の映像では直球が殆どシュート回転していたが、これは右足が若干インステップする事が原因と思われる。
※変化球
カーブは鋭く大きく曲がるので、モノにすればプロでも大きな武器になる。
但し、投げる時に腕の振りが若干鈍るので、打者目線では対応しやすいので、修正する必要がある。
※制球力
全体的に低めを意識した投球が出来ているが、コーナーにビシビシ決める制球力は持っていない印象。
【総評】
良い状態で投げていた時の映像(センター方向からのテレビ映像)が無いので、非常に評価は難しい。
しかし、あくまでも個人的な意見としては「物足りない」印象の方が強い。
それは「一年目の春先からローテーション入りが期待できるのか?」という意味での物足りなさで、勿論、前述の修正ポイント(インステップや腕の振り等)を克服すれば、フォーム的には非常にバランスが良いので一気に開花するかもしれない
★ 2位 重信 慎之介
重信 慎之介 早稲田大 右投左打 外野手
早稲田実業では内野手として1年生からレギュラーを張り、2年生の時の夏甲子園でも大活躍を見せた。
その後は早稲田大に進学し、2年生の春から外野手に転向して試合に多く出るようになる。
持ち味は何といってもスピード感溢れる走塁で、50mを5秒8、一塁到達タイムは3秒9で駆け抜ける。
そして、盗塁に対する意識も高く、独自で相手投手のフォームや癖を研究して、3年生から盗塁の数を急激に増やしている。
又、シュアなバッティングと広い守備範囲も評価が高い。
※短評
まず走塁と守備については即戦力で間違いないと思う。
走塁については足の回転が凄まじい速さで、いかにも「快足」と呼ばれる脚力を持っているし、前段で触れたように盗塁する為に必要な「研究心」も備えている。
又、外野守備も打球に対する反応と、落下点への入り方はセンスを感じる。
遠投も100mを越えるようなので、肩も問題ない。
そして、問題はバッティングになると思うが、こちらもセンスを感じるので面白いかもしれない。
映像を見る限り、非力な右投げ左打ち選手特有の「当て逃げ」に見えるスイングも少ないし、しっかり下半身でスイングしようとする意識は感じる。
プロのスピードに慣れてくれば、意外に早く適応すると思う。
★ 3位 與那原 大剛
與那原 大剛 普天間高 右投右打 投手
190㎝の長身からトルネード気味に投げ下ろす最速148キロの直球が魅力の豪腕投手。
打撃でもチームの4番を務めて、好守でチームを引っ張っていたが、甲子園の出場は叶わなかった。
売りは何といっても長身から投げ下ろす豪速球とフォークボール。
勿論、クリアすべき課題は沢山残っているが、素材だけ見れば今年のドラフト候補の中でもトップクラスである。
※短評
順調に育てば、近未来のエース、又は守護神として期待できる器の大きさを感じる。
勿論、現状での完成度は中央で活躍した高校生と比べて大きく劣っているが、逆に言えばそれだけ伸びシロがあるという事でもある。
見ていて「ロマン」を感じる投手なので、是非とも大きく育って貰いたい。
★ 4位 宇佐見 真吾
宇佐見 真吾 城西国際大 右投左打 捕手
甲子園には縁がなかったが、高校時代から強肩強打の捕手としてアマ球界では注目されていた。
バッティングは長打力が持ち味で、スイングの幅が大きいのが特徴で広角に長打を放つ事が出来る。
体格もガッチリしていて、プロで下半身が更に鍛えられればもっと良くなる。
捕手としては強肩が売りで、二塁への送球は2秒を切るレベルにあるし、大学日本代表候補にも選ばれるほどの捕手力は持っている(合宿中の怪我で出場はならず)
・短評
バッティングはまだまだ粗削りな面は否めないが、体に力強さがあるので、打球を遠くに飛ばす能力は十分に持っている。
又、捕手としても現時点でも一定レベルに達しているので、小林のライバルとして早くから1軍で使われる可能性が高い。
★ 5位 山本 泰寛
山本 泰寛 慶応大 右投右打 内野手
高校から大学まで慶応義塾一筋の慶応ボーイ。
高校では2年からショートでレギュラーを掴んだが、甲子園出場は叶わなかった。
大学でも2年生の時からショートのレギュラーとして活躍し、安定感溢れる守備と、パンチ力も備えるシュアなバッティングは評価が高い。
※短評
ショートの守備は、アマとして長く場数を踏んできたので安定感はある。
バッティングも、リストの効いた鋭くコンパクトなスイングは魅力がある。
彼もプロのスピードボールに慣れれば、意外に早くから1軍で見られるかもしれない。
★ 6位 巽 大介 (映像無し)
巽 大介 岩倉高 左投左打 投手
身長183㎝で140キロ台前半の直球と、鋭く縦に落ちるスライダーが武器の左腕。
甲子園の出場は叶わなかったが、プロのスカウトに注目されていた逸材である。
※短評
見た事がない(映像も見つからない)選手なので論評できない。
★ 7位 中川 皓太
中川 皓太 東海大学 左投左打 投手
山陽高時代は3年の春からエースだったが、最高は県大会準優勝で、甲子園の夢は叶わなかった。
大学進学後は、同じ東海大のエース吉田の影に隠れていたが、4年春に一気にブレイクしてドラフト候補に浮上した。
売りは角度のある140キロ前半の直球とカーブ・スライダー。
彼もドラフト1位の桜井と同じで、大学在籍後半で台頭してきた選手である。
※短評
ややインステップするのが特徴で、左打者は最初は戸惑うかもしれない。
左打者の懐にシュート系のボールを制球できれば、プロでも中継ぎとして早くから戦力になる可能性がある。
★ 8位 松崎 啄也
松崎 啄也 日本製紙石巻 右投右打 捕手
作新学院時代は1年秋から4番でキャッチャーを務めていた。
県大会ではホームランを連発し、3年夏には甲子園にも出場した。
高校卒業後はプロ入りを希望せずに作新学院大学に進学する。
そこでも4番キャッチャーとしてチームの顔となり、3年春にはチームを一部昇格に導く。
そして大学卒業後は日本製紙石巻に入社する。
彼の売りは何といっても強打と強肩。
特にバッティングは遠くに飛ばす能力が高い。
※短評
やや外回り気味のスイングが気になるが、バッティングは遠くに飛ばすパワーがあるし、体の強さを感じる。
捕手としての完成度は高くないかもしれないが、スローイングは強い部類だと思う。
【2015巨人ドラフト総評】
筆者が望んでいた「近未来の軸として期待できる打者」の獲得は無かったので、昨日のドラフト直後は失望していたが、改めて指名した選手を個別に見ていくと「どの選手も面白い素材」である事が確認できた。
指名漏れした選手の中では、慶大の谷田と東海大菅生の勝俣は残念だったが、前者は外回り気味のスイングがプロでは厳しいと敬遠され、後者は早くから3位以下では大学進学を表明していたので、現状では守備に不安のある彼を上位で指名することには二の足を踏んだと見ている。
以上 敬称略